2016年04月27日

後藤圭氏が語る劇団かかし座

早いもので、鎌倉アカデミア創立70周年記念イベントから10日あまりが経過してしまいましたが、あらためて、大変盛りだくさん、かつ意義深いイベントであったと感じています。

さて、前回は劇作家・若林一郎さんのトークの一部を公開しましたが、今回は、劇団かかし座の後藤圭代表のトークを、30分のダイジェスト版でお届けします。鎌倉アカデミアに学んだ劇団創立者の故・後藤泰隆氏の思い出や、現在に至るまでのかかし座の歴史、影絵の尽きせぬ魅力などを、たっぷり語っていただきました。お蔵出しフィルム作品「アリババと40人の盗賊」「金のがちょう」などのダイジェスト映像や、鎌倉アカデミアで泰隆氏と同級だった加藤茂雄さんによる「秘話」も収録しています。大型連休のひとときに、是非ご覧下さい。


https://www.youtube.com/watch?v=PbKXkRdczY8

前回の若林さんのトークはほぼ撮影素材のまま公開しましたが、今回は気合を入れて60分以上のものを半分に編集してみました。これまでの劇団かかし座の歩みが、大づかみではありますが、お分かりいただけるかと思います。かくいう私も、『影たちの祭り』という映画でかかし座の人たちと親近するようになったため、どうしても「かかし座=手影絵」とイメージが強く、それ以前の歴史やかつての作品については、今回のイベントで見知ったことも多かったのです(かかし座が制作に携わった「千代太郎子ども劇場」の声の出演が、昨年亡くなった熊倉一雄氏であったことも、この間の上映で知りました)。
posted by taku at 19:33| 鎌倉アカデミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月22日

倉田室長よ永遠なれ!!

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4月14日、アニメファンにも、特撮ファンにも、そして洋画吹き替えファンにも衝撃が走った。つい最近まで、あの雷のような威勢のいい、そして張りのある低音ボイスをわれわれに届けてくれていた大平透氏のまさかの訃報(4月12日、肺炎にて逝去、86歳)。この方だけは、いつまでもお元気でいてくれるイメージがあったのだが、最後は意外と早かった。まずは、生前の偉業に深く敬意を表し、謹んでご冥福を祈りたい。

いろいろな作品が頭に浮かんでくるのだが、日本に「声優」という職業が生まれる前から生のアテレコをやられてきた方なので、出演作も膨大な数である。代表作といわれるものだけあげても十指を軽く越えてしまう。メディアは一体、どのあたりの作品を氏の「メジャーワーク」として取り上げたのか気になり、ネットで訃報記事を調べてみたところ、以下のような結果になった(作品名のみ抽出、役名は省略)。

朝日新聞
「スーパーマン」「ハクション大魔王」「笑ゥせぇるすまん」「ザ・シンプソンズ」

読売新聞
「スーパーマン」「スパイ大作戦」「おらぁグズラだど」「ハクション大魔王」「スター・ウォーズ」「ザ・シンプソンズ」「笑ゥせぇるすまん」

毎日新聞
「スーパーマン」「ハクション大魔王」「スター・ウォーズ」「笑ゥせぇるすまん」

東京新聞
「スーパーマン」「スパイ大作戦」「ハクション大魔王」「笑ゥせぇるすまん」「科学忍者隊ガッチャマン」「スター・ウォーズ」

日本経済新聞
「スーパーマン」「スパイ大作戦」「ハクション大魔王」「笑ゥせぇるすまん」

サンケイ新聞
「スーパーマン」「スパイ大作戦」「スター・ウォーズ」「ハクション大魔王」「戦隊シリーズ」(ナレーション)「笑ゥせぇるすまん」

共同通信
「スーパーマン」「スパイ大作戦」「ハクション大魔王」

時事通信
「スーパーマン」「スパイ大作戦」「マグマ大使」「ハクション大魔王」「科学忍者隊ガッチャマン」「秘密戦隊ゴレンジャー」(などのスーパー戦隊シリーズ)「笑ゥせぇるすまん」

日刊スポーツ・スポーツニッポン(東京新聞と同記事)
「スーパーマン」「スパイ大作戦」「ハクション大魔王」「笑ゥせぇるすまん」「科学忍者隊ガッチャマン」「スター・ウォーズ」

スポーツ報知
「スーパーマン」「ハクション大魔王」「スター・ウォーズ」「笑ゥせぇるすまん」

サンケイスポーツ
「スーパーマン」「スパイ大作戦」「ハクション大魔王」「戦隊シリーズ」(ナレーション)

デイリースポーツ
「スーパーマン」「スパイ大作戦」「マグマ大使」「おらぁグズラだと」「ハクション大魔王」「科学忍者隊ガッチャマン」「スター・ウォーズ」「笑ゥせぇるすまん」

主だった新聞系13メディアを調べた結果だが、やはり、出世作である「スーパーマン」はすべてのメディアが、経歴とからめて記載していた。そして「ハクション大魔王」も、全メディアが紹介している(そんなに人気番組だったのか? とちょっとびっくり)。次いで多かったのが「笑ゥせぇるすまん」。晩年の代表作であり、最近までCMもオンエアしていたから、これは妥当なところなのだろう。

一方、私のような特撮ファンとしては、「マグマ大使」を取り上げたのがわずか2つのメディアだけだったのは少々淋しい。「戦隊シリーズ」などのナレーションに言及したのも3メディアだけであった。しかし、「マグマ大使」も「戦隊シリーズ」も、取り上げたメディアがあっただけ、まだ救われている。1年3ヵ月も放送され、しかも顔出しでレギュラー出演していた「スペクトルマン」(番組開始時は「宇宙猿人ゴリ」)については、トップクレジットだったのにも関わらず、ただひとつのメディアも取り上げていないのだ(まあ、充分予想された事態ではあるが)。

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「宇宙猿人ゴリ」(「スペクトルマン」)1971年1月2日放送開始

とはいえ、1963年生まれの私にとって、「大平透」といえば、「スーパーマン」でも「笑ゥせぇるすまん」でもなく、まず何より「スペクトルマン」の倉田室長(ボス)である。上に挙がった数々のメジャーワークについては、ほかの人がいろいろなところで充分書いたり語ったりすると思うので、このブログでは、マイナーワークとも言うべき「スペクトルマン」の倉田室長(ボス)に絞って、その知られざる魅力を紹介していきたい。

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倉田茂雄。42歳。公害調査局第八分室室長。妻・長男と都内の団地に暮らす。通称ボス(実際の大平氏は、撮影開始当時40歳になったばかりだが、ダブルの背広もダンディに着こなし、大変な貫禄である。現在のへなちょこな40代とはえらい違いだ)。

では、彼が指揮を執る「公害調査局」とは一体どのような組織なのか。
ここで、今や貴重な当時の文献を紹介しておこう。

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『怪獣カラー図鑑』(1971年・秋田書店)

この中に「われらは公害調査員」という特集ページがある。

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この記事内に、「国家公務員として、日本全国の公害に関するあらゆる調査・記録・科学分析などの仕事を使命とするのが公害調査員つまり公害Gメンである」との記述がある。一見、地方公務員のような地味さだが、彼らはれっきとした中央の官吏なのである。

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ちなみに、内閣に公害調査室が設置されたのはこの前年の1970年7月31日で、環境庁の発足は1971年7月1日。この番組はちょうどその中間に当たる1月2日にスタートしており、まさに時代状況を敏感に取り入れた設定と言えそうだ。しかし肝心のオフィスは雑居ビルの一室のようで、花形部署という印象ではない。記事にも、「公害調査室は、東京駅近くのあまりりっぱではない建物の一画にある」と正直に書かれている。

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そしてそれを裏付けるかのように、倉田ボスは第1話「ゴリ地球を狙う!」の初登場シーンでいきなり、
「予算は少ないし、設備も充分ではない。あるのは…情熱だけかも知れない」
とぼやく。まるでこの番組の制作体制のことを言っているようである。

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そこへ蒲生譲二(スペクトルマンの人間体)が公害Gメン志願者として転がり込み、後に正式配属となる。

お堅いはずの公務員職場に、型破りな新人が加入し、先輩たちにもまれながら事件を解決していく。そして、それを暖かく見守るボス。…これって、「太陽にほえろ!」と同じフォーマットでは??と、「太陽にほえろ!」が始まってから思ったものである。実際、実写のテレビドラマで上司を「ボス」と呼ぶのは「太陽にほえろ!」が最初のように思われがちだが、この「スペクトルマン」の方が1年半も早い。また「ストライプの背広をおしゃれに着こなす恰幅のいい中年上司」というイメージも、倉田室長と藤堂係長(石原裕次郎)に共通のものである。

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貫禄充分の倉田ボス(第19話)。なぜか後ろに「2001年宇宙の旅」のポスターが見える

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こちらは「太陽にほえろ!」の藤堂ボス(第1話)。石原裕次郎は当時38歳

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第1話の後半、大空を飛ぶスペクトルマンを指差し、「あれは何だ?」と叫ぶボス。「スーパーマン」へのオマージュか?

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第2話「公害怪獣へドロンを倒せ!!」より。負傷した蒲生を気遣うボス。後でも述べるが、このチームはなぜかスキンシップがさかんである。

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公害Gメン全員出動の図。最初のうちは、倉田ボスも現場に出向くことが多かったが、後半は多忙のためか、内勤が増えていく。このあたりも「太陽にほえろ!」の藤堂ボスと同じ?

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第10話「怪獣列車を阻止せよ!!」でのワンシーン。歩き疲れて座り込んだ有藤にボスは、
「だらしないぞ」
と一喝する。すると有藤はひとこと、
「ボスみたいにぼくはスーパーマンじゃないですからね」

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またしても「スーパーマン」ネタである。しかしボスはまんざらでもなさそうな表情。

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このすぐあと、怪獣に気づかれないよう、ボスは有藤の口を押さえるのだが…

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どう見ても無理やりキスしようとしているようにしか見えない。

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第15話「大地震東京を襲う!!」第16話「モグネチュードンの反撃!!」では妻(奈津子)と長男が登場。長男は「まもる」という名前(「マグマ大使」つながりか?)。

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まもるの誕生日に、部下ともどもプレゼントを大量に買い込むボス。かなりの親バカ。

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一行がバスを待っている時、突然大地震が発生(この回の特撮は力が入っている)。

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「一度燃えたところは二度と燃えない」と、部下を焼け跡に誘導するボス。さすが戦争経験者。

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激しい揺れのために団地のリビングルームが真っ二つに。何とこれはミニチュアではなく実際のセット。左隅でボスの奥さんが悲鳴を上げている。

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パニック映画のワンシーンのよう。このあたりは町田市鶴川の「お化けマンション」にて撮影。

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団地は今や倒壊寸前、まもるはベランダから宙吊りになってしまう。

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この時のボスは、動転のためか、まもるに呼びかける声が何度か裏返る。大平透の裏返った声というのもかなり珍しい。

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まもるが蒲生に救出されたあとも、寄り添ったままの2人。あつあつ夫婦である。

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第19話「吸血怪獣バクラー現わる!!」より。
この日のボスはちょっとご機嫌ななめ。たるんでいる部下たちを一喝。

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「ああまったく、どうしてこうウチの連中はとぼけているんだろうね」
と嘆く。

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第20話「怪獣バクラーの巣をつぶせ!!」より。
富士山内部に作られたシロアリ怪獣バクラーの巣を焼き払うため、スペクトルマンはガスタンクを両手に抱え上げ、

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それを富士山の火口に投げ入れるという暴挙に出る(スペクトルマンは無限大に巨大化できるという物凄い設定)。

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「お、ガスタンクじゃないか」と、冷静に状況を語るボス。

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その結果、富士山は大噴火。そんな大災害を目の当たりにしても、さすがボスは大物、

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「富士山だって、怒りたくもなるだろうよ。怪物の巣にされちゃあな」
のひとことですませている。

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第36話「死斗!! Gメン対怪獣ベガロン」より。
公害Gメンは「怪獣Gメン」に組織変更となり、最新鋭の装備や武器が供給されることに。

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テレショップのようによどみなく、新兵器の説明を続けるボスの姿がおかしい。隣りにいる新女性メンバーの紹介はそっちのけ。

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「ボスぅ〜」とせがまれて、やっと一同にお披露目。なかなかのべっぴんさんです(すぐに降板したのが残念)。

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箱根に怪獣が現われたとの知らせを受け、怪獣Gメン初出動。

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メンバーの服装はアクティブなものになったが、ボスだけは相変わらず背広姿。

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第48話「ボビーよ怪獣になるな!!」より。
「アルジャーノンに花束を」をベースにした、名作の誉れ高い一編。そば屋の三平(鶴田忍)との微笑ましいツーショット。

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「三平くん、何かいいことでもあったのかね」
と問いかけるボス。しかしその「いいこと」が大きな悲劇を招くことに…

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最終回「さようならスペクトルマン」より。
作品後半では本部で司令塔役に徹していたボスだが、最終回ということもあり、久々にみずから出動。

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蒲生が少年に渡した形見のペンダント(スペクトルマンのバックルを模したもの)を見て、その正体をはっきり悟るボス。

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「そうか。蒲生、やっぱり君は…スペクトルマン」
というモノローグが重く響く。

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スペクトルマンとラーとの最後の決戦。

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傷つきながらもダブルフラッシュでラーを倒し、猿人ゴリは自決。戦いを終えたスペクトルマンが故郷に帰る時が来た。もう蒲生譲二の姿には戻れないと母星のネビュラ71から宣告されているため、残念ながら、蒲生とボスとの別れの場面はなし。

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しかし、無言でスペクトルマンを見つめるその表情は、それまでボスが見せたことのないもので、かなり胸が熱くなる。

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そんなボスに、慎み深く頭を下げるスペクトルマン。

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帰還するスペクトルマンを見送る一同。「ウルトラセブン」の最終回と似ているようだが、あちらは全員が「セブン=モロボシ・ダン」だとわかっていたのに対し、こちらは、ボスだけが真実を知っている、というところが何となくいい。

以上、かなりダイジェストで倉田ボスの雄姿をご紹介してきた。先ほども書いたように、「スペクトルマン」は大平氏のメジャーワークとは言えないかも知れないが、その美声のみならず、人柄を感じさせる温顔や堂々たる体躯をたっぷり鑑賞できる、数少ない実写作品である。撮影現場での大平氏は、実際に「ボス」的な存在だったようで、自身が行きつけのブティックとタイアップして、他の出演者のスーツを用意したという逸話もあるらしい。
そんな現場のアットホームな雰囲気が、そのまま画面に現れているようで、公害Gメンの職場はいつも和やかで楽しそうに見える。新人の蒲生は、その奇行の多さゆえ、時にボスや先輩たちから変人呼ばわりされるが、それもいわば親愛の情の表れで、いじめのような陰湿さはまったく感じられない(この辺が、同時期放送の「帰ってきたウルトラマン」のMATと大きく違うところだ。あちらは岸田を筆頭に全員顔つきが険しく屈折した感じで、何かというと新人の郷に辛く当たる。チーム全体の雰囲気も暗く、子供心にもMATの連中には親しみを持てなかった)。公害Gメンチームの好感度の高さは、ひとえに「ボス」倉田室長の人徳、すなわち演じた大平氏自身の人徳によるもののように思われる。故人を偲びつつ、改めて第1話から見直してみたい作品である。

なお、この作品の終了から半年後、「科学忍者隊ガッチャマン」の放送が始まり、そこで大平氏は科学忍者隊の統率者である南部博士を演じることになる。実写特撮作品の正義側リーダーと、アニメ作品の正義側リーダーの両方を演じたのは、おそらく大平氏一人だけではなかろうか。

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そしてその数年後には、「秘密戦隊ゴレンジャー」をはじめとする東映戦隊ものやメタルヒーローシリーズのナレーションを担当、長きにわたって作品の水先案内人を務めることになる。その時代の戦隊ものやメタルヒーローものはほとんど見ているが、あのナレーションは、作品に大いなる「安定」をもたらしてくれたと思う。たとえ物語の展開が(例えば「時空戦士スピルバン」の最終回のように)かなり破綻していたとしても、あの声で語られてしまうと、「まあ、大平さんが言ってるんじゃ仕方ないか」と納得させられてしまう「押し出しの強さ」とでも言おうか。しかしその一方、あの時代の東映特撮のラスボスといえば、飯塚昭三氏が担当する率が高く、飯塚氏の声ももちろん好きだったが、たまには趣向を変えて、大平氏がラスボスをやってもいいのになあ、などとしばしば思ったのも事実だ。
「もうナレーターポジションが定着してしまい、ゴアのようなパワフル系の悪の帝王を演じることはないのだろうか」
と残念に思っていたので、1995年に「超力戦隊オーレンジャー」で皇帝バッカスフンドを演じた時にはかなり驚いたものである。ゴア以来、約30年ぶりのラスボス復活ということで大いに期待したが、最終回まで玉座に留まることなく、物語中盤で退場してしまったのは残念だった。

大平氏については、まだまだ語りたいことがあるが、かなり長くなったので今回はこの辺にしておこう。自分が幼少のころからなじみの深かった俳優、声優諸氏が、次々に天に召されていくのを見るのは、かなり辛いものがあり、自分がそれだけ年を取ったという現実と相俟って、得もいわれぬ喪失感に襲われる。しかしもう多くは語るまい。映像作品の中では、いつだって、彼らに会えるのだから。
posted by taku at 19:53| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月20日

祝!仮面ライダー生誕45周年(おまけ)

仮面ライダー生誕45周年を祝い、タクラマブログがお送りするお宝シリーズのおまけ。前回で終わったはずだが、手元にこういうものが残っていたので、放送当時の資料として公開することにした(コンディションが大変悪いので、どうしたものかかなり悩んだのだが…)。

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『テレビマガジン』1972年9月号で「ショッカー怪人 人気コンテスト」が行われたのは特撮ファンなら周知の事実だが、その告知グラビアがこれ。全62体の写真をずらりと並べた「エントリー怪人カタログ」である。なお、『テレビマガジン』そのものは残っていないのであしからず。

★25ページのせつめいをよくよんで、ごうかしょうひんがあたる「人気コンテスト」におうぼしよう!

★「人気コンテスト」におうぼするときは (イ)すきな怪人 (ロ)つよいとおもう怪人 (ハ)こわかった怪人 を一つずつかいてください。くわしくは25ページをみよう。

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前に紹介した同年刊行の黒崎出版『仮面ライダー画報』では、旧1号編(1クール)の初期怪人も2クール以降に特写されたスチールが多く使われていたが、ここでは、撮影当時のスチールが比較的多く採用されているのが嬉しい(蜘蛛男、蝙蝠男、サラセニアン、死神カメレオン、蜂女など。さそり男はショッカーベルト着用なので撮影時のスチールではないが、出回った時期から推定して1クール撮影時と思われる)。

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今ひとつ注目すべきは怪人のナンバリング。

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1の蜘蛛男から34の狼男まで(1〜3クール)はきっちり放送順だが、35のプラノドン以降(4クール〜)は制作順に変わる。

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新1号編(5クール〜)の怪人も制作順で、48のドクモンドから58のナマズギラーまでつづく。

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59のサイギャングと60のセミミンガは制作ナンバーが逆だが、どちらも同じ塚田正煕組(2本撮り)なので流れは崩れていない。

そして、映画版に登場の2怪人、61のザンジオー、62のカミキリキッドで締めくくり。

ちなみに黒崎出版の『仮面ライダー画報』と同様、ここでも青色狼男(実験用)は、別個体にも関わらず、ひとつの怪人としてカウントされていない(記載なし)。一方のドクガンダーは、同一個体なのに、別怪人としてカウントされている。これには少々納得がいかないような…。
posted by taku at 21:18| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月19日

イベント終了

鎌倉アカデミア創立70周年記念イベント<影絵劇と映画≠楽しむ 劇団かかし座との3日間>は盛況のうちに終了しました。

大変内容の濃い3日間でしたが、中でも最終日の17日は、かかし座の貴重な16mm作品の上映をはさみつつ、劇作家の若林一郎さん(鎌倉アカデミア演劇科2期生)をゲストにお迎えした秘話続出のトークショーが行われ、会場を大いに沸かせました。終盤には、後藤圭かかし座代表、俳優の加藤茂雄さん(演劇科1期生)も壇上に上がり、イベントの掉尾を飾りました。ご来場いただいた皆様に心より御礼を申し上げます。

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会場となった鎌倉市川喜多映画記念館前で記念撮影。(左から西垣勝、菊本香代、後藤圭《以上劇団かかし座》、加藤茂雄、若林一郎の各氏と大嶋拓)

若林一郎さんのトークについては、最初のパート(30分)をyoutubeにて限定公開しました。このパートでは、かかし座との出会いのさらに前、鎌倉アカデミアでのエピソードを中心にお話しされています。幼少期に見たという無声映画の活弁の口真似も必聴!


https://www.youtube.com/watch?v=LJgz0m67yjc

下の写真は初日(15日)の帰りがけに撮影したもので、かかし座の前身「小熊座」が稽古場として利用していた雪ノ下公会堂前での1枚。何と、川喜多映画記念館から歩いてわずか2分ほどのところにありました。かかし座にとって、まさに「里帰り」イベントであったわけで、加藤茂雄さんが「川喜多さんも粋な計らいをする」とおっしゃっていたのも納得です。

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後列左から後藤氏、大嶋、平田恵美氏(鎌倉市中央図書館)西垣氏、前列左から菊本氏、中村絵里氏(劇団かかし座)。
posted by taku at 17:19| 鎌倉アカデミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月14日

いざ鎌倉

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いきなり大げさなタイトルで恐縮ですが、いよいよ明日(4/15)から、鎌倉市川喜多映画記念館において、鎌倉アカデミア創立70周年記念イベント<影絵劇と映画≠楽しむ 劇団かかし座との3日間>が始まります(フライヤーはこちら)。

すでにいろいろな媒体で告知をしており、昨日はYahoo!ニュースでも配信されましたが、一応最終確認ということで、今一度お知らせしておきます。

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『影たちの祭り』

15日(金)は、10:00〜、13:30〜 映画『影たちの祭り』の上映。
13:30〜の回終了後に、劇団かかし座代表の後藤圭さんによるゲストトークと、影絵短編作品『アリババと40人の盗賊』『キリスト(パイロット版)』『やまなし』の上映があります。『アリババと40人の盗賊』(1957年)は創立者の後藤泰隆氏が自主制作したもので、当時のかかし座の影絵技術を結集した力作だそうです。かくいう私も未見なので、この機会に是非拝見したいと思っています。

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『影たちの祭り』より。演出中の後藤圭さん

16日(土)は、10:00〜、かかし座舞台部の菊本香代さんを講師にお迎えして、影絵制作のワークショップ(親子影絵教室)が行われます。当日までには定員に達してしまうかも知れませんので、参加を希望される方はお早めに記念館までお電話(0467-23-2500)を。

13:30〜 映画『影たちの祭り』の上映。
上映終了後に、私こと『影たちの祭り』監督の大嶋拓と、本作の出演者、というよりヒロインのおひとりである菊本香代さんのゲストトークがあります。菊本さんには、もしかすると簡単な手影絵をいくつかレクチャーしてもらえるかも?

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『影たちの祭り』より。石井世紀さん(左)と菊本香代さん(右)

17日(日)は、10:00〜、映画『影たちの祭り』の上映。
13:30〜、<鎌倉シネサロン「かかし座の思い出」>と題して、影絵短編作品『笠地蔵』『吉野の鼓』『町のねずみと田舎のねずみ』『お百姓とライオン』『ウサギとハリネズミ』『空とぶ木馬』の上映と、かかし座作品の脚本を多数手がけてきた劇作家の若林一郎さんをゲストにお迎えしたトークショーを行います。聞き手は、つたないながら私が務めさせていただきます。若林さんも創立者・後藤泰隆氏と同じ、鎌倉アカデミアのご出身なので、当時の話をいろいろうかがえるのを私も楽しみにしています。

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『空とぶ木馬』

会場となる鎌倉市川喜多映画記念館では、現在、特別展「映画女優 原節子」が開催されており、7月までの間に、小津安二郎、黒澤明、成瀬巳喜男といった巨匠の作品が日替わりで上映されます。そういう、日本映画黄金期の名作と並んで、自分の作品が同じスクリーンで上映されることに、言葉にならない喜びを感じています。

さらに言うなら、川喜多映画記念館を運営する公益財団法人 川喜多記念映画文化財団は、今から約20年前、私が『カナカナ』という初めての劇場映画を製作した折、海外の映画祭への参加について懇切丁寧な助言や推薦をいただくなど、大変にお世話になったことがあるのです。もう担当者は変わられてしまいましたが、自分のデビュー作でご縁があった財団と、こうしてまた関わりが持てるのも、細々ながら作品を撮り続けてきたからなのだなあ、と、あらためて過ぎ去った20数年を振り返ったりしました。

桜はあらかた散ってしまいましたが、鎌倉は今が春の盛り。花咲き乱れる古き都で、皆様方のご来場を心よりお待ちいたしております。

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現在、記念館手前の案内板には、「映画女優 原節子」と『影たちの祭り』のポスターが仲良く並んで掲示されています。白と黒のコントラストが絶妙!
posted by taku at 13:45| 鎌倉アカデミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月13日

祝!仮面ライダー生誕45周年(4)

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仮面ライダー生誕45周年を祝い、タクラマブログがお送りするお宝本シリーズ第4弾。前回につづき、今はなき黒崎出版から刊行の『仮面ライダー画報』(1972年4月5日発行)。放送開始1年を迎え、番組が一番の盛り上がりを見せていたころの本である。同時期には「超人バロム1」「変身忍者嵐」(ともに東映生田スタジオ制作)もスタートしており、「第2次変身ブーム」が頂点を迎えつつあった。

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ついに本郷ライダーの本格復帰。どうせならオートバイも、この時点で新サイクロンにして欲しかった(「性能アップしたサイクロンにのって…」と書かれている割に、マシンが相当くたびれているような…)。

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当時の男の子なら絶対に真似したことのある変身ポーズ。

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出ました地獄大使。初回撮影時のスチールで、メイクが薄め。また、右から2人めと3人めの戦闘員が「ゴッツンコ」しているのもおかしい(こんなスチールしかなかったのか?)。

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このサイケ(?)な2色カラーと無理やりなコラージュこそ、この『仮面ライダー画報』の最大の特色。以下、こういうページがこれでもかと続きます。

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死神博士と地獄大使の紹介。死神博士は映画版「仮面ライダー対ショッカー」の時のスチールで、戦闘員が抱いている少女は大道寺珠美役の斉藤浩子。一方の地獄大使は、先ほどのページと同様、撮影最初期(ドクモンドとギリーラが登場する56、57話)のもので、したがってこの2枚の撮影時期はかなり近い(ショッカー基地がともに新デザインであることからも明らか)。それにしても死神博士の説明が思い切りガセで笑える。「ライダー2号にたくらみをじゃまされ、消えていった。処刑されたという説もある」って、ひどすぎない?

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「最初のボス」ゾル大佐は、2色ページながら2ページが割り当てられている。「くも男をはじめ多くの怪人をあやつって」とあるが、蜘蛛男のころはまだゾル大佐は赴任していないので、「地獄サンダーをはじめ」が正しい。なお、前回の『図鑑』では狼男の扱いがはっきりしていなかったが、数ヶ月の間に設定が定着したようで、「みずから黄金の狼男に化け」と記述されている。

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大変有名な特写カット。生田スタジオにほど近い階段にて撮影。ちなみに、これは裏焼きではないが、あとでこれの反転写真が堂々と出てくるので要注目。

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1〜3月期の「仮面ライダー」といえば、何といってもダブルライダーの競演。まさに「怪我の功名」というべきか。

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ただ、このあたりのスチールは、すでに「テレビマガジン」に掲載されていたものが多かったので、新鮮味は乏しかった。

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随所にあらわれる謎の2色ページ。どうしてこういうカラーリングなの? ライダーのCアイなんてまん丸だし…。デザイナー寝ながら仕事をしてたのか?

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後半は「50怪人全員集合」。蜘蛛男からドクモンド、ギリーラまでを収録。

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懐かしい蜘蛛男、さそり男あたりから始まり、

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かまきり男、死神カメレオンと続くが、このころの印刷物に載る初期怪人の写真は特写スチールが圧倒的に多くなり、オリジナルデザインを拝めないのが残念(このかまきり男もマントなし)。

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特写スチールはショッカーベルトなし怪人もベルトを着用するのが定番だが、それをくつがえしたのがムカデラス。衣装を前後逆に着た上、本来なら着用義務があるベルトを着け忘れている。

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出ました裏焼きクラゲダール。先ほどの写真と比較していただきたい。

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同一書籍でここまで堂々と裏焼きを載せるのはいかがなものかと。

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珍しく戦闘員をフィーチャーしたページ。でも「こしゃくな下っぱどもめ!」って…

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来ました、無理やりなコラージュ。これだと小さくてわからないが、手前のエジプタスが思いきり「切り貼り」。どうしてこういう変なことをするのか。

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黄金の狼男。前回の『図鑑』では未掲載だったが、今回は、ゾル大佐の写真とともにきちんと収載。

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一方の青色狼男は、「別個体」なのに「別怪人」とは扱われず、ナンバリングもなし。

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加熱するコラージュ魂。左側のナメクジラーはおかしいでしょ。2体いるわけじゃないのに。

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さらに加熱するコラージュ魂。驚くべきことに、左のライダー、右のギルガラス、ともに切り貼りという荒業。じゃあ元の写真には何が写っていたの?

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第1話が蜘蛛男。それから1年経って、新1号ライダーの最初の怪人(制作順)がドクモンド。これはある種のゲンかつぎだろう。私が生田スタジオで撮影を見学したのも、このドクモンドのエピソードだったので思い入れは深い。

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映画版に登場のザンジオー、ドクモンドと同時撮影のギリーラ(この2体は4月放映)ときて、50怪人はこれで終了。

1年間で52話制作、4月放映の2話と映画版を合わせるとエピソード数は55になるが、怪人の数は50人、いささか計算が合わないようにも思えるが、これは前後編エピソードがいくつかあったためである(死神カメレオン、コブラ男、サボテグロン、ピラザウルス、キノコモルグの5体)。

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このシリーズ、今回でひとまず終わりです。
posted by taku at 17:53| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月08日

祝!仮面ライダー生誕45周年(3)

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仮面ライダー生誕45周年を祝い、タクラマブログがお送りするお宝本シリーズ。第3回は、今はなき黒崎出版刊『仮面ライダー図鑑』(1972年1月20日発行)。「変身ブーム」華やかなりしころの一冊である。

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目次には一時期よく見た、怪人が電話をかけている特写。誰と何を話しているのか気になるところである。

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1月発行なので、レギュラー陣は40話以降のメンバーに。したがって山本リンダは掲載されず(藤兵衛の横で見切れているのが悲しい)。一方、この図鑑に登場するショッカー幹部はゾル大佐のみで死神博士のビジュアルはなし。

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カラーページは特写が中心で、怪人は登場時期別に分かれている。

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原作漫画の初回カラーページを転載。

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カメレオン男の背景イラストが岡本太郎っぽい。ロケで行く大阪万博を意識したか?

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ショッカー関連のページも多数。上記のように、子ども向けにしてはかなりエグい描写も(でも70年代は全体的にこんな感じでしたね)。

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カニバブラーとムカデラスが逆になっている。どちらも多足でパッと見は似てはいるが…

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ショッカーの火あぶりの刑。「最後まで抵抗したほりょも今では力を失い、グッタリ…」などと書かれているのだが、これは捕虜ではなく一文字隼人。当然このまま焼き殺されることはなく、戦いが始まる(32話より)。

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こちらは、初代幹部ゾル大佐の正体である狼男と、一文字ライダーとの格闘場面。このページを見て、「あれ、何かおかしい」と思われる方はいらっしゃらないだろうか。
白黒なので見過ごしてしまいがちだが、この写真の狼男は、明らかに全身青色の「実験用」であり、金色で隻眼の、あの狼男ではない。本編クライマックスにおいて、岩場で一文字ライダーと闘うのは、言うまでもなく金色の狼男である。にも関わらず、何故このようなスチールが掲載されているのか。なお、この図鑑の狼男のページにも、載っているのは実験用狼男のみであり、そこに「正体はゾル大佐の変身した姿」と説明が添えられている。これはどういうことなのだろう(下画像参照)。

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しかしながら、青色の狼男を「ゾル大佐の正体」と記しているのはこの図鑑だけではない。同じ時期の「テレビマガジン」でも、白煙の中から現れた狼男のカラー写真が、「ゾル大佐の正体」として堂々と紹介されているのだ。放送前のある時期に限っては、これこそが「公式」の設定だったのである。

何故このようなことになったのだろう。伝え聞くところでは、最初はゾル大佐の正体は、実験用と同じ着ぐるみの青色狼男であり、その着ぐるみで撮影も行われた。この図鑑や「テレビマガジン」に掲載されたのはその時の現場スチールというわけである(特写においてスモークなどの特殊効果をわざわざ使うとも考えにくい)。
しかし撮影の後で、「話の前半に登場した狼男と区別がつかない」という意見が出たため、急遽、金色の狼男を新しく作って再撮影に臨んだ、ということらしい。しかし、関連書籍などには、狼男の頭部が2体同時進行で製作されているエキスプロでのスチールが掲載されており、この件についてはいろいろと謎が残る。

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34怪人のすべて。「図鑑」というだけあって、1971年4〜12月に登場したすべての怪人を写真とイラストの双方で解説。ここからはモノクロページ。

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何と、蜂女がまさかのトップ。でも、写真は残念ながらCM撮影時の特写バージョン(ショッカーベルト着用。腰布は紛失?)。

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2番手は蜘蛛男。こちらも残念なショッカーベルト。イラストは石森プロが担当だが、

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たまに、石森章太郎オリジナルと思われるイラストが入る。

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まさに噴飯ものの「クロちゃんの探訪記」。
「どうせジャリ向けの本だから、この程度でいいだろう」という編集者のいい加減さがにじみ出ている。実際にロケ現場を「探訪」する気などはさらさらなかったのだろう。

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描かれたカメラの形がテレビ局のスタジオ仕様で、現実を思いきり無視している。「仮面ライダー」はフィルム制作のテレビ映画なのに…(この当時、生田スタジオを見学した経験があるだけに看過できない)

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1972年1月以降登場の新型怪人。ハエ男、カビビンガ、ナメクジラー、プラノドン。

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説明文を見ると、「死神博士」「デビル博士」と名称が混在している。この図鑑が入稿されたと思しき11月には、まだ設定がはっきりしていなかったのだろうか。

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巻末の見開き。山本リンダが写った唯一のページ(35話より)。

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最終ページ。カメストーンやトドギラーの姿もあるが、スノーマンやゴースターは掲載なし。実際の撮影順がよくわかる。

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右ページの撮影風景を拡大。これを見ると、実際にはどういうカメラで撮影しているか一目瞭然。「クロちゃんの探訪記」の編集者は、こういう写真もきちんと目を通していないのだろう。

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さて、これは以前から気になっていたことなのだが、この時代の特撮関連本をめくっていると、かなりの頻度で「裏焼き」写真に遭遇する。この図鑑もしかり。何しろ表紙写真(上画像)からして裏焼きである。

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正式な写真はこちら。

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また、先ほど紹介したこのページも、

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こちらが正しい向きである。

さて、どうしてこのような現象が起きてしまうのだろう。

この時代、というより、ほんの10年ちょっと前まで、印刷用のカラー写真は、ほとんどがリバーサル(ポジ)で撮られ、下画像のような状態で印刷に回されていた。

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だから、単純に現場のミスで左右を取り違えてしまったケースもあり得るが、多くの場合は恐らく、全体のバランスや顔の向きなどを考慮して、レイアウトの担当者が意図的に行っていたのだろう。実にふとどきな話である。表紙写真の場合、カニバブルラーの手のハサミが、本来とは逆になっているし、上の方のページにあったエイキングもムチのような手が反対である。

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当たり前のようにこう収まっているけれど、

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正解はこちら。

こうした、左右非対称の怪人の特徴を無視して画像をやたらと反転してしまうのは、オリジナルデザインの軽視に他ならないと思うのだが…(ショッカー怪人は基本的に左右対称デザインだから裏焼きが判明しにくい。左右非対称が売りのゲルショッカー怪人や、「デンジマン」のベーダー怪物なら、こうした裏焼きはすぐ発覚するだろう)。

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前々回紹介したこの写真も、戦闘員のホルスターが左右逆なことから裏焼きだったことが判明。正しくは下画像。

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ただ、こうした裏焼きは、怪獣や怪人に限ったことではなく、古くはビートルズやボブ・ディランのレコードジャケットなどでも行われていたそうだから、ある時期までは、印刷媒体の世界では暗黙の了解だったのかも知れない。

いやあ、こういうブログは疲れる! この間の「新案カード」の時も、撮影やスキャン、フォトショップでの画像処理、そして文章書きと2日以上かかっているし、今回も、ページのセレクトを含めると4日がかりだ。
やるべき事はたくさんあるのに、腰も肩甲骨もバリバリに痛いのに、その上、一文の得にもならないのに、何ていう馬鹿なことを!!!
と、自分で自分の行動が無性に腹立たしいのだが、一度作業を始めてしまうともう止められないのである。

3月15日放送の「NEWS23」のエンディングで、膳場貴子氏がドラクエ30周年について言及した際、
「子どものころに好きになったものというのは、大人になってもなかなか卒業できないもので、(今でも)どっぷりとはまっているんですが…」
と述べておられたが、まったく同じ心境である。人間は、子ども時代に心を奪われたものから、永遠に逃れられない定めなのだろう。

【次回予告】

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我らが仮面ライダー生誕45周年を祝う、タクラマブログが送った次なるお宝本は、今回に続き、黒崎出版刊『仮面ライダー画報』。ダブルライダーの登場、そして本郷ライダーの完全復帰と、放送開始1年にして絶頂期を迎えた「仮面ライダー」の魅力をあまさず紹介。地獄大使、死神博士の2大幹部、人気のザンジオーをはじめとする50怪人も全員集合する次回『仮面ライダー画報』にURLを合わせるのだ!(次回予告のナレーション風味で読んでね!)
posted by taku at 19:07| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月07日

ダイヤモンド富士

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昨日(4/6)、鎌倉・材木座海岸で遭遇した、富士山頂に沈む夕日。少し右にずれていますし、また雲がかかっていたため太陽の形がはっきりわかりませんが、それでも、なかなか印象的な情景だと思います。通称「ダイヤモンド富士」というそうです。

富士山頂から太陽が昇る瞬間と夕日が沈む瞬間に、まるでダイヤモンドが輝くような光景が見られることがあり、この現象をダイヤモンド富士といいます。富士山と光輝く太陽が織りなす光景は、まさに自然の芸術といえます。
富士山が見える地域なら、どこからでもダイヤモンド富士が見られるというわけではありません。富士山が東か西の方向に見える場所で、気象条件がよければ、年に2回、ダイヤモンド富士が見ることが出来ます。

(国土交通省関東地方整備局ホームページ「ダイヤモンド富士」より)

上のサイトによると、茅ヶ崎海岸周辺=4月4日、鎌倉海浜公園稲村ヶ崎地区=4月4〜5日、逗子海岸=4月5〜6日が、春の観測可能日となっていて、まさに昨日は、湘南地区における数少ないシャッターチャンスの日だったというわけです。しかし、私はそういうことはまったく頭にありませんでした。ただ単に、久々に晴れ間がのぞいたので、「桜が散ってしまわないうちに、鎌倉アカデミアの最初の校舎である光明寺の春の風景を撮影しておこう」と鎌倉まで出かけただけです。

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こちらが光明寺の桜。すでに葉桜になりかけている木もありました。

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そしてその帰り、「せっかくだから、海に沈む夕日も撮っておこうか」と光明寺近くの海岸に出て、日没までビデオカメラを回し続けました。つまり、上の画像(動画をキャプチャしたもの)を撮影した時点では、私は「ダイヤモンド富士」なる言葉も、その意味するところもまったく知りませんでした。

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では、どこでそれを知ったのかというと、撮影を終え、光明寺前のバス停に向かったところ、時刻は18時16分少し前で、すでにバスの到着時刻になろうとしていましたが、一向に来る気配がありません。そこで、先に並んでいた初老の紳士に、
「16分のバスはもう行ってしまいましたか」
と聞くと、
「まだ来ていないと思いますよ。遅れているんじゃないかな」
との返事。会話は一旦そこで途切れましたが、彼は私が手にしていたビデオカメラに目を留め、
「これで撮影していたんですか? よく撮れましたか?」
と聞いてきました。続いて、自分は光明寺の上の展望台から狙っていたのだが、あまりよく撮れなかった、年に2回しかないチャンスなのに残念だった、などと語り始め、その話に耳を傾けるうち、昨日がこのエリアで「ダイヤモンド富士」をおがめる貴重な日だったと知ったわけです。その紳士とは、その後もバスの中で、写真の話にいろいろ花が咲き、鎌倉の駅で別れました。

そんないきさつですから、昨日の夕方「ダイヤモンド富士」と対面したのはまったくの偶然ですし、また、バス停で偶然この紳士に話しかけなければ、私は自分が撮影した映像を、今も「ダイヤモンド富士」とは知らないままでいたことでしょう。2つの奇妙な偶然によって、珍しいものに巡り合えた、53歳の誕生日でした。
posted by taku at 14:41| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月03日

祝!仮面ライダー生誕45周年(2)

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「仮面ライダー」誕生45年を祝い、私の手元にある放送当時の関連書籍をご紹介していくシリーズの第2弾。本日は放送開始の4月3日当日ということもありますので、もっともレア度の高い逸品をお目にかけましょう。

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『仮面ライダー図鑑 たのしい幼稚園新案カード』(講談社)

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「図鑑」と題されてはいますが、「新案カード」と添え書きがあるように、中身は全32枚のカードです(寸法は125×180mm)。

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発行日は1971年8月28日。前回紹介した『仮面ライダー怪人大画報』よりも2ヵ月弱あとで、一文字ライダーの変身ポーズも定着し、人気に火が点きつつあった時期のものといえます。

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前回も書いたように、「仮面ライダー」放送開始当時、私は小学2年生でした。小学2年生といえば、もうそれなりの自意識を備えています。実年齢よりも上に見られることを望むお年頃です。そんな8歳の少年にとって、「たのしい幼稚園」などと印刷された図鑑を本屋のカウンターに持っていくのは、かなりの屈辱感をともなう行為でしたが、それでも購入したのは、このカードのイラストに、不思議な魅力を感じたからです。60年代に一世を風靡した梶田達二や前村教綱といった怪獣絵師の写実的な表現とは違う、もう少し「アート(作品)」に近い感じといえばいいのでしょうか。そして、どうやらそれは思い込みではなかったようです(それについては後述します)。

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どれもかっこいいです。かつての怪獣絵師たちの絵は、ほとんどが写真を元にしていたため、ポーズが限定されていましたが、こちらはもっと自由度が高いように思います。

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背景の色や構図も、怪人のことをよくわかっている人が描いたように見受けられます。

本当はすべてをこのサイズでお見せしたいのですが、そうわけにもいかないので、以下はサムネイルで。

さて、このカード図鑑には3通りの怪人が収載されています。

1)テレビに登場した怪人

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カード32枚のうち、24枚までがこれに該当します。ですが、ピラザウルス以降は名前が微妙に違っているものが多くなり…

ヒトデライラ → ヒトデンジャー
カニバブル → カニバブラー
ピラニドン → アマゾニア
ムササビおとこ → ムササビードル
アリジゴク → 地獄サンダー
どくクラゲおとこ → クラゲダール
イソギンチャーゲル → イソギンチャック

という具合(左がカード、右が正式の名称)。これは、台本での呼称を使ったためだと思われます。このカードが実際に店頭に並んだのは8月中旬ごろだと思われますが、入稿はそのひと月くらい前でしょうから、ヒトデンジャーやカニバブラーの回はまだ完成していなかったのでしょう。そして、前回も書いたとおり、やはり制作が早かったキノコモルグは正式な名前になっています。もっとも、あきらかに制作前だったと思われるアルマジロングも、デザイン、名称ともに正確なものになっていますが…。なお、最後のイソギンチャーゲルについては、石森章太郎の原作漫画「海魔の里」に出てきたイソギンチャク怪人のアレンジのようで、実際のイソギンチャックとはかなり容姿が異なりますが、一応「原型」であると判断しました。

2)テレビに登場した怪人と同じモチーフだが、明らかに別デザインなもの

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カミキリむし → カミキリキッド
サメおとこ → ギリザメス
どくバラおんな → バラランガ

という解釈も成り立つと思いますが、どれもフォルムが違いすぎます。実際の怪人とオリジナルの中間という位置づけでしょうか。

3)テレビに登場しない怪人(完全オリジナル)

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マクロファンデス、ヒドラーゲン、タコおとこ、ワニおとこの4体。マクロファンデスはユニコルノスの原型だろうと長い間思っていたのですが、実は同じ「たのしい幼稚園新案カード」の『図鑑 ぼくらの仮面ライダー』に「いっかくじゅうおとこ」という怪人が掲載されているのを最近知り、どうみてもこっちが原型だろう、と判断した次第です。これらオリジナルデザインの怪人たちも、なかなか魅力的です。

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さて、これらの独自性あふれるイラストは、一体誰の筆によるものでしょうか。奥付けを見ても画家の名前はありません。しかし、私はこれを描いたのは、実際に「仮面ライダー」の美術を担当していた高橋章氏ではないかと推測しています。以下、そう考える理由をいくつか提示していきましょう。

まず、こちらをご覧下さい。

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上の2点は、第11話「吸血怪人ゲバコンドル」の冒頭シーンで、ショッカー基地内の壁面に飾られていた怪人の肖像(遺影?)です。怪人のデザインや造形、基地壁面の装飾画など、美術関連物の制作は、当時、高橋章氏が一手に引き受けていたということですから、これらの肖像も、おそらく高橋氏の手になるものでしょう。この劇中画と今回のカード、色使いといいタッチといい、よく似ていませんか?(特にさそり男の顔に注目して見て下さい)

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まだあります。

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こちらは、第23話「空飛ぶ怪人ムササビードル」の基地内のシーンです。手前に立つムササビードルは、ゆるキャラを思わせる愛嬌のある顔立ちですが、その背後の壁画のムササビは目が釣り上がり、異様な迫力です。ムササビおとこの表情にも同じような鋭さを感じませんか?

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さらにもうひとつ。下の左は雑誌に掲載されていたクラゲダールのデザイン画ですが、右のどくクラゲおとこのイラストにそっくりだと思いませんか?

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もし、私の推測が正しければ、この『仮面ライダー図鑑』は、作品本編の美術や造形を担当していたデザイナー本人によるイラスト集ということになり、例えて言えば、「ウルトラマン」の美術デザイナーだった成田亨氏の描いたウルトラマンや怪獣のイラストと同等の価値を持つものということになります。もしそうなら、ちょっとすごいことだと思うのですが…。

――などと書き綴っているうちに、すっかり日も暮れてしまいました。45年前の放送開始時間の19時半まであとわずかです。久しぶりに第1話「怪奇蜘蛛男」を見てみるとしましょうか(時間に合わせて視聴する愛好家の方がかなりいるんだろうなあ…)。

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posted by taku at 19:29| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月02日

祝!仮面ライダー生誕45周年(1)

今年(2016年)が鎌倉アカデミアの創立70周年に当たる特別な年であることは、前回のブログで書きましたが、実はそれ以外にも今年は、とりわけ特撮ファンにとって見過ごせない記念の年であります。何しろウルトラマン誕生50周年、仮面ライダー誕生45周年ですから。

というわけで、まずはこの4月3日で満45年を迎える「仮面ライダー」の誕生を祝い、私の手元にある放送当時の関連書籍を、数回にわたってご紹介していきたいと思います(「ウルトラマン」については、満50年を迎える今年の7月にでも)。

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第1回めは、1971年7月7日発行の『仮面ライダー怪人大画報』(朝日ソノラマ)。放送開始の3ヵ月後、つまり、一文字ライダーがお目見えした直後に世に出たもので、数ある「ライダー」関連書籍の中でも、かなり早い時期のものといえます。表紙絵は怪獣絵師として名高い梶田達二。スチールが混在しているのが斬新です。

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「仮面ライダー」放送開始当時、私は小学2年生。完全にリアルタイム世代です。当時の掲載誌であった『ぼくらマガジン』は毎週購読していましたが、「ライダー」単独の書籍としては、これが一番最初に手にしたものでした(左ページ下のイラストは『ぼくらマガジン』連載開始号の表紙で使われたもの)。

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1〜3話に登場の蜘蛛男、蝙蝠男、さそり男。この三体こそ、ショッカー改造人間の原点。今見てもそのフォルムの美しさにうっとりします。この三体は、美術の三上陸男氏みずからが造形を手掛け、手間と時間がかかる型抜きで作られたとのこと(ただ、このページの蜘蛛男と蝙蝠男は本編撮影時の写真ではなく後日撮られた特写スチールのため、蜘蛛男は本来していないショッカーベルトを着用、蝙蝠男の翼も正式なものとは形状が異なるなど残念な点も)。

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4話のサラセニアン以降は、三上氏が多忙となったため、高橋章氏がデザインと造形を引き継いだとのことですが、三上氏のデザインコンセプトが見事に継承、発展されていったことがわかります。

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怪人のコンセプトをあえて崩し、怪獣を意識したトカゲロンと、怪人コンセプトに忠実なキノコモルグ。ちなみにこの図鑑に載っている2号ライダー編の怪人はこのキノコモルグとサボテグロン(14、15話に登場)だけで、こんなところからも、キノコモルグのエピソード(24、25話)が、かなり早く(実際にはピラザウルス編の前に)撮影されていたことがわかります。キノコモルグは、この図鑑を購入した当時、唯一のテレビ未登場怪人でした。

ちなみにそのころの大嶋家は、毎年夏休み期間の7月下旬から8月下旬まで、北信州の黒姫山荘で暮らすのが慣わしで、そのため、その間は「仮面ライダー」を視聴することができませんでした(当時の黒姫は、NHK以外は信越放送しか映らず、その信越放送は「ライダー」のネット局ではなかったため)。夏休みが終わったあと、学校の友だちに、「キノコモルグの話はどうだった?」と聞いてみたところ、「まだやってないよ」と言われ、「何ヵ月も前に図鑑に出ていたのに、どうしてだろう?」と首を傾げたのを覚えています(その後関連本などで、「あまり前後編エピソードが連続するのはよくない」という局の判断により、放送順が入れ替えられたというのを知りました)。

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縦見開きの「仮面ライダーのすべて」。このフォルムは間違いなく藤岡弘、氏本人ですね。現在、新作映画も絶賛公開中のようですが、この当時はまさかご本人も、45年も後に同じ役を演じるとは、想像だにしなかったでしょう。

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見開きの反対側は石森章太郎サイン入りイラスト(下の怪人は石森プロによるものか)。これと同型のポスターも何かの景品でもらった記憶があります。

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いまだに根強い人気の蜂女。イラストとの並置もいい感じですね。

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こちらは蝙蝠男とライダーの戦いを、やはり写真とイラストの並置で。どうして蝙蝠男の翼は簡略型ばっかりなのでしょう。

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ちなみにこれが蝙蝠男の正式な翼。

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奥付けページ。右ページイラストのマスクの青色は、当時の私が色鉛筆で塗りました。

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何と、貴重なメイキング写真が。かなり小型の16mmフィルムカメラを使っていることがわかります。オールアフレコなので、録音部さんもいません。

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見返し写真。ゲバコンドルが、覆面戦闘員(キノコモルグバージョン)に命令している特写スチール。

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なお、朝日ソノラマだけに、この図鑑にはソノシートが付いていましたが、残念ながら現在手元にはありません。ですが、youtubeにアップされた方がいらっしゃいましたので、参考までに貼っておきます。


https://www.youtube.com/watch?v=bWqUjds8Mno

キャストはソノシート用の完全オリジナルで、また「トカゲロンと怪人大軍団」をベースにしたストーリーにも関わらず、主人公は本郷猛ではなく一文字隼人になっています。2号ライダー編に入ってからの刊行物であるため、やむを得ぬ変更なのでしょうが、その一方「ヤモゲラス」が台本上の名称である「ヤモラー」になっていたりと、いささか迷走しています。

いかがでしたでしょうか。写真とイラストを効果的に併用していて、なかなか楽しめる図鑑になっていると、今回改めて見て思いました。
何か、こういう文章を書いていると、知らないうちに心があの時代に戻り、現実の感覚を喪失してしまうのですが、ふと冷静になった瞬間、「こんなブログは、一般の、あまり特撮には興味のない人には、まったく面白くないのではないか」と、言い知れぬ不安に駆られたりします。まあ、アニバーサリーということでどうかご容赦を。この企画、多分あと2回続きます。
posted by taku at 21:23| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする