2014年07月29日

以倉いずみさんを偲ぶ

※2016年7月29日に追加記事を書きました ≫ 夏のはじめに

いくらあなたに逢いたいと
暮れゆく空に祈っても
落日はただ消え去りて
命の定め思い知る
ずっと昔のあの春の
短き旅も幻か

漢字混じりだとわかりにくいかも知れません。ひらがなで書くと下のようになり、各行の最初の文字を「縦読み」すると、ある人の名前が浮かび上がります。

いくらあなたにあいたいと
くれゆくそらにいのっても
らくじつはただきえさりて
いのちのさだめおもいしる
ずっとむかしのあのはるの
みじかきたびもまぼろしか

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以倉いずみさんは1974年7月29日に生を受け、それからわずか35年後の2009年8月27日に、あっけなくこの世を去っていきました。
今年、2014年は、彼女が誕生してちょうど40年、亡くなってから5年に当たります。

以倉いずみさんと私との関わりについては、亡くなってまだ日も浅いころ、当時のブログにある程度詳しく書きましたので、ここでは繰り返しません。あれから5年、あっという間のようにも思うし、同時にかなり長い時間が過ぎた気もします。

人間というのは、遅かれ早かれ必ず最期の時は来るわけで、そんな当たり前の事実に、いちいち過剰反応していても仕方がないのですが、やはり、自分より年長ならいざしらず、ひと回り以上も若い人がさっさといなくなってしまうのは、いささかキツイものがあります。ましてや以倉さんは女優さんで、非常に華のある存在でもあったため、まさに「佳人薄命」という言葉がふさわしく、それ故、今でもその死をクールに受け止めることができません。

そして、そんな風に感じているのは私だけではないようで、このブログにも、「以倉いずみ」の名前で検索してアクセスしてくる人が、最近でも少なからずいらっしゃいます。彼女を慕っていた人、今も懐かしく思い出す人の数は、私が思っているよりずっと多いのでしょう。

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私の手元には、2003年から2005年ごろの以倉さんの写真と映像が、今もしっかりと残っています。もはやこの世で彼女と再会することは叶いませんが、写真の中の彼女は10年前の姿のままで微笑んでいますし、映像を再生すれば、あの日の彼女がいきいきと動き、語りかけてきます。

2014年夏。以倉いずみさんの生誕40年を祝い、そして没後5年に哀悼の意を込め、彼女のありし日の姿を今一度振り返ってみたいと思います。その御霊(みたま)が、とこしえに安からんことを祈りつつ…。


【写 真】
URLをクリックすると別ウインドウでアルバムが開きます。
右上にあるボタンをクリックすると、フルスクリーン(全画面)でご覧になれます。


早春の鎌倉にて(1)
2003_01.jpg
http://www.takurama.net/ikura2003_01/index.html

早春の鎌倉にて(2)
2003_02.jpg
http://www.takurama.net/ikura2003_02/index.html

2003年3月29日、ホームページのギャラリー掲載のために撮影したものです。鶴岡八幡宮を皮切りに、来迎寺、明月院、浄智寺、七里ヶ浜と1日かけて回りました。以倉さんの東洋的な顔立ちは古都の風景と実によくなじみ、時として、まるで菩薩が降臨したかのような「この世ならぬ」表情を見せてくれました。上の詩に書いた「あの春の短き旅」とはこの日のことを指しています。10年以上前のネガからスキャンしたため、発色が今ひとつなものもありますがご了承下さい。


営子覚醒(「実験室」より)
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http://www.takurama.net/ikura2005/index.html

2005年2月14日、DVD「実験室」のジャケット、およびパブリシティ用に撮影したものです。「実験室」の映像は下のyoutubeで作品の一部をご覧いただけます。以倉さんはこの作品で、流行作家との道ならぬ恋に溺れる人妻を演じており、劇中の着物をまとってのフォトセッションとなりました。撮影場所は登録有形文化財にも指定されている荻窪の旅館西郊と、新宿ゴールデン街のとある店の2階の小部屋です。


【映 像】

ドラマ・リーディング「崖」リハーサル風景

https://www.youtube.com/watch?v=8y1BxRnxEl8

青江舜二郎生誕百年イベントで上演した朗読劇のリハーサルの模様。朗読といいつつ、前半は普通にお芝居をしています。


DVDドラマ「実験室」本編映像(中盤の展開)

https://www.youtube.com/watch?v=wWZBeqACk6o

本編はトータル75分ですが、その中から、一番登場人物たちが熱く語っている15分をピックアップ。以倉さんの長ゼリフも堪能できます。


DVDドラマ「実験室」アフタートーク

https://www.youtube.com/watch?v=5OTBcxpwY6Q

青江舜二郎生誕百年イベントでのトークの模様。上記の「実験室」をダイジェストで上映したあと、メインキャスト3人が登壇しました。


私はかれこれ40年にわたって写真と映像に関わってきました。常に「現在」進行形である演劇や舞踊、音楽の生演奏などと違い、写真も映像も、撮影した瞬間から容赦なく「過去」のものとなります。そういう、「止まった時間」とだらだら関わることに何かしら陰鬱なものを感じ、一瞬で弾けて消える「ライブ」の潔さに魅かれた時期もありました。しかし今回、以倉さんの写真と映像を整理していて気づいたのは、それらは「過去」であり「止まった時間」の中を生き続けるがゆえに「永遠」であるということです。本人がこの世にいなければ、その人が出る芝居は当然上演できませんが、映像ならば時を選ばず「再生」することができるのです(映像のプレイバックを「再生=再び生きる」と約した日本語のセンスは秀逸だと思います)。こうして以倉さんは、写真と映像の秘めたる力を、私に強く再認識させてくれたのでした。
posted by taku at 11:26| 写真 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする