2017年11月29日

どうなる?『物理基礎』

さて、気になるのは今日からの『物理基礎』である。今年の4月から父、母、兄、妹という4人家族の設定で番組が進んでいたが、母役のS・Yがもろもろの事情により先週(11/22)で降板となった。番組中ではっきりその告知がなされたわけではなかったが、報道によるとそうらしい。しかし、その後母役をどうするのかという情報はほとんど出てきていない。あと数時間で結果は明らかになるだろうが、それまでの間を使って、今後の番組がどうなるか推理してみたい。

連続ドラマなどで、Aという役を演じていた俳優Bが、何らかの事情で出演を続けることができなくなった場合、製作側の処置には、おおむね以下の4パターンが考えられる。

(1)Aを劇中で殺す
(2)Aを遠く(外国など)に行かせる(転勤などを含む)
(3)Aを俳優Bからほかの俳優に交代
(4)Aという役そのものを消滅させ、なかったことに(劇中でも語られない)


以下、思いつくまま、それぞれのパターンについて該当するもの(大部分が特撮、たまに一般ドラマ)を挙げてみたい。

(1)Aを劇中で殺す

これは、一番過激だがわかりやすい方法である。死んでしまったのでは、出てこないのも当然だ。有名なところでは、「仮面ライダー」で本郷猛役の藤岡弘がバイク事故を起こして出演の継続が困難になった時、テレビ版では平山亨Pの提案で、一文字隼人(演じるは佐々木剛)という第2の主人公を出し、本郷は外国に行ったと一文字に説明させたが、石森章太郎の原作版では、劇中で本郷をなぶり殺しにしている(当時小学2年の私にも、これは結構キツかった)。なぶり殺しといえば、「帰ってきたウルトラマン」における岸田森&榊原るみ(坂田兄妹)の惨殺もトラウマものである。降板させるにしても、もう少しやり方はなかったのかと今でも思う。また、「超電子バイオマン」の初代イエローフォーも、担当俳優が撮影現場に現れないという非常事態が起きたため、やむなくイエローはコスチュームのままで敵に殺され、絶命後も素顔を見せないという、いささか無理のある展開となっている。こういう事例は、特撮に限ったわけではなく、「太陽にほえろ!」のマカロニ刑事の殉職(厳密にいうと勤務中ではないため殉職ではなく殺害)も、役を演じた萩原健一が「そろそろ役を降りたい」と言ったことで決まったというし、「赤い激流」の緒形拳の場合は、翌年からの大河ドラマ「黄金の日日」とのスケジュールの兼ね合いで出演が難しくなったため、何者かに殺されたという話にして姿を消し、その犯人探しがドラマ後半の大きな柱となっていった。さらに言うと、赤いシリーズは、ひとつ前の「赤い衝撃」でも田村高広が、その前の「赤い運命」でも志村喬と前田吟が、割と唐突に劇中で死んで降板している。

しかし、この過激な方法が『物理基礎』で適応される可能性はほとんどないと思うので、以下のパターンに話を移そう。

(2)Aを遠く(外国など)に行かせる(転勤などを含む)

これは、(1)に比べればかなり穏便なやり方である。時間が経って俳優Bの「枷」がなくなれば復帰することもできるし、実際、このパターンでのドラマ降板はかなり多い。先ほど書いたように、「仮面ライダー」のテレビ版はこのやり方で、半年後に藤岡弘は見事番組に返り咲き佐々木剛と共演、ダブルライダーの雄姿をお茶の間に披露するに至った。ちなみにこの方法はこれが初めてではなく、やはり平山Pの担当番組である「悪魔くん」において、初代メフィストを演じた吉田義夫の体調不良により、二代目メフィスト・潮健児への主役交代が行われたことがあった。「仮面ライダー」でのダブルライダーのように、「悪魔くん」でもシリーズ後半、1話だけだが、ダブルメフィストの共演が実現している。なお「太陽にほえろ!」で石原裕次郎が病気治療のため長期に渡り欠場になった時の理由は「長期研修」で、石原は半年後に研修から戻ったという設定で復帰している。長寿番組などではこのパターンが結構あるかもしれない(「星雲仮面マシンマン」でも天本英世が一時期スペイン旅行のため番組を降板したが、劇中でもスペインに傷心の旅に出た、という設定にし、ラスト3話で復帰した)。
他にも、復帰はしなかったが、「キャプテンウルトラ」の小林稔侍(キケロのジョー)、「ウルトラマンタロウ」の三ツ木清隆(西田次郎隊員、降板後、1話だけゲスト的に出演)と東野孝彦(荒垣修平副隊長)「バトルフィーバーJ」のダイアン・マーチン(初代ミス・アメリカ)、「太陽戦隊サンバルカン」の川崎龍介(初代バルイーグル)などがこのパターンで画面から姿を消している。一般ドラマになるが、「湘南物語」における石立鉄男の途中降板も、この範疇に入れていいだろう(石立の遅刻をめぐって、石立と共演者のFが殴り合いの喧嘩をしたのが降板の理由、と当時の週刊誌に書かれたようだが真相はどうなのだろう。それにしてもこの番組の主役を演じたのが、今回の降板劇の当事者S・Yであるのも興味深い)。

さて、このパターンは、『物理基礎』でも通用しそうである。番組の冒頭で帰宅した信長(兄)かリコ(妹)が、居間にいた博(父)に向かって、
「あれ、お母さんは?」
と問いかけ、それに対して博がいつもの棒読み口調で、
「ああ、実は今朝電話があってね。お母さんは、田舎のおばあちゃんの具合があんまりよくないんで、しばらくは田舎でおばあちゃんの面倒を見ることになったんだよ」
と答える。それに対して2人は不満をもらすが、博は平然と、
「2人とももう子どもじゃないんだから、もっとしっかりしなくちゃあ。それはそうと、信長が今手に持っているのは、また新しい楽器かな。じゃあこれを使って、どんな音の波ができるか調べてみようか」
などと、強引に話を物理に持っていき、あとは一切、母については触れない。どうだろう、こういうのは一応ありじゃなかろうか。しかしこれでは、今までと比較して画面が明らかに殺風景である。そこで次のパターン。

(3)Aを俳優Bからほかの俳優に交代

まさかの俳優交代。いきなり違う人がその役になってしまう、視聴者ポカーンの、ある意味禁じ手である。しかし、これまでかなりの数のドラマが、この禁じ手を強行している。一番有名なのは、やはり「赤い疑惑」におけるヒロインの母親であろう。八千草薫が何の前振りもなく、いきなり7話から渡辺美佐子に交代。まったく似ていない。一応交代回の初めにテロップによるお断りは出たらしいが、キャラクターまで山手風から下町風に変わってしまい、多くの視聴者を困惑させたのは今も語り草である。最終的には渡辺母の下町風キャラの方が、深刻に傾きすぎるドラマにおいての救いになっていると高評価を得たのだが…。ほかにも、一時的に俳優が変わった「マグマ大使」のガム、前任者が急逝したため交代するしかなかった「快傑ライオン丸」の虎錠之介(タイガージョー)、前任者が逮捕されたため交代するしかなかった「バトルフィーバーJ」のヘッダー指揮官、前任者が演技に難がある(?)という理由で交代になったとも噂される「ウルトラマンタロウ」の白鳥さおり(実際は初代の女優さんの方が今も現役で、二代目はすでに活動していないようだが)、など次々浮かんでくる。一般ドラマでも、NHKの大河ドラマ「勝海舟」では主人公が病気のため交代になったこともある。果たして今回Eテレはこの方法を踏襲するのだろうか。しかし、シリーズが折り返しを過ぎてからの俳優交代は、視聴者に敬遠される危険性もある。となると、もう選択はひとつしかない。

(4)Aという役そのものを消滅させ、なかったことに(劇中でも語られない)

主役や準主役ならいささか厳しいが、三番手以降のポジションの場合、案外行われる方法である。
古くは「ウルトラマン」のホシノ少年で、前半あれだけ悪目立ちして、中盤では隊員にまで昇格するのに、突然姿を消し、何の説明もなし。「ジャイアントロボ」における片山由美子(U5)も、当初はユニコーン隊員のメインの一人だったが、桑原友美(U6)の登場以降影が薄くなり、後半はほとんど出番もなく最終回にも姿を見せていない。「仮面ライダー」の歴代ライダーガールズ&五郎や、「太陽にほえろ!」の歴代お茶くみ嬢も、ほぼ同様の扱いである(初登場時にはきちんと紹介されるのに、消える時はひっそりとフェードアウト)。一番ひどいのは「シルバー仮面」における松尾ジーナ(春日はるか)で、当初は春日5兄弟の末の妹という設定だったのに、いつの間にか単身大阪に行って、いつの間にかいなかったことにされてしまう(「シルバー仮面」は大変思い入れのある作品だけに、このあたりの「粗さ」がどうしても気になる)。同時期に放送された「変身忍者嵐」でも、ヒロインのポジションだった林寛子が、中盤からじわじわ出なくなり、ついに音もなく消滅したのは大変残念だった。こうした途中降板組は思いのほか多く、中堅&ベテラン俳優でも、「ジャンボーグA」の田崎潤(伴野大作)、「ウルトラマンレオ」の藤木悠(大村正司)、「時空戦士スピルバン」の伊藤克信(小山大五郎)、「仮面ライダーBlack」のセント(東堂勝)や久富惟晴(坂田代議士)、北見治一(大宮会長)などの顔が浮かんでくる。特撮ものはそれなりに重要なキャラクターを、説明なしに消しすぎるように思う。

と言いつつ、特撮に限らずテレビドラマ全般において、レギュラーキャラが消滅するのはいわば不文律のようなもので、俳優のスケジュールの都合で当然出るべき回に登場しない、などというのは珍しくない。「赤い激流」で岸恵子とともに特別出演待遇だった山口百恵は、当然最終回には顔を出すとほとんどの視聴者に思われていたが不登場だったし、同様に、「赤い衝撃」「赤い嵐」で特別出演待遇だった宇津井健も、かなり重要なポジションでありつつ、ラストで顔を見せなかった。同様の例はいくらもあるはずである。こうしたテレビドラマの歴史を振り返れば、今回『物理基礎』においてこの不文律を適応させても何の不思議もない。そうするとどうなるか。

今日の放送では、物理(ものり)家は、あたかも最初から3人家族であったように全員がふるまう。母の話は一切なし。そもそもこの家に母親はいるかいないのか、別居したのか離婚したのか死別したのか…そんなことは一切顧みず、今までどおり、居間で物理談義を戦わせる。

どうだろう。これが一番可能性としては高いように思うのだが…。

などと書いているうちにそろそろ放送時間である。さて、結果はいかに??
posted by taku at 14:09| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする