2018年10月15日

鎌倉「つるや」で昼食会

ブログやツイッター、フェイスブックなどにおいて、「こんなもの食べました」ネタはある意味鉄板だが、私はブログでその手の話はほとんど書いたことがない。理由は簡単、普段ろくなものを食べていないからである。しかし一昨日(10/13)は珍しく、いわゆる老舗といわれるお店で昼食を取ったので、その話をさらっと書いておこう。

行ったのは、鎌倉・由比ガ浜にある「つるや」。1929年創業で、来年90年を迎えるとのこと。川端康成、里見クなどの鎌倉文士、小津安二郎、田中絹代といった映画人も愛した由緒あるうなぎの店である。そして、われらが鎌倉アカデミア演劇科のOBたちも、かつては年に1度この「つるや」で「うなくう会」という同窓会を開いていた。

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上は「うなくう会」のスナップ(2000年ごろ。前列中央に前田武彦、前列左に加藤茂雄、勝田久、津上忠、岡喜一、川久保潔、若林一郎、小池榮ら各氏の顔が揃う)。加藤さん、勝田さんなど、この中の何人かの方には、映画『鎌倉アカデミア 青の時代』でインタビュー出演していただいているが、すでに全体の半数近くが故人となられたのは残念だ。

そんなわけで、以前から名前だけは知っていて、大変気になっていたお店だが、私自身はこれまで一度も訪れる機会がなかった(ひとりでは敷居が高かったというのもある)。しかし今回、鎌倉を舞台にしたあるプロジェクトがひと段落したということもあり、このプロジェクトの立役者である加藤茂雄さん(知る人ぞ知る俳優兼漁師にして鎌倉アカデミア演劇科の卒業生。上の写真にも写っているし、このブログにもこれまでずいぶん登場しているから詳しい説明は省略)を囲む昼食会を、この「つるや」で行うことにした。

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それにしても93歳になる加藤さんのお元気なことといったら! 翌日(10/14)は某大学の先生から大部屋俳優時代の仕事についてインタビューを受けるというし、次の週末(10/20)は、早朝に地引き網漁に参加して船から網を撒き、午後からは2年に一度の東宝の集まりに出席するというから驚きだ。当然、日々の食事や片付けなど身の回りのことはすべてご自分でやられており、買い物に行く際には今でも自転車に乗っているという。

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そんな加藤さんの身辺の話をうかがっているうちに、鎌倉彫の重厚な器が運ばれてきた。

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うなぎは身が実に柔らかく、たれの味も控えめで口当たりが優しい。母の実家が三島なので、やはり老舗といわれる「桜家」のうなぎはしばしば食べに行くのだが、桜家のきりっと塩辛いたれに比べると、かなりマイルドである。好みの分かれるところだろうが、この優しい味つけが鎌倉文士のお好みであったらしい。

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この日の昼食会には、加藤さんと私、そして妙齢の女性2人(20代と30代)が参加、4人で2階席の座卓を囲み、土曜の午後のひととき、ゆったりと伝統の味を堪能したのであった。

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それにしても、この顔ぶれは一体……。90代の加藤さん、50代の私、そして20代と30代の女子〜ズ。年代はバラバラ、しかも、私と加藤さん以外は、ほんのひと月前までは、まったく知らない同士であった。勘のいい方なら、前回や少し前のブログ記事から何かピンと来るかも知れないが、もうしばらくプロジェクトの詳細は伏せておくことにしよう(今回の写真は女子〜ズのひとりが撮影)。

とにかく、大変おいしく、楽しい会食でありました。

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自転車で浜に出てきた加藤さん。先ほどと洋服が違うのは、一度別れてから再び合流したため。
posted by taku at 19:39| 鎌倉アカデミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月10日

夏は終わった

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まあ、実際には10月の半ばですし、とっくに終わっているんですが、私にとっては、一昨日(10/8)までは誰が何と言おうと夏でした。たとえ梨や柿やサンマがスーパーに並び、街がハロウィンの飾りで溢れ、来年のおせちの宣伝までが目に入るようになっても、私と、私の周囲の数人の心の中では、夏は静かに継続していたのです。

だが、その夏も、一昨日の夕方、ついに相模湾の彼方に、静かに姿を消していきました。これでようやく、人並みに秋を味わうことができます。

何か、よくわからない文章ですみません。端的に申しますと、真夏という設定のある映像作品の撮影が、猛暑、酷暑、連続台風などの悪天候に翻弄され続けながら、ようやく終わったということです。

作品に関わってくださった皆様、本当にお疲れ様でした。
posted by taku at 12:11| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月02日

『凍える鏡』10年経って…

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以前『凍える鏡』という映画を作って、2008年に公開しました。今年は2018年ですから、ちょうど10年前です。ほとんどの映画は(ごく一部の例外をのぞいて)、10年も経てば、人々の記憶から消え失せ、それを語る人も、観る人もいなくなってしまうものですが、どういうわけか、この『凍える鏡』のDVDが、最近またアマゾンで売れ始めているようです。

凍える鏡 [DVD]
凍える鏡 [DVD]

その理由は、今年春のドラマで田中圭さんの人気に火がつき、いわゆる「圭沼」にはまり込むフォロワーが激増、その方たちが若き日の圭さん見たさに旧作を買い求めているから、とのこと。実は『凍える鏡』のDVDは、販売元だった某ビデオメーカーが販売事業から手を引いたため、数年前から新品の流通が停止していたのです。そのため、レンタル落ちの中古品に高値がつくという不本意な状態が続いていたのですが、DVDの在庫自体はまだ残っていたので、プロデューサーの露木栄司さんが「イイツ」という会社を立ち上げたのを機に、「イイツ」が販売元となってアマゾンで販売を再開することにしました。しかし、当面は小口販売で、しかも、出品者のところをクリックすると、露木さんの名前や連絡先などが出てくるため、まるで個人で販売しているように見え、ツイッターでは「怪しい」などと書かれてしまうありさま。やむなく、普段はツイッターをやっていない私ですが、『鎌倉アカデミア 青の時代』のアカウントを使ってツイート主に返信、正規品であることを説明して、ご理解いただいたという次第。こうしたやりとりの甲斐あってか、「イイツ」が正規品を販売している事実も浸透してきたようで、コンスタントに発注が来ているという報告を露木さんから受けています(ここだけの話ですが、実際の発送業務も露木さん自身がやっています。届くまで時間がかかってしまう場合があるのはそういう事情です。プロデューサー本人がそこまでやるってのもなかなかないですよね)。

ちなみに、現在「イイツ」が販売している『凍える鏡』のDVDにはポストカード(公開当時のチラシと同じデザイン。DVDジャケットとは微妙に異なる)が付いていますが、これは、必ず付属するということではなく、なくなり次第終了となります。ポストカードもそれなりに在庫があったので、それじゃあ「おまけ」としてつけようという露木さんのアイデアによるものですが、思いのほか発注が多いようなので、いつなくなるかわかりません。というわけで、ご購入をお考えの方はお早目に(なんか宣伝みたいですみません)。

それにしても、10年も前の作品を、現在こうやって観ていただけるのは本当にありがたいことです。正直、公開当時は、まだ「自己愛性パーソナリティ障害」に関する世間の認知度も低く、俳優陣の熱演にもかかわらず、映画の興行成績は芳しいものではありませんでした。作った本人としては大変な敗北感で、そんなこともあって、私は劇映画はもう撮るまいと考え、『凍える鏡』以降はドキュメンタリー映画に方向変換し、ドラマにはまったく手をつけませんでした。しかし、今回この作品にふたたびスポットが当たったことで、「やはり作品は、作っておけば、いつか顧みられる時もくる。作った時に評価されなくても、それほど気に病む必要はないのではないか」と考えをあらたにした次第です。

『凍える鏡』をご覧になった方の感想などを読むと、あの時まだ20代前半だった田中圭さんの演技の巧みさを賞賛する声が多いようですが、たしかにあれだけの難役を、何の迷いもなしに、まるで、最初から岡野瞬というひとつの人格がそこに存在していたかのようにカメラの前で表現して見せてくれる圭さんの技量はただものではありません。10年前、彼を主役に抜擢した自分の選択は間違っていなかったと、密かに誇りに思ってもいます。あれから10年が過ぎ、演技にますます幅と深みが加わった田中圭さんの一層の活躍を、私も影ながら見守っている一人です。
posted by taku at 17:46| お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする