2015年01月31日

樹海で見たもの(2)

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【前回のあらすじ】
2007年春。ある長編映画の製作がらみで人間関係に疲れ果てていた私(大嶋)は、人のいない場所でのんびり気分転換をしたいと考え青木ヶ原樹海に向かったが、遊歩道を少し歩いたところで若い男性の遺体に遭遇。気が進まないながら、風穴の売店から警察に通報したのだが…

売店の片隅に座って警察の到着を待つ間、私は念のため、名刺と免許証を財布から出し、ズボンのポケットに移しました。別に前科があるわけではありませんが、何となく、あまり細かく身元を調べられたくなかったのです。

15分ほどでパトカーが到着しました。制服の警察官2人(おじさんと若者)が乗っており、その2人と一緒にパトカーに乗ってまた現場を案内。この時も私は遊歩道に残り、遺体の近くには行きませんでした。

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大まかな検分が終わったようなので、私は、
「じゃあ、あとはお願いします」
と言い残し、その場を立ち去ることにしました。案の定、
「何かあった時のために、連絡先を教えて下さい」
と言われたので仕方なく、名前、生年月日、住所、電話番号などを、聞かれるままに答えました。

その場で警察官2人と別れ、そのままとことこと、当初行く予定だった「野鳥の水飲み場」の方角へ歩き始めました。はじめのうちこそ、心中穏やかではありませんでしたが、
「警察にも知らせたし、これで遺体もちゃんととむらってもらえるだろう」
と考えると、一定の責任を果たしたような気持ちになり、胸のもやもやも、次第に消え去っていきました。そしていつの間にか、
「樹海は面白いなあ。来てよかったなあ」
などという、歩き出し当初のモードに戻っていき、結構いい気分で、野鳥の水飲み場に到着しました。

ここは遊歩道の分岐点で、ここから根場浜に行く道と「コウモリ穴」に行く道に分かれています。根場浜は割と栄えていそうな感じがしたので行くのはやめ、コウモリ穴を目指すことにしました。本当は、バスの中から見えた、バス停で言うとひとつ手前の「竜宮洞穴」に興味があったのですが、コウモリ穴への道の方がわかりやすそうなので、まずはコウモリ穴に向かいました。

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その途中も、「檜の奇木」や「雨やどりの穴」など、景観的に面白い、絵になるところも多々あり、歩きにくいところは木片をちりばめて歩きやすくしてあったり、なかなか行き届いているなあ、などと思いつつ、遊歩道を抜け、コウモリ穴のバス停のところに出たら、何と、さっき現場で別れたはずの若い方の警官が、私を待ち受けているではありませんか! あの後どこに行くかなど、具体的にはまったく教えていなかったのに…。やはり彼らは職業柄「鼻が利く」のでしょうか。

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若い警官は精一杯の愛想笑いで私に近づいてきました。
「さっきのおまわりさんですよね?」
と私が聞くと、
「先ほどはどうも…。実は、いろいろご迷惑をかけたので、お詫びがしたいと上の者が申しまして。うちの課長がここに来るので少し待っててもらえますか」
とのこと。
「いや、そんな、お詫びなんでいいですよ」
と丁重に辞退しましたが、
「いや、それだと私が怒られますから。とにかくしばらくお待ち下さい」
と、言葉だけは丁寧ですが、何やら有無を言わさぬ雰囲気です。
一体どういうことなのか状況を計りかねているうち、パトライトを乗っけた普通車(いわゆる覆面パトカー?)がやって来て、中からジャンパー姿の課長が現れました。 

彼は、刑事第一課強行犯係のT・Nと名乗り、名刺はないとのことで、代わりにノートに書いたものを私にくれました。その上で、
「もう少し話をうかがいたいんです。事情が事情なので車の中で…」
と私を促します。

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手渡された名刺代わりのノート片。かなり珍しい苗字

「え? お詫びがしたいんじゃないの? また事情聴取? 話が違うじゃないか!」
と思いましたが、そのT・Nという課長、口調は穏やかなもののかなりの強面(こわもて)で、うかつに逆らえない威圧感がありました。

「見つかった死体について警察で今調べているんですが、実は、自殺じゃない可能性もあるんです」
T・Nの言葉は、まるで刑事ドラマのようでした。
「え、じゃあ他殺ってことですか?」
私もつられて、刑事ドラマの登場人物のような口調で聞き返してしまいました。
「いや、まだどちらかはっきりしないので、結果が出るまで両面で捜査をしているんです」
この辺のセリフも、何度となくドラマで聞き覚えがあります。
「このあたりは自殺の名所でしょう。だからそれを利用した偽装殺人という疑いもあるんです。誰かがどこか別の場所で殺人を行い、その後で死体をここまで運んできて木にぶら下げておく…ということもありうるわけで」

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ここまで来るともう完全に刑事ドラマです。何か、現実感が乏しい感じで聞いていると、突然T・Nは私の顔をはっきりと見て、こう告げました。
「大嶋さん。そうなると第一発見者であるあなたの証言が非常に重要なんです

何か、いきなり頭をがーんと殴られたようでした。
「そうか、私は第一発見者なのか。たしかにそうだ。私が遺体を見つけなければ、こういう展開にはならなかった」
と、一人で納得しましたが、同時に不穏な感情が湧きあがってきました。

刑事ドラマや2時間ドラマだと、第一発見者イコール犯人、というケースが非常に多いのです。それは周知の事実だと思いますが、とすると、警察は私を疑っているのでは??

そう考えてあらためてT・Nの顔を見返すと、何だかそういう疑いの眼差しが感じられないでもありません。そして彼は、その日の私の朝からの行動を根掘り葉掘り聞き始めました。
「樹海には何時ごろ着きましたか? そもそも、どうしてここに来られたんです?」

※私(大嶋)はこのまま殺人の容疑者にされてしまうのか? いよいよ緊迫する次回を待て!

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2015年01月30日

立ち昇る黒煙

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昨日(1/29)、所用で小田原方面に向かう小田急線に乗っていた時、冬枯れの風景の中にもくもくと立ち昇る黒煙を発見。

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「どう見ても工場の煙ではない。火事だろうか?」
などと思いながら何枚かシャッターを切ったが、乗客のほとんどは気づいていないようだった。

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画像はすべて、伊勢原〜鶴巻温泉間を走行中の列車から撮影

日没後、帰宅してネットで情報を確認。かなり大規模な火災だったことを知った。

スクラップ置き場で火災、神奈川 大量の黒煙、けが人なし

29日午前10時25分ごろ、神奈川県綾瀬市吉岡のスクラップ置き場で「黒煙が上がっている」と近くの女性が110番した。市消防本部や県警大和署によると、家電のスクラップや発泡スチロールが燃えているとみられ、けが人はいない。

消防車約10台が出動。周辺の約100世帯が停電している。現場は小田急江ノ島線長後駅の西約4キロ。(後略)

2015年1月29日13時54分 共同通信


黒煙はずいぶん広範囲に立ち昇ったようで、火元の綾瀬市だけでなく、厚木市・伊勢原市・海老名市・平塚市・藤沢市・鎌倉市・横浜市など、神奈川のほとんどの場所から目視で確認できたという。その規模の大きさにも驚いたが、それ以上にショッキングだったのが、近隣のTwitterユーザーたちが現場で撮影して投稿していた、その画像の臨場感。

大手マスコミは○○のひとつ覚えのように、こういう時には必ずヘリを飛ばしてその被害の大きさをアピールする。今回もニュース映像はほとんどがそれだったが、空撮というのはいかんせん距離が離れ過ぎている。火災の生々しさを伝えるという点では、「地域密着」で撮影した多くのTwitterユーザーの画像の方が圧倒的にまさっていたと思う。

かつては、火災などに遭遇しても、せいぜい「目撃者」どまりであったが、今では容易に「記録者」になることができ、さらにはその記録した情報の「発信者」にもなれる。Twitterユーザーの方たちはそれほど意識していないかも知れないが、これはある種の情報革命といっていいのではないだろうか。

少し前までは、事件や事故というものはマスコミ(=プロ)が一方的にニュースとして流すものだった。それがいつの間にか、普通の市民(=アマチュア)が双方向的に情報を発信し、それを共有するようになっている。こういうスタイルがいい形で定着・発展していけば、マスコミの悪しき偏向報道(隠蔽、捏造、レッテル貼り等)は次第に駆逐されていくように思うのだが…。
posted by taku at 13:49| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月28日

樹海で見たもの(1)

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これから書くのは今から8年ほど前の自分の体験です。文字にするのはこれが初めてのことになります。どうしてこれまで書かなかったかというと、少なからず衝撃的な体験だったため、なかなか文章にする気が起きなかったからです。でも、あれからだいぶ時間も経ったので、そろそろ解禁にしてもいいかな、と考えるようになりました。まあ平たく言えば、自殺の名所に行って、そこにあってもおかしくない「あるもの」を見てしまった、というだけの話なのですが…。ただ、発見後の警察の方とのやり取りなどは、現実の対応がどういうものであるかわかったという意味で、貴重な体験だったと思います。

※特にグロい描写やショッキングな画像は出てきませんが、この手の話が苦手な方は、読まない方が無難かも知れません。

あれは2007年春のことでした。その年の2月にある長編映画を撮り、3月からパソコンで編集を始めていた私は、製作現場における煩雑な人間関係にほとほと疲れ果て、とにかく人のいない場所でのんびり気分転換をしたいと考えていました。そこで4月に入り、編集がようやくひと段落したのを期に、以前から興味があった青木ヶ原樹海に足を向けたというわけです。しばらく休んでいたスチール写真をまた始めたいとも考えており、そのための「下調べ」という意味合いもありました。

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4月10日。晴れ。ネットでおおよその状況を調べ、地図もプリントアウトして、9時過ぎに家を出ました。新宿西口から出ている富士急高速バスの新宿−富士五湖線10:10発に乗り、中央道を通って11:55、ほぼ定刻に河口湖駅到着。そこから今度は12:10発の西湖・青木ヶ原周遊というローカルバスに乗って、富岳風穴に向かいます。ちなみに、この路線は「レトロバス」という車両が運行しているはずだったのですが、どういうわけかやって来たのは「レトロバス代行」という名の普通のバス。これにはちょっとがっかしました。

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これがレトロバス。現在も運行中らしい(富士急行のサイトより)

さて、このバスには不思議と外国からの旅行者が多く、しゃべっている言葉から、フランス、アメリカ、中国の方たちと想像されましたが、日本人は一人もいません。「日本人はあまり富士五湖周辺には興味がないのだろうか?」などと考えながら車窓にもたれ、春まだ浅い山や湖をぼんやりとながめていました。

40分ほどバスに揺られ、12:50、富岳風穴のバス停に到着。この地に降り立つのは、中学2年の夏季施設以来です。しかし今回は風穴が目的地ではなく、このバス停からほど近い入り口から、青木ヶ原樹海へと入っていくわけです。ネットなどの情報によると、そのルートが一番わかりやすいとのことでした。
でもその前に、まずは軽い食事でも、というわけで、バス停のすぐそばにある売店に入りました(この周辺のお店はここ一軒だけ)。

メニューは、天ぷらそば、天ぷらうどん、カレーそば、カレーうどん、コロッケくらいのもので、私は500円の天ぷらそばを頼みました。そばと言いつつ、そばとうどんの中間くらいの太さの麺(長崎ちゃんぽんくらい)で、独特の食感でした。天ぷらは自家製ではなくどこかから仕入れたと思われるかき揚げで、他にわかめと山菜が少し乗っていました。

ちなみに、店舗は2012年にリニューアルし、現在はメニューもだいぶ増えているようです。
■森の駅「風穴」

さて、天ぷらそばも食べ終わり、いよいよ樹海に向けて出発です。プリントしておいた地図をコートのポケットから出し、それを手に、来た道をちょっと戻ると、左手に樹海遊歩道の入り口が見えてきます。

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「自殺防止呼びかけ箱」や「命は親から頂いた大切なもの」などと、物々しい文章が書かれた立て札が目につきますが、その先を読むと…
「もう一度静かに両親や兄弟、子供のことを考えてみましょう」

てことは、両親も兄弟も子供もいない人間は死んでもいいのでしょうか? 自慢じゃありませんが私は親も片方しか残っていないし、兄弟も子供も配偶者もいない、ほぼ天涯孤独の身の上です。
「こんな言葉ではオレを止められないぞ」
などと毒づきつつ、歩みを進めていきました。

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すずらんテープがあちこちに散乱しています。これは、道をはずれてもまた元の場所に戻って来るために必要不可欠なもので、ここではある種の命綱らしいです。景観的には最低ですが。

でも、ここは遊歩道と言いつつかなり自然そのままで、当時近所だったためよく散歩していた生田緑地や、以前サイトでも紹介した猿島の遊歩道が、ほとんど木道(木で作った道)化されていて直接地面を踏みしめることすらできないのと比べると、まさに雲泥の差です。右も左も原生林、そして足元は溶岩が固まったものと無骨な木の根。遊歩道というにしてはワイルドすぎるかも知れませんが、「だが、そこがいい」と心から思いました。

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そしてもうひとつ、「なんてすがすがしいんだ、素晴しいなあ」と感じたのは、人の姿がまったく見えないという点。最初に書いたとおり、私はこのころ、映画がらみで人間関係に疲弊しきっていたので、とにかく「人」と名のつくもののない空間を渇望していたのです。高速バスもローカルバスも、そこそこ混んでいたので、樹海がここまで無人というのは不思議な気もするのですが、彼らはみな、もっとわかりやすい「観光地」に散っていったのでしょう。

「ここにあるのは、ありのままの自然と自分だけじゃないか」
と、かなりいい気持ちで、デジカメ片手に絵になりそうな場所を探しつつ、あたりを見回しながら歩いていたのですが…

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ふと遊歩道の右側の林に目をやった時、人らしき姿が目に入りました。
50〜100メートルくらいは離れていたでしょうか?

かなり高い木の下で、少し腰をかがめて膝を曲げたような格好で、最初は立ってるのかな?と思いましたが、よく見ると、首の上にロープが見えました。まだ若い痩せ型の男性のようで、目をつぶっていて、口元はタオルのようなもので塞がれている感じでした。そこそこ手が届くくらいの木の枝に、輪っかにしたロープをぶら下げ、そこに自分の首を入れて体重をかけたようです。そういえば、首吊りは高いところでなくても、ドアノブでも死ねる、というのを何かで読んだのを思い出しました。

さすがに、近くまで行って、ことの真偽を確かめる勇気はありませんでした。でも、これはもう体感と言うしかないと思うのですが、その場に「人の形」をしているものは「ある」けれども、そこに「人」が「いる」という気配はまったく感じられなかったので、彼がもう昇天していることは間違いないように思いました。

「ああ……」
口から漏れたのはため息か呻きか、とにかく大きく嘆息するしかありませんでした。
私が歩いていたのは、インターネットでもガイドブックでも紹介されていて、「樹海もこのルートをはずれなければ怖くない」などと書かれているくらいのメジャーな遊歩道です。文字どおり「道をはずれたこと」は何もしていません。ごく標準的な、教科書的なルートを、ほんの10数分歩いただけなのに、いきなり人間の「生きていない姿」と遭遇してしまうなんて。世の中には、わざわざ死体見たさに樹海の奥まで分け入る猛者もいると聞きますが、そうした人でも、容易には見つからないといわれているのに…。

正直に書きます。私は一度は、
「これは、見なかったことにして素通りしよう」
と考え、そのまま数分歩き続けました。警察に通報したりしたら、どのくらい時間を取られるか想像もつかなかったし、そうした世の中との関わりが、ひどく憂鬱に思えたからです。

しかし、見てしまったのに、見ないことにしてこのまま立ち去ったら、この先どうにも寝覚めが悪いように思われ、歩みを止め、30秒から1分悩んで出した結論。

「自分が直接警察を呼ぶのはどうも抵抗がある。よし、風穴の売店の人に知らせてすぐに立ち去ろう」

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われながら名案のように思い、すぐに来た道を引き返して、西尾徳(声優、故人)によく似た店のおじさんに事情を伝えました。おじさんは、
「え、そんな入ってすぐのところに?」
と意外そうな反応でしたが、とにかく、もうひとりの店の人と一緒に現場まで来てもらいました。

「ああ、ありゃあ若いねえ、よく見つけたねえ」
と、西尾徳(似)氏がその場で携帯を使って地元の警察署に電話をしてくれましたが、やはり樹海の中なので電波状況が悪いらしく、通話は途中で切れてしまいました。
私は、
「あとはお願いできませんかねえ。先を急いでいるもので」
と低姿勢で頼みましたが、
「いや、それは困ります」
とはっきり言われてしまい、ここでもう覚悟を決めました。
ふたたび店まで戻って、西尾徳(似)氏が警察にもう一回電話。途中で、電話を変わってくれと言われたので、発見者です、と名乗って状況を簡単に話したら、
「じゃあこれからパトカーが行きますから」
とのこと。

「…ああ、やっぱりそういう展開になるのか。これは、この先の樹海散策は諦めた方がいいんだろうか?」
先ほど、そばとうどんの中間のような麺を食べたのと同じ店の椅子に座り、私は、いつ来るとも知れないパトカーを、ただ待っていました。

※思ったより長くなったのでつづきは次回。次回は何と、あの遺体は他殺の疑いが!という驚愕の展開です。

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2015年01月20日

危うし高崎白衣大観音

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新幹線の車窓から浅間山と大観音を望む

去る14日、ついに「日本三大特撮大観音」3箇所目にして最大最古の、高崎白衣大観音を訪ねてきた。

高崎白衣大観音へのアクセスは、JR高崎駅西口から「ぐるりん観音線」バスに乗って約20分。「白衣観音前」で降りると、いきなり正面にそのお姿が。

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上も書いたように、高崎白衣大観音の高さは41メートルで、26メートルの大谷平和観音、25メートルの大船観音をはるかに凌ぐ。またその歴史を見ても、大船観音と大谷平和観音が「戦後」の生まれであるのに対し、こちらは「戦前」である(完成の翌年に日中戦争開始)。

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高崎市の実業家だった井上保三郎(1868〜1938)は、1934年(昭和9年)の陸軍特別大演習の際、昭和天皇と単独で拝謁したことを契機に、観光都市高崎の建設・十五連隊戦死者の慰霊・社会の平安などを願って、幼いころからの信仰対象だった観音像の建立を決意した。原型の制作者は、鋳金工芸家・彫刻家の森村酉三(1897〜1949)。井上は「私はセメント会社を経営していてコンクリートが豊富にある。これを何かに活かしたい」と語り、井上の熱意に打たれた森村はノーギャラで制作することを約束したという(この辺はネットの百科事典より)。

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目線と同じ高さからだと厳かな御顔立ちという印象だが

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下から見上げると、柔和で微笑んでいるような表情

2年余りの歳月と巨額の私費を投じ、高さ41,8メートル、重さ5,985トン、鉄筋コンクリート製の日本一(当時)の大観音像が完成。1936年(昭和11年)10月20日に開眼供養が行われた。翌年、高崎観光協会が設立され、大観音を中心とした市の観光事業は急速に発展。この年大観音を訪れた観光客は85万人に達したという。(この辺は高崎市のサイトより)。
なお、建立の責任者だった井上は、大事業の疲れが祟ったのか、完成のわずか2年後に69歳で亡くなっている。

たしかにセメント会社を経営しているのであれば、材料はまさに「売るほどあった」わけだから、これだけ大規模なものも作れたということなのだろう。大谷平和観音も見上げるほどではあったが、この巨大感はそれの比ではない。ちなみにウルトラマンの身長は40メートル(円谷プロ公式設定)。実際にウルトラマンがいたら、ほぼこれくらいのスケールということになる。

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本堂の千体観音堂は1986年(昭和61年)建立なので割と新しい

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「うわ、なんだこの無数のボツボツは!」と、一瞬戸惑ったが、胎内巡り用の小窓でした。

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この角度で見ていると、何か違うもののように思えてくるのは私の心がねじれているから??

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でもって、恒例(?)の胎内巡りである。といっても、大谷平和観音は構造上胎内に入るのは不可能だったので、大船観音以来2度目というだけだが。

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だそうである。もし帰りに何か事故にでも遭ったら補償して下さるのか?

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大船観音の胎内は、写真パネルで完成までの過程を解説していたが、こちらは油絵。

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全部で20体の仏像が安置されている。

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出た、エンマーゴ! ではなく、普通に閻魔大王。

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出た、不動明! ではなく、普通に不動明王。

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こういう注意書きが多いっていうのは、それだけマナーの悪い人がいるってことなのね。

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最上階からは高崎の街や浅間山が一望できる。

では観光案内的な説明はこれくらいにして、そろそろ特撮作品の紹介をしていこう。前回の『ウルトラマン80』と同時期の1980年、つまり私が高校2年の時に放送されていた『電子戦隊デンジマン』。

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ただ、『ウルトラマン80』はリアルタイムでかなりの回数見ていたのに対し、こちらは第1話以外ほとんど視聴していなかった。第1話を見て、あまり新鮮味を感じなかったからかも知れない。翌81年、次作『太陽戦隊サンバルカン』放送中の夏休みに最初の再放送が(途中まで)行われ、それを見てこの作品の面白さを再認識した次第である。

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第33話「吸血楽器レッスン」
脚本:上原正三 監督:服部和史 特撮監督:矢島信男/佐川和夫
1980年9月13日放送


あらすじ。ベーダー一族のへドリアン女王が、迎賓館(思い切り実在の建物じゃないですか!)に収められている「黄瀬戸の大壺」を破壊する、と予告してきた。何のために?という感じだが、へドリアン女王は「美しいものが大嫌い」という設定が物語の初期において為されているので、それが理由のすべてであろう。デンジマン5人は警察と連携して警備に当たるが、ベーダー怪物サキソホンラーが放った「音波メス」によって大壺は破壊されてしまう。気をよくしたへドリアン女王は同じ手口で貴重な美術品を次々に粉砕していき、そして目をつけたさらなる標的が「大観音」。劇中で名称は明確にされていないが、画面に映るのはまぎれもなく、高崎白衣大観音である。

というわけで、これまた恒例のキャプチャ画像と現在の画像との比較をどうぞ。

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1980年当時

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2015年現在。天候は大きく違うが、観音像自体には変化なし

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「大観音を狙う!」との予告を受け、物々しい警備網が敷かれる

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常香炉の屋根飾りが変わったのがわかる。また、「銭 宝」が「宝 銭」に

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大観音の前に勢ぞろいしたデンジマン

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同じ場所から撮影。太鼓橋の形が少し違うかな? と思ったら、現在のものは1996年(平成8年)に架けられたとのこと

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大観音をバックに困惑した表情のバルシャーク、ではなく黄山(デンジイエロー)の知人・三郎(おそらくこの回は『サンバルカン』のためのテスト出演だったのでしょう)と、彼にサックスの演奏を強要するベーダー一族の女スパイ・ケラー(この場面では一般人の服装なので、普通のきれいなお姉さんです)。

どうしてこんな状況になっているかというと、サキソホンラーは一度「音波メス」を使うと、エネルギーを激しく消耗して半病人のようになってしまう弱点があった。本人いわく「人間に寄生できれば、ご期待に沿う働きができますです」。というわけでベーダーは、サックスプレイヤーを夢見る屈強な若者の三郎に目をつけ、ニューヨーク行きをちらつかせて彼にサキソホンラーが化けたサックスを吹かせ、次々と美術品を破壊していたというわけ。真相を知った三郎は協力を拒むが、「今日だけの我慢よ」とケラーに言われ、もはや「毒食らわば皿まで」の心境(?)でサックスを大観音に向ける。

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上のシーンは観音像正面にある展望台から撮られたのだが…

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現在は木が成長したため、同じ角度からだと観音像が見えづらい

実写で白衣大観音が登場するのはここまで。デンジイエローと残りのデンジマンがその場に急行し、三郎を解放してサキソホンラーとの戦闘が始まる。でもってデンジブーメラン→一回サキソホンラーを倒す→巨大化「お〜の〜れ」の王道パターン。

『デンジマン』の場合、ベーダー怪物が巨大化してからの展開は、ほとんど同じセットを使い回したルーティンワークなので、今回の白衣大観音の存在も放置だろうと、あまり期待はしていなかったのだが、

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巨大化して暴れるサキソホンラーの手前に大観音が!

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そして、ダイデンジンとの戦闘シーンにも、しっかり大観音のミニチュアが!
(ダイデンジンは65メートルという設定なので大観音よりかなり大きい)


さすがに円谷の『ウルトラマン80』での大観音のセットと比べると簡単なものだが、それでもちゃんと画面に入れ込んでいるというのは好印象だった。ただ、せっかく特撮セットに大観音のミニチュアを持ち込んだのだから、破壊は無理としても、サキソホンラーが音波メスで大観音を狙い、それをダイデンジンが阻止するというシークエンスは是非とも入れて欲しかった(それがもともとのサキソホンラーの使命であったわけだし)。せっかくの大観音がただの風景で終わってしまったのは残念なところだ。

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危うし大観音!

というわけで、ついに「日本三大特撮大観音」念願のコンプリートである。落涙するほどの感動ではないが、まあ、それなりに達成感というのはあるものだ。

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大船観音『シルバー仮面(ジャイアント)』15話

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大谷平和観音『ウルトラマン80』43話

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高崎白衣大観音『電子戦隊デンジマン』33話

これで昨年夏以来、悪い病気のように高まってきていた私の特撮熱も、少しは醒めるだろうと胸をなで降ろしつつ、帰路に着いたのであったが、新宿駅に到着した私の眼に、信じられない光景が飛び込んで来た!

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ウルトラマンスタンプラリー!

1月13日に始まったばかりだと言う(高崎に行った日の前日ですよ)。

あ〜、何でまたこういうのが始まっちゃうのかな〜。もういい加減特撮ネタは封印したいのに!! でも、Q、マン、セブン、帰りマンの4作品ていうのが、私なんか世代的にどストライクなんだよな〜(リアルタイムではA以降は見ていないので)。

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ありものの写真ではなく開田裕治画伯のイラストっていうところがまたいいね!

どこまでも運命は私を翻弄する。しかしこうなればやることはひとつだ。スタンプ台の前に置いてあるはずのスタンプ帳が品切れになっていたので、駅員さんに頼んで1冊わけてもらい、早速、新宿駅の怪獣「ウー」のスタンプを押す(でも何でウーが新宿なの? ストーリーとまったく関係ないぞ! ウーが出てくるのは雪山だぞ。新宿でロケをした『帰りマン』のサータンとかのがいいんじゃないか? あと、何でウルトラマンが南流山なんだ? もしかして南=M、流れ=7、山=8でM78星雲に引っかけたとか?)。

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緊張のせいかスタンプ上部がかすれてしまった(泣)

とにかく、ひとつ大きな使命を果たし終えたと思っていた私に、さらなる使命が待っていた感じだ。例えるなら、ショッカーが滅んだと思ったらゲルショッカーが、鉄面党が滅んだと思ったら宇宙鉄面党が、新人類帝国が滅んだと思ったらデスパー軍団が、Σ(シグマ)団が滅んだと思ったら恐竜軍団が出てくるようなものだろうか。戦士に休息はないのだ。

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それにしても今回のウルトラマンススタンプラリー、新宿駅では女性の姿が目立っていた。ていうか、私が見た限り、ほぼ全員女性だったぞ。これは一体?? 「ウルトラ」は妙齢女性の隠れた人気アイテムなのか? その辺も含めて、次回以降考察して行きたいような、もう辞めたいような…(現時点では未定です)。

※このページのキャプチャ画像は、(株)東映が制作したテレビ映画『電子戦隊デンジマン』第33話「吸血楽器レッスン」(1980)からの引用であり、すべての著作権は東映が保有しています。
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2015年01月11日

公式サイトリニューアル

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早いもので、新しい年を迎えて10日以上が過ぎてしまいました。
遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。

さて、この年末年始をどのように過ごしていたかといいますと、実に6、7年ぶりとなる、公式サイトのリニューアルに忙殺されておりました。今回は既成のテンプレートを利用したので、かなりサクサク(2、3日もあれば)できるだろうと踏んでいたのですが、正直甘かったです。毎度のことながら、サイト関連の作業は驚くほど時間を取られます(しかも、それだけ時間を費やしても、リンクのミスとかいろいろあったりする)。

思い起こせば私が公式サイトを最初に立ち上げたのは、忘れもしない2001年1月1日。21世紀の幕開けの日です。その時はまだ自分にスキルがなかったので、Sくんという知り合いに全部おまかせしていたのですが、2年後の2003年からは自分で作成するようになり、何度かのリニューアルを経て、今回に至るというわけです。最初はプロバイダのサーバーを使っていましたが、すぐに容量が足りなくなって有料のサーバーに移ったり、独自ドメインを取得したりと、いろいろ試行錯誤の連続でした。おかげで、HTMLとかその辺のことは、ある程度わかるようになりましたが、このごろでは手軽なブログやtwitter、facebookなどが主流で、いわゆるホームページというのはいささか時代遅れの印象もあります。私がサイトを始めてから数年はちょっとしたホームページブームで、まわりの知人もかなりの人が手を染めていましたが、今でも続いているのはごく少数になってしまいました。

でも、私はどうもSNSという奴が得意でないため、相変わらずネットでのツールは、公式サイトとこのブログだけです。しかし公式サイトは数年放置、ブログについては更新はしているものの最近は特撮などの趣味に走りすぎており、さすがにこのままでは社会人として怠慢ではないかと反省し、年末から作業を開始しました。トップページをはじめとするすべてのページから、直接主要な作品紹介ページに飛べるようにしたり、個々のページにyoutubeの動画(予告編やダイジェスト)を貼り付けたり、テキストなども全部チェックし、内容が古いものは適宜修正してみました。約2週間の労作です。お時間がありましたら、一度ご覧になってみて下さい。

大嶋拓 公式サイト:タクラマネット

先ほども書いたように、既成のテンプレを使用していますので、デザインはそれなりにバランスが取れていると思いますが、逆にこれまでのようなハンドメイドっぽさは薄れてしまったかも知れません。というわけで、旧サイトのページの一部は前のデザインのまま残し、右下のメニューから入れるようにしてみました。また、最近スチール写真への興味が再燃しつつあるので、フォトギャラリーも前より少しだけスタイリッシュにしてあります。今後もコンテンツの充実をめざし、定期的に更新できたらいいな(確実に「する」と断言できないところがダメですねえ)と思います。
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