2008年08月09日

近くて遠い20年

東京はもうひと月近く、まともに雨が降っていない(近ごろ話題のゲリラ雷雨はのぞく。あんなのは日本の雨じゃない!)。加えて連日の、これでもかというくらいの酷暑。もうバテバテのダレダレのヘロヘロ。日本の夏は、温度、湿度ともに年々厳しさを増すようで、この先5年後10年後が心底不安である。

でもって昨日、8月8日は、関東地方で今年一番の暑さを記録(都心は最高気温35,3度)。そんな、外出するのもはばかられる猛暑日に、私の【激レアお宝8ミリフィルム 蔵出し虫干し上映会】は行われた(まあ、虫干しにはちょうどいいかも知れないが)。
猛暑日、お盆直前、平日昼間、さらにオリンピック開幕という逆風(?)にもめげず、こちらのフィルムマラソンも予定どおり11:00にスタート。

今回は、1984年以来使っているCHINONの映写機を会場に持ち込んで使用したのだが、ここ10年はほとんど通電したことさえなく、当然何のメンテナンスもしていなかったのに、まったく不具合はなく、まるで昨日まで使っていたように作動してくれたのには感激した。やはりアナログな機材の方が、構造が単純な分、寿命も長いのだろうか。

20年か、それ以上前の、自分がまだ大学生だったころの8ミリ作品がスクリーンに投影されるのを見ていると、とても変な気分になってくる。現在ではほとんど交遊もない、遠い昔の知人、友人たちが、動いたり喋ったりしている姿を見ているうちに、次第にあのころの記憶が鮮明になり、撮影現場でもめたり、気まずくなったり、疎外感を味わったり、という、あまり快適でない過去の出来事が次々と生々しく蘇ってきて、大層重苦しい気分になってくるのである。通常、過去の記憶は美化されると言われるが、映像製作に関する限り、そうでもないようだ。出演者やスタッフとやりあった、あの時の不安や焦りや疲労感などは、今現在の自分の感情であるかのように、リアルに想起することができる。同様に、あのころ密かに思いを寄せていたヒロインがスクリーンに映ると、今なお新鮮なときめきを覚えるが、そのヒロインが、作品中で相手役とスキンシップをするシーンになると、「ああ、こいつらカメラが回ってる時以外でも、いちゃいちゃしてて嫌だったなあ」…などと、すぐにまた気持ちはネガティブモードに入ってしまう。こういうのも性分なのだろうが、どうにもやりきれない半日間であった。

また、気持ちだけでなく、20年以上前の映写機を操作するこの両手も、いつしかすっかりあのころの感覚を取り戻し、シーンごとに音声レベルを調節したり、リールを架け替えたりといった作業も、まったく澱みなく行うことができた。20年前は思った以上に近く、ちょっと手をのばせば戻れそうな錯覚にしばし陥ったのであった。

猛暑の中ご来場になり、作品をご覧になってくれたお客様方には心から感謝。また、ご多忙中駆けつけてくれた佐藤信介監督(「砂時計」)、竹藤佳世監督(「半身反義」)、「凍える鏡」の露木栄司&内山亮プロデューサーと音楽の伊藤ひさ子さん、ライターの那須千里さん、くされ縁のABE龍、等々関係諸氏にも厚く御礼を申し上げたい。

16:50に上映は無事終了。その後、10分ほどであわてて撤収作業を行い、片付けを手伝ってくれた竹藤監督とABE龍、そして受付を担当したNCWメンバーの水島綾さんとともに駅前の「中野とは思えない」(竹藤監督談)、たいそう風流な飲み屋で軽く打ち上げ。今日の上映作品のことなどよもやま話。「ドコニイルノ?」(1988年)には砂丘の真ん中に赤電話が置いてあるシーンがあるのだが、あれが公衆電話だということを知らなかったと最年少の水島さんは言い、ほかの三人は「ほお…」と驚きの声をもらす。この作品が製作された20年前、彼女はまだ2歳だったのだから知らないのも無理はない。あのころ赤ん坊同然だった女の子が、今では22歳の立派なレディ。そう考えると、20年というのはあっという間のようで、実は大変な年月なのだなあと改めて思い知らされた。

888nakano.jpg
スミゴルフさんのお姉さんが撮ってくれたスナップ。左から佐藤信介監督、私、露木栄司氏。右はじにあるのがCHINONの映写機)
posted by _ at 15:24 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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