3年ぶりとなる新作映画『空へ ふたたび』が、いよいよ9月10日(土)から、新宿K's cinemaで公開されます。
○映画『空へ ふたたび』公式サイト
この作品は、G-Rockets(ジー・ロケッツ)という、日本で初めての女性アクロバットダンス・カンパニーについての記録映画です。実はG-Rocketsは、2020年に20周年を迎え、秋に大がかりな記念公演を予定していたのですが、折からのコロナ禍で、すべての計画が頓挫してしまいました。しかし、彼女たちは数ヶ月に及ぶミーティングの末「記念公演は無理だけれど、こんな時でも応援してくれる方たちへ感謝を込めて、1回だけ『感謝祭』を行おう」という結論に至ります。
その情報をネットで知った私は、「困難な事態に陥っても、自分たちにできる最善を尽くす」というG-Rocketsの前向きな姿勢に打たれ、運営スタッフに連絡を取って、記録映像の撮影を提案しました。映画になるかどうかはわかりませんでしたが、この未曾有の災厄の中での彼女たちの奮闘を、どうにか映像に残しておきたいという一心でした。幸い快諾が得られたため、葛飾区のスタジオに通い、10月5日の稽古開始から30日の本番までカメラを回すことになりました。その後、30時間以上の素材を半年がかりで編集して出来たのが、『空へ ふたたび』という作品です。
ご存知のように、2020年からのコロナ禍により、エンタテインメント業界は大変な打撃を受けています。特に、生のステージを観客に披露する演劇やミュージカルなど「ライブ系」の被害は深刻で、初日の幕を開けたとしても、キャストかスタッフに1人でも感染者が出れば公演は即中止。最終日まで無事に完走することができるのか、関係者は常に冷や冷やしているような状況で、舞台に立つパフォーマーたちもかなり疲弊しています。しかし、生の舞台には、配信などでは味わえない「同じ空間を共有する感動」があり、パフォーマーたちはそれを観客に伝えることを生きがいに、何とか踏みとどまって、祈るような気持ちで活動を続けているのです。もちろん、G-Rocketsのメンバーたちも思いは同じです。
この作品をきっかけに、混迷が続くライブ系エンタメ業界の現状、そして、苦しみながらも希望を失わず奮闘しているカンパニーがあることを、多くの人たちに知ってもらいたいと願っています。……このように書くと、かなり悲壮な内容を思い浮かべるかも知れませんが、実際の彼女たちは常に明るく爽やかで、その動きは天女のように美しく、観たあとは前向きな気持ちになれる作品だと自負しています。ご多忙とは存じますが、ご高覧いただければ幸いです。