2020年04月19日
『凍える鏡』 GYAO!無料配信
映画『凍える鏡』が、4月21日(火)から5月20日(水) まで、GYAO!で無料配信されることになりました。「おうち時間」のひとときに、是非ご覧いただければと思います(ネットでの初無料配信を記念して、これまで使われていないアザーカットを数点貼っておきます)。
□凍える鏡|映画|無料動画GYAO!
この作品が撮影されたのは2007年、今から13年も前の話ですが、内容については、当時よりも現在の方が、すんなりご理解いただけるのではないかと思っています。なぜなら、最近若い人たちがよく口にする「承認欲求」が根本のテーマとなっているから。「承認欲求」はツイッター、facebook、インスタグラムなどSNSの普及と相まって、この10年の間にすっかりなじみ深い単語となりましたが、2007年当時は、そこまで一般に浸透していませんでした。
この作品では「自己愛性パーソナリティ(人格)障害」という症例を扱っていますが、それもシンプルに言えば、
「他人から認められたい、誉められたい、それによって自己のアイデンティテイをどうにか確立したい」
という、重度の「承認欲求中毒」のような状態です。自分の価値に自信が持てないため、常に他者からの賞賛を求め、それによって脆弱な自我を何とか安定させようと試みるわけです(しかし根本的な解決には至らない)。現代ではそういう人がますます増えてきているように感じられます。
『凍える鏡』は、少年期に受けた実母からの虐待により、ありのままの自分を肯定できず、成人した後も、不安定な自己像にもがき苦しむ画家志望の青年(田中圭)と、彼をめぐるひと組の母娘(渡辺美佐子・冨樫真)の物語です。すでにご覧になった方も、未見の方も、この機会に是非ご覧いただければ幸いです。
さらに、この作品のメインテーマも以下でお聴きいただけます。静かな雪景色に染み入るような名曲です。作曲は伊藤ひさ子さん。伊藤さん自身のピアノと、ヴィオラ、パーカッションによる生演奏です。
□『凍える鏡』公式サイト
□『凍える鏡』製作日記
2020年04月05日
森を歩く
気がついてみると、日本、いや世界中がとんでもないことになっていました。ほとんどの人が初めて味わう「非日常」なのだと思います。
これから先、一体どうなっていくのか。あと少し我慢すれば、事態は収束していくのか。それとも、もっともっと悪い方に向かうのか。まったくわかりません。わからないだけに、不安ばかりが募ります。
とりあえず、盛り場には行かず、なるべく人と会わないように生活していますが、あまり家の中に閉じこもっているのも心身の健康によくないので、最近は、歩いて15分ほどの森(林?)に出かけ、1時間ほど、木々のざわめきや鳥のさえずりの中に身を置いています。
今、森はまさに芽吹きの時。日ごとに若々しい緑が木々を染め上げていきます。人の世の大騒動など、まるで別の世界の出来事のように。