2020年11月26日

世紀の大発見!『現代コミクス ウルトラマン』後日譚(1)

かつて、初代の「ウルトラマン」が放映されていた時期(1966〜67年)に、『現代コミクス ウルトラマン』というコミック雑誌が現代芸術社から刊行されていた(毎号2本のコミカライズ作品を収録)。「遊星少年パピイ」で知られる井上英沖が執筆のメインを務め、なかなか人気のある月刊誌だったのだが、数年後に会社がなくなってしまったこともあり、単行本化される機会がないまま半世紀が過ぎ去った。それが2017年に復刊ドットコムからリバイバルされることが決まり、もはや原稿や原画は行方がわからないため、私が実家で保管していた現代コミクスを「原本」として提供した……という話は、このブログで3回にわたって書いたとおりである(以下のページを参照)。

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●『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(1)
●『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(2)
●『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(3)

今回の話は、その続編というか後日談というか、とにかく、世の中こんなこともあるのか、と、実に驚かされた出来事である。もはやこの世に存在しないと思われていた『現代コミクス ウルトラマン』の原稿や原画が、まったく意外なところで見つかったのだ!! これを世紀の大発見と言わずして何と言おう!
例によって特撮愛好家以外の方にはピンと来ない話だと思うが、とにかく画像だけでもながめていただければ幸いである。

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『現代コミクス ウルトラマン』1966年12月号のカラー口絵。かなりオリジナル度が高いジラースが描かれているが……

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その原画がこれ。すごい迫力である。執筆は藤尾毅

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同じく『現代コミクス ウルトラマン』1967年2月号の2色口絵。

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原画がこれ。執筆は、怪獣絵師としてトップクラスの人気を博した梶田達二。現代コミクスにイラストを掲載した挿絵画家はほとんど、ウルトラマンの顔をAタイプで描き続けたのに対し、梶田はBタイプで描いている。

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『現代コミクス ウルトラマン』1967年3月号の巻頭カラーページ。

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その原稿。実物はより鮮やかな発色。ちなみにアボラスとバニラの色が反対なのは、「ぼくら」掲載の一峰大二版を参考にしたためと思われる。

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『現代コミクス ウルトラマン』1967年4月号の2色ページ。

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その原稿。朱色部分はトレーシングペーパーで指定してあるのがわかる。

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トレーシングペーパーの下には、井上英沖の筆による生原稿が!

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『現代コミクス ウルトラマン』1967年4月号増刊の表紙。

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その原画。石原豪人のホラーなタッチが冴える。ドラコの彩色には驚かされるが、空のブルーとのコントラストが美しい。

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『現代コミクス ウルトラマン』1967年6月号の実物とその原画。柳柊二の筆によるもの。

まだまだある。

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『現代コミクス ウルトラマン』と同じ時期に、現代芸術社からは怪獣カード(24枚ほどのカードをひとまとめにしたもの)も複数発売されていたのだが、そのうちのひとつ、「ウルトラマンカード」の表紙。

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その原画。こちらも執筆は石原豪人(ぺスターが妙にべたーっとなっているのが幼少期以来気になってしょうがない)。

そして極めつけはこちら。

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「ウルトラマン 決定版!怪獣カード」「ウルトラマンカード」に収載されたイラストの数々。言わずと知れた「ウルトラマン」の美術デザイナー・成田亨自身による貴重な直筆である。上はドドンゴ。

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テレスドン。建物のパースも素晴らしい。自分のサインを「T.NARITA」と建物のロゴにしているセンスも秀逸。

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悲劇の怪獣「元宇宙飛行士」ジャミラ。表情に人間味が感じられる。

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ウルトラマンに化けて悪事を働くザラブ星人。こちらも建物の描き方にインパクトあり。

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上記イラストをカード化したものがこれ。これらのイラストは『現代コミクス ウルトラマン』にも転載されている。

成田亨の書いた怪獣のイラストというと、画集や作品集に収録されているものは、ほとんどが「業務用」というべきデザイン画か、さもなくば後年描かれたものであり、「ウルトラマン」放送当時に、「一般観賞用」として描かれたイラストは、現代芸術社の依頼によるこれら一連のものぐらいではないか。そういう意味では大変稀少価値の高い、まさに「お宝」だと思う。まさか直接目にし、手に触れる日が来ようとは……

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ほかにも、掲載誌は不明だが前村教綱による怪獣格闘画なども。

さて、これらはいかにして、今回陽の目を見ることになったのだろう。

あれは8月下旬、加藤茂雄さんの追悼上映が終わって1週間ほど経ったころだった。上映に際し多大なるご協力をいただいた鎌倉市川喜多映画記念館のM谷さんから電話があり、「入場者数などを表にしてメールで送りましたので見ておいてください」とのこと。「わかりました」と答えたあと、互いの近況の話になり、M谷さんは、
「実は、遺品の整理について相談されていたことがあって、昨年亡くなったある方のご自宅にうかがったんです。長嶋武彦さんといって、以前『現代芸術社』という会社で出版をやられたり、その後はケロヨンで有名な木馬座の代表をされていた方なんですが…」
とおっしゃる。
「え、『現代芸術社』ですか??」
「ええ。鎌倉市議をされている息子さんの案内で拝見したんですが、ずいぶん貴重な資料が残っていましたよ」

私は耳を疑った。何という偶然。まさか鎌倉に現代芸術社の社長だった方が住んでいて、最近までご存命だったとは。私はすぐM谷さんに、私のブログのアドレスを送るとともに、現代芸術社が出していた「現代コミクス」に対する並々ならぬ想いを語り、「是非一度それらを拝見したい」という要望をご遺族に伝えていただいた。ご遺族もその思いを汲んでくださり、晴れて「お宝」とのご対面となった次第である。

まだまだ紹介したい画像もあるし、このお話、もう少し続く予定です(下のリンクから進めます)。

●世紀の大発見!『現代コミクス ウルトラマン』後日譚(2)
posted by taku at 19:23| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする