□「90年間、ありがとう」 片瀬江ノ島駅駅舎 1月に解体開始(神奈川新聞)
昨日、上の記事をネットで見つけてビックリ。あの慣れ親しんだ竜宮城型の駅舎が、今月中に解体されてしまうとは! あわててコンデジ片手に江ノ島まで出向き、間もなく姿を消す駅舎の姿をカメラに収めてきた。
この駅舎ができたのは1929年(昭和4年)。世界恐慌の起きた年だ。日本はすでにその前々年に金融恐慌が起きており、当時はすさまじい不景気風が吹き荒れていたはず。そんな時代によくこのような、遊び心のある駅舎が作られたものだと感心する。
竜宮城をイメージしたそうだが、もちろん実際にそれを見た者はいないので、設計者はいろいろな神社仏閣を参考にしたのだろう。
壁に掲示されていた1971年(昭和46年)の写真。右側の建物も、駅舎を模した形状である。ちなみに1971年というのは、「仮面ライダー」の放送が始まった年で私は小学2年だった。
1994年(平成6年)、「鉄道の日」制定を記念して選ばれた「関東の駅百選」にも名を連ねているという。
多少の痛みは散見されるものの、早急に建て替えが必要とは思えない。
90年の歴史を積み上げるには、当り前のことだが90年の歳月が必要だ。1年や2年では決してできない。しかし、90年の歴史を背負った建築物を壊すのは、それこそ一瞬だ。90年という時間が、一瞬で、無に帰する。これまで多くの人たちに愛され、親しまれ、その上、現状でもまだ充分に使えるものを、目先の利得のために、躊躇なくぶち壊す。どうにも納得の行かない話である。
しかし、駅舎の建て替えはすでに規定路線なので、四の五の言っても始まらない。
この張り紙や、駅係員の話によれば、1月25日(金)の初電から新しい改札口が稼動するとのことなので、それに合わせて現駅舎の解体が始まると思われる。
左の白い建物が新しい改札口。
というわけで、昭和初期に誕生した竜宮城の最後の姿を見ておきたい方は、どうぞお早めに。
昨日の江ノ島。竜宮城が破壊されることを知った竜王が怒ったのか、海は大荒れ、まっすぐ歩けないほどの強風でした。