2018年10月02日

『凍える鏡』10年経って…

20181002.jpg

以前『凍える鏡』という映画を作って、2008年に公開しました。今年は2018年ですから、ちょうど10年前です。ほとんどの映画は(ごく一部の例外をのぞいて)、10年も経てば、人々の記憶から消え失せ、それを語る人も、観る人もいなくなってしまうものですが、どういうわけか、この『凍える鏡』のDVDが、最近またアマゾンで売れ始めているようです。

凍える鏡 [DVD]
凍える鏡 [DVD]

その理由は、今年春のドラマで田中圭さんの人気に火がつき、いわゆる「圭沼」にはまり込むフォロワーが激増、その方たちが若き日の圭さん見たさに旧作を買い求めているから、とのこと。実は『凍える鏡』のDVDは、販売元だった某ビデオメーカーが販売事業から手を引いたため、数年前から新品の流通が停止していたのです。そのため、レンタル落ちの中古品に高値がつくという不本意な状態が続いていたのですが、DVDの在庫自体はまだ残っていたので、プロデューサーの露木栄司さんが「イイツ」という会社を立ち上げたのを機に、「イイツ」が販売元となってアマゾンで販売を再開することにしました。しかし、当面は小口販売で、しかも、出品者のところをクリックすると、露木さんの名前や連絡先などが出てくるため、まるで個人で販売しているように見え、ツイッターでは「怪しい」などと書かれてしまうありさま。やむなく、普段はツイッターをやっていない私ですが、『鎌倉アカデミア 青の時代』のアカウントを使ってツイート主に返信、正規品であることを説明して、ご理解いただいたという次第。こうしたやりとりの甲斐あってか、「イイツ」が正規品を販売している事実も浸透してきたようで、コンスタントに発注が来ているという報告を露木さんから受けています(ここだけの話ですが、実際の発送業務も露木さん自身がやっています。届くまで時間がかかってしまう場合があるのはそういう事情です。プロデューサー本人がそこまでやるってのもなかなかないですよね)。

ちなみに、現在「イイツ」が販売している『凍える鏡』のDVDにはポストカード(公開当時のチラシと同じデザイン。DVDジャケットとは微妙に異なる)が付いていますが、これは、必ず付属するということではなく、なくなり次第終了となります。ポストカードもそれなりに在庫があったので、それじゃあ「おまけ」としてつけようという露木さんのアイデアによるものですが、思いのほか発注が多いようなので、いつなくなるかわかりません。というわけで、ご購入をお考えの方はお早目に(なんか宣伝みたいですみません)。

それにしても、10年も前の作品を、現在こうやって観ていただけるのは本当にありがたいことです。正直、公開当時は、まだ「自己愛性パーソナリティ障害」に関する世間の認知度も低く、俳優陣の熱演にもかかわらず、映画の興行成績は芳しいものではありませんでした。作った本人としては大変な敗北感で、そんなこともあって、私は劇映画はもう撮るまいと考え、『凍える鏡』以降はドキュメンタリー映画に方向変換し、ドラマにはまったく手をつけませんでした。しかし、今回この作品にふたたびスポットが当たったことで、「やはり作品は、作っておけば、いつか顧みられる時もくる。作った時に評価されなくても、それほど気に病む必要はないのではないか」と考えをあらたにした次第です。

『凍える鏡』をご覧になった方の感想などを読むと、あの時まだ20代前半だった田中圭さんの演技の巧みさを賞賛する声が多いようですが、たしかにあれだけの難役を、何の迷いもなしに、まるで、最初から岡野瞬というひとつの人格がそこに存在していたかのようにカメラの前で表現して見せてくれる圭さんの技量はただものではありません。10年前、彼を主役に抜擢した自分の選択は間違っていなかったと、密かに誇りに思ってもいます。あれから10年が過ぎ、演技にますます幅と深みが加わった田中圭さんの一層の活躍を、私も影ながら見守っている一人です。
posted by taku at 17:46| お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする