というわけで、まずはこの4月3日で満45年を迎える「仮面ライダー」の誕生を祝い、私の手元にある放送当時の関連書籍を、数回にわたってご紹介していきたいと思います(「ウルトラマン」については、満50年を迎える今年の7月にでも)。
第1回めは、1971年7月7日発行の『仮面ライダー怪人大画報』(朝日ソノラマ)。放送開始の3ヵ月後、つまり、一文字ライダーがお目見えした直後に世に出たもので、数ある「ライダー」関連書籍の中でも、かなり早い時期のものといえます。表紙絵は怪獣絵師として名高い梶田達二。スチールが混在しているのが斬新です。
「仮面ライダー」放送開始当時、私は小学2年生。完全にリアルタイム世代です。当時の掲載誌であった『ぼくらマガジン』は毎週購読していましたが、「ライダー」単独の書籍としては、これが一番最初に手にしたものでした(左ページ下のイラストは『ぼくらマガジン』連載開始号の表紙で使われたもの)。
1〜3話に登場の蜘蛛男、蝙蝠男、さそり男。この三体こそ、ショッカー改造人間の原点。今見てもそのフォルムの美しさにうっとりします。この三体は、美術の三上陸男氏みずからが造形を手掛け、手間と時間がかかる型抜きで作られたとのこと(ただ、このページの蜘蛛男と蝙蝠男は本編撮影時の写真ではなく後日撮られた特写スチールのため、蜘蛛男は本来していないショッカーベルトを着用、蝙蝠男の翼も正式なものとは形状が異なるなど残念な点も)。
4話のサラセニアン以降は、三上氏が多忙となったため、高橋章氏がデザインと造形を引き継いだとのことですが、三上氏のデザインコンセプトが見事に継承、発展されていったことがわかります。
怪人のコンセプトをあえて崩し、怪獣を意識したトカゲロンと、怪人コンセプトに忠実なキノコモルグ。ちなみにこの図鑑に載っている2号ライダー編の怪人はこのキノコモルグとサボテグロン(14、15話に登場)だけで、こんなところからも、キノコモルグのエピソード(24、25話)が、かなり早く(実際にはピラザウルス編の前に)撮影されていたことがわかります。キノコモルグは、この図鑑を購入した当時、唯一のテレビ未登場怪人でした。
ちなみにそのころの大嶋家は、毎年夏休み期間の7月下旬から8月下旬まで、北信州の黒姫山荘で暮らすのが慣わしで、そのため、その間は「仮面ライダー」を視聴することができませんでした(当時の黒姫は、NHK以外は信越放送しか映らず、その信越放送は「ライダー」のネット局ではなかったため)。夏休みが終わったあと、学校の友だちに、「キノコモルグの話はどうだった?」と聞いてみたところ、「まだやってないよ」と言われ、「何ヵ月も前に図鑑に出ていたのに、どうしてだろう?」と首を傾げたのを覚えています(その後関連本などで、「あまり前後編エピソードが連続するのはよくない」という局の判断により、放送順が入れ替えられたというのを知りました)。
縦見開きの「仮面ライダーのすべて」。このフォルムは間違いなく藤岡弘、氏本人ですね。現在、新作映画も絶賛公開中のようですが、この当時はまさかご本人も、45年も後に同じ役を演じるとは、想像だにしなかったでしょう。
見開きの反対側は石森章太郎サイン入りイラスト(下の怪人は石森プロによるものか)。これと同型のポスターも何かの景品でもらった記憶があります。
いまだに根強い人気の蜂女。イラストとの並置もいい感じですね。
こちらは蝙蝠男とライダーの戦いを、やはり写真とイラストの並置で。どうして蝙蝠男の翼は簡略型ばっかりなのでしょう。
ちなみにこれが蝙蝠男の正式な翼。
奥付けページ。右ページイラストのマスクの青色は、当時の私が色鉛筆で塗りました。
何と、貴重なメイキング写真が。かなり小型の16mmフィルムカメラを使っていることがわかります。オールアフレコなので、録音部さんもいません。
見返し写真。ゲバコンドルが、覆面戦闘員(キノコモルグバージョン)に命令している特写スチール。
なお、朝日ソノラマだけに、この図鑑にはソノシートが付いていましたが、残念ながら現在手元にはありません。ですが、youtubeにアップされた方がいらっしゃいましたので、参考までに貼っておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=bWqUjds8Mno
キャストはソノシート用の完全オリジナルで、また「トカゲロンと怪人大軍団」をベースにしたストーリーにも関わらず、主人公は本郷猛ではなく一文字隼人になっています。2号ライダー編に入ってからの刊行物であるため、やむを得ぬ変更なのでしょうが、その一方「ヤモゲラス」が台本上の名称である「ヤモラー」になっていたりと、いささか迷走しています。
いかがでしたでしょうか。写真とイラストを効果的に併用していて、なかなか楽しめる図鑑になっていると、今回改めて見て思いました。
何か、こういう文章を書いていると、知らないうちに心があの時代に戻り、現実の感覚を喪失してしまうのですが、ふと冷静になった瞬間、「こんなブログは、一般の、あまり特撮には興味のない人には、まったく面白くないのではないか」と、言い知れぬ不安に駆られたりします。まあ、アニバーサリーということでどうかご容赦を。この企画、多分あと2回続きます。