2018年12月26日

「砂の香り」@TCC試写室

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去る23日、岩内克己監督を囲む集い「砂の香り」にゲストとして参加してきた。岩内監督の教え子であるライターの高畠正人さんが主催する催しで、今回が31回。1994年以来、もう24年も続いているという。いつもがどういう形なのかよく知らないのだが、今回は新橋のTCC試写室を借りて、岩内監督が出演した『鎌倉アカデミア 青の時代』を上映、そのあとで岩内監督と私とがトークを行うという段取りだった。参加者は30人弱。TCC試写室にはこれまでずいぶん足を運んでいるが、こんなに人口密度が高いのは初めてだった気がする。

トークは50分ほどで終了。映画もトークも、大変好意的に受け取っていただいて嬉しい限り。岩内監督とお会いするのは、昨年のケイズシネマでの公開初日以来だったが、変わらずお元気なのもまた嬉しい。岩内監督と、鎌倉アカデミア同級生の加藤茂雄さんとは、ともに大正14(1925)年の生まれで93歳。大正生まれも少なくなってきたとはいえ、まだまだ健在な方も多くいらっしゃるのだ。

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会場には、「若大将シリーズ」で長年にわたって若大将(加山雄三)の妹・照子役を演じた中真千子さんのお姿も。この照子というキャラクター、何を隠そう、結構私のお気に入りなのである。物語のクライマックスで若大将が何かの試合に出る時には、だいたいおばあちゃん(飯田蝶子)と照子が一緒に観客席で応援するのだが、その際、さりげなく年配のおばあちゃんを気遣う仕草が、演技と言うよりも本当に孫が祖母を思いやっている感じで、そういうナチュラルさが好印象であった。マネージャー江口(江原達怡)とのロマンスの進展も、微笑ましくてよかったし。余談ではあるが、若大将とヒロインの澄ちゃん(星由里子)との関係は、1作ごとにリセットされて毎回初対面の他人になってしまうのに、照子&江口のロマンスは継続していたというのも考えてみれば不思議である(まあ、メインの男女の恋愛は、常に出会いから描かないと新鮮味がないということなのだろうが…)。

さらに中さんといえば、私のような特撮愛好家にとっては、「ウルトラセブン」第2話「緑の恐怖」でのメインゲスト(箱根に向かう小田急ロマンスカーの中で、隣りに座っていた夫・石黒が突然ワイアール星人に変貌してしまうというトラウマ必至の恐怖体験をした若妻)、そして「兄弟拳バイクロッサー」での水野兄弟(金子哲、土屋歩)の母親役も忘れがたい。
「僕は当時大学生でしたけど、『バイクロッサー』結構見てたんですよ」
と、お話したら、
「そうでしたか。あれは東映の俳優センターに所属していたころで、大泉でずっと撮影していたんです。お母さん役でしたから、出番はセットが多かったかしら」
などと懐かしそうに当時のことを語ってくださった。しかしそのうち、
「……でも、あれに出ていた、中原(ひとみ)さんの息子さん、ずいぶん早く亡くなって……」
と、うつむいて淋しそうな顔をされたのではっとした。そう、弟役の土屋歩さんは、「バイクロッサー」に出演した5年後、1990年にまだ26歳の若さで亡くなったのだ。
劇中の中さんは、先程の照子と同じように、どこからどうみても水野兄弟のよき母親といった趣だった。私生活では独身を貫いた中さんだが、「自分にもし男の子がいたらこんな感じなのかな?」とイメージをふくらませつつ、撮影中は本当の母親のように土屋さんたちに接していたのだろう。それだけに、土屋さんが亡くなった時には、まるで自分の息子が亡くなったような淋しさを味わったのではないのだろうか。……などと想像をたくましくしてしまった。いずれにせよ、ご壮健なお姿を拝することができ、大変に嬉しいひとときだった。

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これは「砂の香り」の参加者のみに配布される豪華パンフレット。テキストぎっしり、読み応え充分の大力作。忙しい年末に毎回これを作っている高畠さんの情熱にはほんと、頭が下がります。30人前後の参加者に配るだけというのはもったいなさすぎ。もっと広く配布なり販売なりした方がいいんじゃ……。
posted by taku at 12:35| 鎌倉アカデミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする