トレースパクリと
噂され
罪認めよと
皆がざわめく
(縦読みでどうぞ)
近ごろのネット界隈は、あるイラストレーターの話題で、オリンピック以上に賑わっているようだ。その人物は著作権者の許可を得ることなく、多数の写真画像をモチーフに作品を制作し発表、さらには販売までしていた疑いがあるという。ネット探偵たちの連日の捜索により次々と証拠画像が発見され、それらを解析した結果、当初は模写かトレスでは、と言われたが実はトレスですらなく、画像処理ソフトを使っていただけらしい、という推測までなされている。
今後の展開にも目が離せないところだが、ひとつ気になったのは、そんなに簡単に写真からイラストに変換できるものなのか?ということである。そこで、手近にあった写真画像と、かなり旧バージョンのphotoshopを使って、実際どの程度写真をイラストや絵画に近づけられるのか試してみた。photoshopはかれこれ20年近く使っているが、作業のほとんどは色調や濃度の補正、レタッチ、そしてサイズの調整ぐらいで、画像そのものの「定義」を変更するというのはほぼ初めて。かなり新鮮で刺激的な体験であった(使用した写真はすべて、ホームページや作品のためにモデルさんを使って自分で撮影したものです)。
↑まずはこちら。何も言わなければイラストと認識されると思うが、
↑これが元の写真。
↑これも、なんとなくイラスト風味だが、
↑元はこんな感じ。
ここからは、元写真、イラスト風、そして話題の人が好んで用いる「左右反転」という順でご紹介。
元写真
イラスト風
左右反転
元写真
イラスト風
左右反転
元写真
イラスト風
左右反転
元写真
イラスト風
左右反転
元写真
イラスト風
※左右反転は省略
かなりの枚数試してみてわかったのは、どんな写真でもうまくいくわけではないということ。やってみなくてはわからないのだが、まあ、基本ワンクリックですから。あるフィルターをかけて、そのあと細部のアラをコピースタンプツール等で修正する感じ。
ここまではペン画風だったが、以下は絵画(筆絵)風。
元写真
絵画風
※左右反転は省略
元写真
絵画風
左右反転
元写真
絵画風
左右反転
元写真
絵画風
左右反転
元写真
絵画風
左右反転
元写真
絵画風
左右反転
もちろん小動物も一発変換。
まあ、これらは古いソフトを使って「なんちゃって」で作った、いうなればお遊びの域である(と言いつつ、結構ハマってしまい丸2日潰れてしまった)。現在ではもっと高性能なソフトが出ているはずだから、写真のイラストへの加工は一層容易になり、表現のバリエーションも豊富になっていることだろう。しかしそうなると、もはやイラストレーターはいなくても、元の写真とグラフィックデザイナー(ないしはオペレーター)がいれば、ほとんどの商用ニーズは満たせるのではないだろうか。そんな考えはいささか飛躍が過ぎるかも知れないが、写真画像とイラストとの境界は、21世紀以降どんどん曖昧になってきているような気がする(最近はスマホのアプリなどでも、原型が残らないくらいの画像補正が可能なようだし)。