2021年06月02日

加藤茂雄さんの面影

6月に入りました。早いもので、俳優の加藤茂雄さんが94歳で亡くなって、間もなく1年になろうとしています(6月14日がご命日)。

現在、NHK BSプレミアムでは『ウルトラQ』(1966年)と『ウルトラセブン』(1967〜8年)の4Kリマスター版が放送されています。日本を代表する特撮ドラマといわれるこの両作品には、どちらも2回、加藤さんが出演しています。

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すでに放送が終わってしまいましたが、『ウルトラQ』では第3話と第8話、『ウルトラセブン』では第1話と第5話で、当時40代だった加藤さんの面影をしのぶことができます。

ultraQ_03.jpg 『ウルトラQ』第3話

ultraQ_08.jpg 『ウルトラQ』第8話

放送からすでに50年を過ぎているというのに、映像技術の進化のおかげで、眼前にあるかのような鮮明な映像で、若い時の加藤さんと再会することができるのは幸せです。

ultra7_01_01.jpg 『ウルトラセブン』第1話

ultra7_05.jpg 『ウルトラセブン』第5話
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2021年05月31日

『バイクロッサー』の台本が…

先日、なぜか『兄弟拳バイクロッサー』のことを思い出し、ネット検索をしていたところ、大変にショッキングなものを発見。なんとヤフオクに、潮建磁(潮健児)の使用した『バイクロッサー』の台本が出品されていたのである。しかも、わずか1,500円という信じられない金額で、競り合うこともないままに落札されていたのだ。オークション開始は4月11日で終了は17日。つい先月のことではないか。気づかなかった自分が呪わしい。

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表紙の書き込みから、5月11日にクランクインで20日にアップ、25日にアフレコが行われたらしいこともわかる(もっともこれは決定稿が配布された時点での予定で、変更された可能性もあるが)。

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潮建磁みずからが描いたと思われる似顔絵も。

正直、これにはかなり凹んだ。この27話「善人になったドン」というのは、『バイクロッサー』全34話の中でも屈指の名作であり、そして唯一といっていい、潮建磁の完全主役回なのである。そんな貴重な回の台本が、こんな形で市場に出ていたとは……。

まずはこの「善人になったドン」を、簡単にご紹介していこう。

1985年7月11日放送。脚本:杉村のぼる 監督:奥中惇夫

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秘密結社デスターの首領(ドン)・ドクターQは、携帯縮小式のフライングマシンを発明し、みずからその試験飛行に出発。

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ここでタイトルコール。ドクターQを演じる潮建磁はこの時60歳だが、嬉々としてピアノ線につられている。

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シルクハットにタキシードといういでたちは、かつて『悪魔くん』で演じたメフィスト役へのオマージュか?

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大空の散歩を楽しむドクターQだったが、カラスに纏わりつかれ、バランスを失い、

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あえなく地面に落下。

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救急車で病院にかつぎ込まれるが、頭を打ったショックで記憶喪失になり、自分が誰なのか思い出せない。

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同じ病室には雪子という女の子が入院中。

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雪子は事故で足を痛め、今はもう完治しているのだが、恐怖心が先に立って歩くことができない。

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ドクターQは、タキシードの内ポケットに入っていたフライングマシンを見つけ、雪子に着用を促す。「歩けなくても、これで空を飛べば、行きたいところへ行ける」と(記憶喪失のはずのドクターQが、どうしてフライングマシンの操作を覚えていたかという野暮な突っ込みはなしで)。

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本来、ドクターQは子どもが大嫌いなひねくれた性格なのだが、雪子の境遇が自分の今の境遇と重なったからか、あるいは頭を打ったショックからか、素直に雪子と心を通わせていく。父親がいない雪子も、ドクターQを「おじいちゃん」と呼んでなつく。

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しかし、ドクターQを本部に連れ戻そうとするデスターの面々が襲ってきて、それをバイクロッサーが撃退するなどの騒ぎがあり……(ドクターQの深層意識に、これまでさんざんバイクロッサーにやられてきたという記憶が残っていたようで、バイクロッサーには激しい嫌悪感を示す)

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これ以上雪子を危険な目に遭わせるわけには行かないと、そっと病院から去ろうとするドクターQだったが、雪子も、「おじいちゃんと一緒に行く」と聞かない。

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ドクターQは雪子の母親に、「雪ちゃんは必ずお返しします」という置手紙を残して(悪の首領とは思えぬ紳士的な行為)、ひととき、雪子との道行きを楽しむが……

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またも、ドクターQとフライングマシンの奪還をもくろむデスター一味。今度は、デスターロボがドクターQそっくりに化けて雪子に近づく。

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これがデスターロボが化けたドクターQ。潮建磁の演じ分けに注目。

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この時は本物のドクターQが雪子にそれを知らせ、雪子は駆けつけたバイクロッサーの助けもあって難を逃れる。そして雪子は、乱闘に巻き込まれて倒れているドクターQの身を案じ、ついに自分の足で立って歩く。

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それを見つめるドクターQ。まあ、この辺は「クララが立った」的な王道展開なのだが、潮建磁の演技に思わず見入ってしまう。

雪子が歩けるようになったのを見届けたドクターQはその場に倒れ、その時に頭を打ったショックで、元のドクターQに戻る(ほぼ同時に雪子もつまずいて倒れ意識を失っており、ドクターQの変貌は見ていない)。

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記憶を取り戻したと同時に、雪子と過ごした日々のことをすべて忘れてしまったドクターQ。デスターの首領として戦線に復帰し、バイクロッサーとの戦いが始まる。この後はルーティンワークなので省略するが、ラストは、無事退院することになったユキ子が、病棟の方を振り返り、優しかったおじいちゃん(ドクターQ)はどこに行ってしまったのかしら、と思いを馳せる場面で終わる。

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いかがだったろうか。
60〜80年代のテレビ特撮作品を思い返しても、悪の組織の首領が、一時的とはいえ、完全に善人キャラに変貌するというエピソードは他に思い当たらない。そういう意味では、大変な異色作といえるだろう。
「どんなエゴイスティックな人間でも、その根底には善の心がある」というテーマは、ディケンズの「クリスマス・キャロル」にも通じるものがあり、放送当時に視聴した時にも大いに感心したものである。脚本の杉村のぼるは同時期に『スケバン刑事』のメインライターも務めていたのだが、あちらではかなり陰惨なエピソードを連発していたのに対し、こちらはどこまでもハートウォーミングな作劇で、その書き分けの妙にも舌を巻いたものだ。そしてまた、悪の首領と人のよい初老の男を見事に演じ分けた潮建磁の名演も忘れがたい(彼自身も大層気合いを入れて撮影に臨んだように思われる)。以上の2つの理由により、今でも深く記憶に焼きついている一作なのである。

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そんな名作の台本が、しかも、実質的な主役である潮建磁が使用した世界でたった1冊の台本が、ネットオークションで売買の対象となり、わずかな金額で人手に渡ってしまう。これもまた時代の流れということであろうか。昭和を彩った俳優たちが次々世を去っていく今、「遺品の整理」という名目で、こうした出品はこれからも増えていくのだろう。
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2021年04月01日

世紀の大発見、その後

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前回紹介できなかったもの(1)。成田亨によるドゴラ。『世界大怪獣カード』用に描き下ろされたもの。

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前回紹介できなかったもの(2)。藤尾毅によるジラースとラゴン。『ウルトラマンカード』のための描き下ろし。

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前回紹介できなかったもの(3)。石原豪人による『パノラマ世界大怪獣』の表紙。メフィラス星人、ヒドラ、ケムラーが描かれている。

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前回紹介できなかったもの(4)。井上英沖による生原稿。『現代コミクス ウルトラマン』1月号「ガボラの巻」より。

初代「ウルトラマン」の放映時期(1966〜67年)に、現代芸術社から刊行されていた『現代コミクス ウルトラマン』関連の原稿や原画が、思わぬところで見つかった! という記事を、かなり気合いを入れて書き、「世紀の大発見!」と題して去年の11、12月に投稿したのだが、アクセス解析などを見る限り、ほとんど反響はなかった。

○世紀の大発見!『現代コミクス ウルトラマン』後日譚(1)
○世紀の大発見!『現代コミクス ウルトラマン』後日譚(2)

「今となっては、成田亨や石原豪人の原画といっても、食いついてくる人はいないのか」と少々淋しい気持ちでいたところ、どういうわけか、今年の3月になってから急にツイッターなどで大々的に拡散されたようで、アクセス数がえらいことになってきた。私のブログは、普段は1日に100人程度の訪問者なのだが、それがいきなり1日10,000人を超えたのだ(2008年のブログ開設以来初めての現象)。

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しかし「バズッた」のは1週間程度で、すぐ平常の数字に戻ったが、特撮愛好家の方々にはそれなりに情報が行き渡ったようで、こちらとしても嬉しい限りである。

さて、これら貴重な原画類の収蔵等について、新たな動きがあったのでこの場を借りて報告したい。このブログの「特撮」カテゴリでも紹介してきたように、かねてより私は、この時代の特撮関連書籍や資料をかなり収集保存してきており、どこかでこれらを一括管理、閲覧などもできる施設を運営することを考えてきたが、今回、こうした発見もあったので、長嶋武彦氏のご遺族とも協議した結果、鎌倉において、これら特撮関連資料の公開施設を立ち上げることで意見の一致を見た。コロナ禍がいまだ収まらないため具体的な開設時期は未定だが、名称は「鎌倉20世紀特撮伝承館(仮)」とし、ここ1、2年のうちにスタッフを揃え資料を整理、遠からず愛好家の方が閲覧できる場を提供したいと考えている。

……というのは全部ウソです。勝手な妄想です。今日はエイプリルフールなので、どうかお許しを。長嶋氏宅において発見されたお宝については、今後のことはまだ何も決まっていませんし、また、特に問い合わせも来ていないとのことです。本日、このブログを書くにあたり、ご子息の長嶋竜弘さんに電話で確認したので間違いありません。ツイッターで、某県立美術館に「すぐに連絡を取った方がいいですよ!」と薦めてくださった方もあったようですが、まあ、年度代わりで忙しい時期ですし、そうすぐには動けないですよね。しかしながら、長嶋武彦氏の遺されたものを、鎌倉市内で保管・公開できたら、という希望をご遺族が持たれているのは事実ですので、散逸などせず、なるべくいい形で、貴重な文化財が次世代に継承されていくのを願うばかりです。
posted by taku at 16:46| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月14日

世紀の大発見!『現代コミクス ウルトラマン』後日譚(2)

前回につづき、1966〜67年に現代芸術社から刊行された「ウルトラ」関連書籍の原画等を紹介していきたい(前回記事はこちら)。

まずは『ウルトラマンカード』に収載されたイラストの数々。前回紹介できなかったものを一気に公開。最初の6枚は「ウルトラマン」の美術デザイナー・成田亨自身による貴重な直筆画である。

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ミイラ人間とウルトラマン(デザイナー権限でカラータイマーは無視)。

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シュールな形のブルトン。「アンドレ・ブルトン」より命名。

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赤い怪獣、火炎を吐くバニラ。

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対する青い怪獣アボラスは、何でも溶かす溶解泡を吐く。

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日本アルプスに出現したギガス。

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ギガスと対戦したドラコは彗星ツイフォンより飛来。

成田の描く怪獣は描線も細く、絵画というよりイラストと呼んだ方がぴったりくる感じがする。

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ここからの3点は藤尾毅の画。前回のジラースもそうだったが、藤尾の描く怪獣はまさに「獣」の生々しさに溢れており、成田のグラフィカルな筆致とは対照的。第1話に登場のベムラー。

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ネロンガと戦うウルトラマン。

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モングラーと戦うウルトラマン。モングラーは「ウルトラQ」の怪獣なので、実写作品にこうしたシーンはない。まさにドリームマッチ。『ウルトラマンカード』からはここまで。

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『ウルトラマン 決定版!怪獣カード』より「ウルトラQ」のゴロー。画は小林弘隆
ちなみに小林弘隆は昭和初期に「挿絵界の三羽烏」と謳われた小林秀恒の次男で、そのご子息・小林秀樹さんもイラストレーターという三代にわたる絵師の家系。

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『ウルトラマン 決定版!怪獣カード』より「ウルトラQ」のタランチュラ。童話の挿絵のような独自のタッチは河島治之

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「ウルトラQ 宇宙指令M774」フォノシート実物(上)と、その原画。テレビでは見られないボスタングの雄姿。

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『世界大怪獣カード』の表紙。

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原画は前村教綱によるもの。 描かれているのはガメラとバルゴンなのだが、パッと見ではそうとわからない。前村が本格的に怪獣画を描き始めるのはこれより少し後らしいので、まだ勘所をつかんでいなかったのだろう。

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『ウルトラマン 決定版!怪獣カード』の付録「怪獣パノラマ」。

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成田亨による原画はこちら。背景(燃えるビル街)は小林弘隆が担当。

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『ウルトラマン・怪獣 きりぬき仮面』の表紙。

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その原画。執筆は石原豪人。ウルトラマンの奇抜なポーズと全体の不安定な構図が幼児のころ気になって仕方がなかったが、今見てもやはり奇抜で不安定である。

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『キャプテンウルトラ画報』の表紙。

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その原画。こちらも執筆は石原豪人。リアリズムを超えた迫力というか、とにかく画全体から発せられる強烈なパワーに圧倒される。キャプテンの顔が西洋人風。

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フォノシート「テレビマンガのうた」のジャケット。

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その原画。井上英沖が『少年画報』に連載していた「サンダー7」をジャケット用に描き下ろしたもの(魔人ガロンと正太郎くんのパチモンにも見える)。

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『現代コミクス増刊2 ウルトラマン』1月号に掲載の「グリーンモンスの巻」の生原稿。岸本修によるもので、現在も単行本未収録。

『現代コミクス ウルトラマン』表紙シリーズ。

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7月号(サイゴ、シーボーズ)

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8月号(グビラ、ダダABC)

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特別増刊『ウルトラマン怪獣大全集』(ヒドラ、ネロンガ、ドドンゴ)。これらの原画3点はすべて柳柊二

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最後に、成田亨による掲載誌不明の恐竜イラスト。成田が実在の恐竜を描くのはかなり珍しいのでは?

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以上の原画や原稿はすべて、現代芸術社社長だった長嶋武彦氏(昨年10月に99歳で逝去)のご自宅の居間のテーブルで拝見し、その際に一眼レフカメラで撮影したものだ。スキャンしたわけではないので、よく見ると上下左右で明るさが微妙に違っている。立ち会ったのは武彦氏の次男で、現在鎌倉市議会議員をされている長嶋竜弘さん。

私とはひとつ違いの1964年生まれで、したがって初代「ウルトラマン」をぎりぎりリアルに知る世代に属する。そうした親近感もあって、かなり長時間におよぶ「開陳」となった(細かく言うと、訪問は2回。最初は鎌倉市川喜多映画記念館のM谷さんに連れられて行き関連資料の半分を拝見、その後、あらためて訪問し残りの半分を見て、主なものを撮影)。

ここで、長嶋武彦氏の経歴をご紹介しておこう。

長嶋武彦(ながしま・たけひこ)
1920(大正9)年4月20日、福島県会津生まれ。早稲田大学文学部西洋哲学科卒業。1945(昭和20)年、大学院に進みドイツ浪漫主義を研究。『主婦と生活』編集部に1年勤務の後、文芸図書の装幀を行うアトリエ(生活美術)の経営、雑誌(「富士」「週刊映画」)編集や長嶋書房を自営。1960年10月、現代芸術社を創設。フォノシート出版や一般出版を手がける。1971年から1986年まで、劇団木馬座の代表取締役を務め、児童劇の制作、脚本を担当。1989(平成元)年に第一詩集『雲母(きらら)』(現代詩人叢書第8集/檸檬社)、1991年に第二詩集『峡(はざま)』(近代文藝社)を上梓。2019(令和元)年10月28日逝去。享年99。

以上はおもに詩集の略歴からの抜粋だが、これを読んだだけでも、多彩な分野で精力的に活動された教養豊かな方だったことがしのばれる。亡くなる少し前までお元気であったと竜弘さんはおっしゃっていたので、もう少し早く消息がわかっていたら、お目にかかってお話をうかがえたのに…と残念に思う。

ちなみに、2014年4月に長嶋武彦氏の94歳のお祝いをした富樫宥太さんというミュージシャンのブログがこちら(どういう関係なのかは不明だが、武彦氏のことを「師匠」と呼んでいる)。

これを読むと94歳でなお矍鑠(かくしゃく)としていたことがわかる(加藤茂雄さんも顔負け)。さらに言うと、このブログを書いていた富樫宥太さんは1964年1月生まれで竜弘さんや私と同世代なのだが、なんと昨年の1月に55歳で急逝したそうである。師匠である武彦氏より9ヶ月も早かったのだから何ともやり切れない。

なお、現代芸術社でのフォノシート出版事業のことは、ご本人が当時を回想した文章(インタビュー?)をこちらのページで読むことができる(当然ながら長嶋家には当時のフォノシート出版物も大量に保管されている)。

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その文中に、

65年頃から、フォノシートにかげりがでてきました。大きくなった世帯を維持するために、いろいろなものを出しました。

という記述があるが、その「いろいろなもの」のひとつが、当時大人気だったウルトラマンを題材にした『現代コミクス ウルトラマン』や「怪獣カード」シリーズだったのだろう。

なお、このブログで紹介したのは、長嶋家に残っていたもののごく一部だが、『現代コミクス ウルトラマン』やそれ以外の「ウルトラ」関連出版物に関する限り、原画や原稿のたぐいはそれほど多くなかった。井上英沖による原稿はトータルでも10ページ以下だったし、成田亨の原画にしても、「怪獣カード」シリーズに書き下ろしたものの半分にも満たない。どうしてそんな不完全な形でしか残らなかったのか、それはもはや永遠の謎である。竜弘さんに言わせると、武彦氏はあまり過去のものには執着しない性分だったようで、逆に言えば、これだけでも手元に残ったのは、武彦夫人の配慮によるものだったのではないか、ということであった。

現在長嶋家では、竜弘さんと、「鳴神響一」のペンネームで精力的に小説を発表しているお兄様(武彦氏の長男)とで遺品の整理を進めているそうだが、それを後々どのようにするかはまだ決まっていないという。
「できることなら、どこかで一括して保存、あるいは公開などしていただいて、生前の父の業績を後世に伝えられるようになればいいと思うのですが…」
と竜弘さんはおっしゃる。私も作家の息子であり、父の業績をどう伝えていくかは人生における大きなテーマのひとつであるだけに深く共感したが、実際にはなかなか難しいところがありそうだ。とはいえ、竜弘さんは鎌倉市議で、お兄様も著述業。お二人の広範なコネクションを駆使すれば、私の心配などは杞憂で終わるようにも思う。とにもかくにも、鎌倉はまさに「秘めたる文化財」の宝庫であると、改めて思い知らされた出来事であった。

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長嶋家の窓から鎌倉市街を望む
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2020年11月26日

世紀の大発見!『現代コミクス ウルトラマン』後日譚(1)

かつて、初代の「ウルトラマン」が放映されていた時期(1966〜67年)に、『現代コミクス ウルトラマン』というコミック雑誌が現代芸術社から刊行されていた(毎号2本のコミカライズ作品を収録)。「遊星少年パピイ」で知られる井上英沖が執筆のメインを務め、なかなか人気のある月刊誌だったのだが、数年後に会社がなくなってしまったこともあり、単行本化される機会がないまま半世紀が過ぎ去った。それが2017年に復刊ドットコムからリバイバルされることが決まり、もはや原稿や原画は行方がわからないため、私が実家で保管していた現代コミクスを「原本」として提供した……という話は、このブログで3回にわたって書いたとおりである(以下のページを参照)。

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●『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(1)
●『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(2)
●『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(3)

今回の話は、その続編というか後日談というか、とにかく、世の中こんなこともあるのか、と、実に驚かされた出来事である。もはやこの世に存在しないと思われていた『現代コミクス ウルトラマン』の原稿や原画が、まったく意外なところで見つかったのだ!! これを世紀の大発見と言わずして何と言おう!
例によって特撮愛好家以外の方にはピンと来ない話だと思うが、とにかく画像だけでもながめていただければ幸いである。

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『現代コミクス ウルトラマン』1966年12月号のカラー口絵。かなりオリジナル度が高いジラースが描かれているが……

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その原画がこれ。すごい迫力である。執筆は藤尾毅

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同じく『現代コミクス ウルトラマン』1967年2月号の2色口絵。

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原画がこれ。執筆は、怪獣絵師としてトップクラスの人気を博した梶田達二。現代コミクスにイラストを掲載した挿絵画家はほとんど、ウルトラマンの顔をAタイプで描き続けたのに対し、梶田はBタイプで描いている。

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『現代コミクス ウルトラマン』1967年3月号の巻頭カラーページ。

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その原稿。実物はより鮮やかな発色。ちなみにアボラスとバニラの色が反対なのは、「ぼくら」掲載の一峰大二版を参考にしたためと思われる。

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『現代コミクス ウルトラマン』1967年4月号の2色ページ。

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その原稿。朱色部分はトレーシングペーパーで指定してあるのがわかる。

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トレーシングペーパーの下には、井上英沖の筆による生原稿が!

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『現代コミクス ウルトラマン』1967年4月号増刊の表紙。

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その原画。石原豪人のホラーなタッチが冴える。ドラコの彩色には驚かされるが、空のブルーとのコントラストが美しい。

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『現代コミクス ウルトラマン』1967年6月号の実物とその原画。柳柊二の筆によるもの。

まだまだある。

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『現代コミクス ウルトラマン』と同じ時期に、現代芸術社からは怪獣カード(24枚ほどのカードをひとまとめにしたもの)も複数発売されていたのだが、そのうちのひとつ、「ウルトラマンカード」の表紙。

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その原画。こちらも執筆は石原豪人(ぺスターが妙にべたーっとなっているのが幼少期以来気になってしょうがない)。

そして極めつけはこちら。

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「ウルトラマン 決定版!怪獣カード」「ウルトラマンカード」に収載されたイラストの数々。言わずと知れた「ウルトラマン」の美術デザイナー・成田亨自身による貴重な直筆である。上はドドンゴ。

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テレスドン。建物のパースも素晴らしい。自分のサインを「T.NARITA」と建物のロゴにしているセンスも秀逸。

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悲劇の怪獣「元宇宙飛行士」ジャミラ。表情に人間味が感じられる。

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ウルトラマンに化けて悪事を働くザラブ星人。こちらも建物の描き方にインパクトあり。

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上記イラストをカード化したものがこれ。これらのイラストは『現代コミクス ウルトラマン』にも転載されている。

現在、画集や図録などでわれわれが目にする成田亨の怪獣イラストといえば、ほとんどが「業務用」というべきデザイン画か、さもなくば後年描かれたものであり、「ウルトラマン」放送当時に、「一般観賞用」として描かれたイラストは、現代芸術社の依頼によるこれら一連のものぐらいではないか。そういう意味では大変稀少価値の高い、まさに「お宝」だと思う。まさか直接目にし、手に触れる日が来ようとは……

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ほかにも、掲載誌は不明だが前村教綱による怪獣格闘画なども。

さて、これらはいかにして、今回陽の目を見ることになったのだろう。

あれは8月下旬、加藤茂雄さんの追悼上映が終わって1週間ほど経ったころだった。上映に際し多大なるご協力をいただいた鎌倉市川喜多映画記念館のM谷さんから電話があり、「入場者数などを表にしてメールで送りましたので見ておいてください」とのこと。「わかりました」と答えたあと、互いの近況の話になり、M谷さんは、
「実は、遺品の整理について相談されていたことがあって、昨年亡くなったある方のご自宅にうかがったんです。長嶋武彦さんといって、以前『現代芸術社』という会社で出版をやられたり、その後はケロヨンで有名な木馬座の代表をされていた方なんですが…」
とおっしゃる。
「え、『現代芸術社』ですか??」
「ええ。鎌倉市議をされている息子さんの案内で拝見したんですが、ずいぶん貴重な資料が残っていましたよ」

私は耳を疑った。何という偶然。まさか鎌倉に現代芸術社の社長だった方が住んでいて、最近までご存命だったとは。私はすぐM谷さんに、私のブログのアドレスを送るとともに、現代芸術社が出していた「現代コミクス」に対する並々ならぬ想いを語り、「是非一度それらを拝見したい」という要望をご遺族に伝えていただいた。ご遺族もその思いを汲んでくださり、晴れて「お宝」とのご対面となった次第である。

まだまだ紹介したい画像もあるし、このお話、もう少し続く予定です(下のリンクから進めます)。

●世紀の大発見!『現代コミクス ウルトラマン』後日譚(2)
posted by taku at 19:23| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月13日

加藤茂雄さん追悼上映、そして『浜の記憶』と特撮の話

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8月10日、加藤茂雄さんの追悼上映会が鎌倉市川喜多映画記念館で始まりました。

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館内には加藤さんがこれまで出演した映画台本の切り抜き帳やスチール写真、『浜の記憶』の台本に絵本『茂さん』など、思い出の品が多数展示されています。

チケット完売となった10日の『浜の記憶』上映後には、宮崎勇希さんと私(大嶋)の舞台挨拶も行われ、加藤さんを偲びました。時節柄、フェイスシールドを着用しての挨拶となったのですが、慣れていないせいか、マイクが何度もシールドに当たってしまい、いささか難儀しました。

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最終日の16日(日)は、14時からの『浜の記憶』上映後に、宮崎勇希さんと渡辺梓さん、そして私(大嶋)による舞台挨拶を予定しています。作品を彩ったヒロイン役と娘役に、ありし日の加藤さんの面影や撮影エピソードなどを語っていただこうと思っています。ご来場をお待ちしております。

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さて、ここからは余談ですが、『浜の記憶』に出演しているキャスト御三方は、いずれも特撮作品に縁があります。

加藤茂雄さんについては、『ゴジラ』第1作に始まり、数々の東宝怪獣映画に顔を出し、またウルトラシリーズにも多数出演されているのは周知の事実。「ウルトラセブン」の第1話で、初めて人類の前に姿を見せたウルトラセブンを指差して、
「あれは何ですか? 何ですかあれは?」
と叫ぶ神奈川県警のお巡りさん役は特に有名です。

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↑キリヤマ隊長の隣り、左から3人目が加藤さん。

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↓ちなみに「ウルトラQ」第3話と「ウルトラマン」第6話にもお巡りさん役で出演しています。

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渡辺梓さんは、言わずと知れた「魔法戦隊マジレンジャー」の小津深雪(マジマザー)役。5兄弟戦士の母親で、常に子どもたちに愛と勇気を与え、物語の序盤や終盤では自らも戦線に赴きました。当時渡辺さんはまだ35〜36歳でしたが、成人を含む5人の母親を、実に自然に、優しさと凛々しさと美しさをもって演じられていたと思います。でもこの当時より、15年経った現在の方が、むしろ若々しく見えたりするから不思議なものです。

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↓最終回では家族8人で変身し、ラスボスを打ち倒しました(右端がマジマザー)。

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そして宮崎勇希さん。彼女はオーディションで選ばれた新人ではありますが、しばらく前に別名義で活動していた時期があり、そのころ、「宇宙刑事シリーズ」のギャバンとシャリバン役の方が特別出演していて、なおかつ著名な漫画家さんが多数ゲスト出演している、『龍帝』という映画で銀幕デビューを果たしているのです。クライマックス間近のシーンで彼女は、ジャッキー・チェンやドニー・イェンとも共演歴のある北岡龍貴氏と戦い、ハイキックの連打でついに勝利するという、見てびっくりのアクションシーンを披露しています。とにかく足の上げ方と動きのキレが凄いです。彼女には是非武闘派俳優としてもがんばって欲しいと思います。

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共演した北岡龍貴さんは、昨年の新宿ケイズシネマでの公開に駆けつけてくれました。

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『浜の記憶』の終盤、渡辺さんと宮崎さんは加藤さんを巡ってかなり激しい口論を繰り広げるのですが、魔法と武闘のガチバトルで見てみたかった気もします(特撮愛好家目線での話です)。

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そんなわけで16日は、「マジマザー」渡辺梓さん、「ハイキック」宮崎勇希さんが舞台挨拶にいらっしゃる予定です。当日のお話はあくまで加藤さんと『浜の記憶』が中心ですが、上記のエピソードを頭の片隅に留めつつトークを聴くのも、また興味深いのではないでしょうか。
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2017年11月23日

『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(3)

何と、発売後3ヵ月近くが過ぎてからのレビューである。イワムラ博士(「ウルトラセブン」第20話「地震源Xを倒せ」に登場するガミガミ親父。演じるは初代メフィストの吉田義夫!)がご存命であったなら、
「遅いっ! 遅すぎるっ!」
と激怒すること必至だろう。実は、だいたいの文章は9月の時点で書いていたのだが、マンガを写真撮影するのがおっくうになり、そのままにしていたのだ。このまま放置状態が続くと思われたが、先日『特撮秘宝 vol.7』のことを書いたのがきっかけで、またにわかに特撮熱が燃え上がり、一気にアップにまで漕ぎ着けた次第である。例によってダラダラと長いので、この手のネタに興味のない方はスルーしてください。


●『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(1)
●『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(2)


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『現代コミクス版ウルトラマン』下巻が、8月末に復刊ドットコムから刊行した。これで井上英沖の筆になる「現代コミクス」掲載のウルトラマンは、すべて陽の目を見たことになる。

下巻には、1967年3月号から7月号までに掲載された「アボラス・バニラ」「怪獣無法地帯」「ケムラー」「ジャミラ」「スカイドン」「サイゴ・キーラ」「シーボーズ」の7作が収録されている。ちなみに最初の2作品は、私が持っていた原本からスキャンされたものだ。では、上巻と同じように、それぞれのエピソードを、テレビ版やほかのコミカライズと比較しつつ、簡単に紹介していこう。
ただし、上巻に比べると全体に画がラフになっており、また、後述するようにほかのコミカライズからの「引用」も散見されるなど、いささか残念な作品が目立つ。したがって、当方の紹介文も、多少辛口になっているのはご容赦いただきたい。

「アボラス・バニラ」は、いきなり扉ページで怪獣の彩色が逆になっている(アボラスが赤でバニラが青)という波乱ぶくみの幕開け。

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内容はテレビ版とはかなり異なり、ウルトラマンが2回も登場し、前半はバニラと、後半はバニラ&アボラスの二大怪獣と直接対決するという胸熱な展開なのだが、すでにAmazonレビューでも指摘されているように、『ぼくら』に掲載された一峰大二版との類似が大いに気になる。

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物語序盤で赤いカプセルからバニラ登場→ウルトラマン登場→ウルトラマン苦戦して敗退→アボラス登場→2匹が国立競技場へ→ウルトラマンとアボラス&バニラとの戦い→八つ裂き光輪でフィニッシュ、という流れがまったく同じなのだ(テレビ版ではバニラとウルトラマンが戦うシークエンスはない。バニラはアボラスにやられ、クライマックスはアボラスとウルトラマンとのシングルマッチである)。

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上が井上版で下が一峰版。ウルトラマンが八つ裂き光輪で2匹を同時に倒す決めポーズもほぼ同じ。

雑誌発表は一峰版が1967年新年(1月)号、井上版が1967年3月号なので一峰版の方が2ヵ月早い。したがって、井上版が一峰版を参考にして描かれたのは明らかである。私は幼少期には『ぼくら』は読んでいなかったので、この類似に気づいたのは成人してからだが、何とも言えず残念な気持ちになったものである。ちなみに、上巻に収載されている「ネロンガ」「ギャンゴ」「ペスター」「新バルタン星人」なども『ぼくら』で一峰版が描かれているが、それらはまったく別物で、一峰版がオリジナル要素が多いのに対し、井上版はテレビ版に忠実な印象であった。それがここに来て、どうしてテレビ版シナリオではなく一峰版を下敷きにしたのか。〆切りに追われ、テレビのシナリオを元にすべて画をこしらえるという時間が取れなかったためだろうか。

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「怪獣無法地帯」は、これまでの井上路線というか、テレビ版シナリオをほぼ忠実に漫画に書き起こした印象で、テレビの記憶をたどるのに適した一作。5大怪獣がすべて登場し、ピグモンがレッドキングに殺される展開もオリジナルどおり。

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だが、エンディングだけは大きく異なる。テレビ版ではピグモンの死には一切触れられていないが、井上版では何と、フジ隊員が「小さな英雄」とその功績を称え、墓に花を手向けているではないか!

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「小さな英雄」といえば言わずと知れたピグモン再登場の37話のサブタイトルである。しかしこのコミカライズ執筆時点では、まだ同話は放送されていないはず。これはどうしたことかと首を傾げたのだが、『ウルトラマン研究読本』(2014・洋泉社)を読むと、元のシナリオにはそうしたシークエンスがあったがカットされ、それが37話で使用されたとのこと。撮影前にオミットされたか、撮影されたものの尺の関係でカットされたかは不明だが、このコミカライズが、テレビの完成版ではなくシナリオを元に描かれていることが、こんなところからもわかる。

ここからは原本がないので、今回刊行されたものの画像を紹介。

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「ケムラー」。これもいろいろと問題あり。先ほどの「アボラス・バニラ」同様、一峰版を下敷きにしているのが露骨で、比べて読むと辛い(じゃあ比べて読むなと突っ込まれそうだが)。テレビ版では最初に大室山に調査に行くのはフジとホシノの2隊員だが、一峰版ではハヤタ、フジ、ホシノの3隊員。その大室山でケムラーが出現、ハヤタは早速ウルトラマンに変身してビートルを助けるが、ケムラーに圧倒され地中に沈み、一方、ケムラーは都市部に現れ工場の煙突の煙を吸うなど暴れ放題。科学特捜隊は、マットバズーカでケムラーの急所ののどを狙うが不発、それを、最終的にウルトラマンがスペシウム光線で爆発させて倒す…というのが一峰版のあらすじだが、その一連の流れが、井上版でもほとんど同じなのである(テレビ版では、ケムラーの急所は背中の突起部分で、マットバズーカはウルトラマンの助けもあって見事そこに命中、ケムラーに致命傷を負わせる)。ご丁寧に、ケムラーの毒ガスを防ぐために隊員が着ける防毒マスクのデザインまで、井上版は一峰版にそっくりなのである(テレビ版は鼻と口の部分だけ覆う簡易的なものだった)。

20171123_10.jpg 井上版

20171123_11.jpg 一峰版

20171123_12.jpg 井上版

20171123_13.jpg 一峰版

こうした「引用」も、〆切に追われていたための苦肉の策だったのか、その辺の事情はもはや永遠の謎だが、このころから、筆者の中でウルトラマンのコミカライズに対してのモチベーションがかなり下がってきていたのは、ペンタッチからも何となく伝わってくる。上巻に収載された「ジラース」「ペスター」あたりが、井上版のピークだったのではないだろうか。

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「ジャミラ」は、幸いにというべきか、一峰大二も楳図かずおも漫画化しておらず、コミカライズはこの井上版のみなので、必然的に「テレビのシナリオをベースにした井上作品」になっており、安心して読むことができる。物語はテレビ版に準拠しているが、序盤でハヤタの乗るビートルがジャミラの「見えないロケット」から攻撃を受けるというスピーディーな展開。

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「アボラス・バニラ」同様、物語の開始早々ハヤタがウルトラマンに変身するが、これは、カラーページでウルトラマンの姿を見せるための配慮であろう。

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漂着した星で彷徨い、怪物へと変貌していくジャミラ。テレビ版にはない秀逸かつホラーチックな描写で、幼少期から深く脳裏に刻まれた。

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また、テレビ版(「故郷は地球」)は特撮ファンならご存じのように、かなりメッセージ性の強い、いかにもな佐々木&実相寺作品なのだが、この井上版では、中盤にはイデの苦悩描写も出てくるものの(上画像参照)、ラストは、テレビ版ほど露骨な体制批判はなく、「…科学は果てしなく進歩するだろう。だがその陰には多くの犠牲者がいることを忘れてはならない」というナレーションでさらりとしめくくっている。これは少年向け漫画としては適切な判断だと思う。

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「スカイドン」は、これまた佐々木&実相寺作品のコミカライズだが、テレビ版とはまた違った形での、科学特捜隊諸氏のリラックスモードな描写が楽しい(テレビ版ではこのころすでに降板していたホシノも出てくる)。しかし、スカイドンが現れてからは、ページ数の関係もあってかなり慌ただしい展開に。いろいろな作戦を実行して、何とかスカイドンを空に返す、というプロセスはなく、いきなりウルトラマンが現れてあっさり八つ裂き光輪で倒す展開。ついでに言うと、この八つ裂き光輪で倒す場面、またしても一峰版を下敷きにしたような印象が…。

20171123_19.jpg 井上版

20171123_20.jpg 一峰版

「サイゴ・キーラ」。これは井上版のみのコミカライズのため、他作家との類似を心配する必要はなく、安心して読み進められる。

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ストーリーの方はテレビ版と大差なく、違うのは、テレビ版では宇宙ステーションV2救助のため出動するのが宇宙船「しらとり」であるのに対し、井上版では「宇宙用ビートル」である点、テレビ版では陣頭指揮を執るムラマツキャップが井上版ではなぜか地球に残り、テレビ版では出演していないホシノが出動する点くらいだろうか。しかし井上版には、テレビ版では省略(カット?)された、事故が起きる前のV2乗組員たちの描写があり、これがあった方が物語の流れはわかりやすい。

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着目すべきは、科学特捜隊がV2救助に向かう際の宇宙服。テレビ版では割とありがちな銀色の地味なもの(東宝映画からの流用か?)だったが、このコミカライズでは、胸元に流星マークを大きくあしらったカラフルなデザインとなっている(さらに言えば、テレビ版ではQ星到着後から宇宙服着用となるが、井上版のように出発時から着用している方が自然なように思われる)。

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テレビ版と同様、サイゴはイデの新兵器であっさり倒され、一方のキーラは、ウルトラマンのスペシウム光線も八つ裂き光輪も寄せ付けないものの、よくわからない技(「フラッシュアイス」と命名)で粉砕される。ラストのV2乗組員のセリフ「ここは宇宙の別荘ですよ」もテレビ版と同じ。

そして井上作品としての最終話「シーボーズ」だが、これも井上版のみのコミカライズで、テレビシナリオをほぼ忠実に漫画化している。

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冒頭の宇宙パトロールシーンに出てくるのは「サイゴ・キーラ」で登場した「宇宙用ビートル」、そして搭乗しているハヤタ、イデ、アラシが着用している宇宙服も「サイゴ・キーラ」のものである。このあたりはコミカライズならではといった感じ(テレビ版では「シーボーズ」の回は「サイゴ・キーラ」の回より早いためこうはいかない)。また、怪獣墓場を浮遊しているのが、すべて井上版に登場した怪獣であるというのも注目すべき点だろう。やはりこれまで自分が書いてきた怪獣たちに愛着があったということか(その割には画のタッチがかなり違っていたりするのだが…)。

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怪獣供養の最中にシーボーズが地球に落ちてきて、それを科学特捜隊とウルトラマンが宇宙に返そうとするくだりもシナリオどおり。ただ、テレビ版では、シーボーズは最終的に、ウルトラマンの形を模したロケットで宇宙に帰還するのだが、このコミカライズではロケットはシーボーズに壊され、ウルトラマンが自身がシーボーズを宇宙に連れていき、それを科学特捜隊もビートルで見届けるという幕切れになっている。

ラスト1ページ前で大コマを使い、ラストページは上段にナレーション、Uターンし地球に戻るビートルを小さめに描いてしめくくる。かなり渋いエンディング。

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以上で井上版ウルトラマンは終わりである。どこまで意図したのかわからないが、最終話に「シーボーズ」を持ってきたのはうまい選択だったと思う。これからも怪獣との戦いはつづく、しかし、そこには一抹の苦さも残る…という余韻のある幕切れである。ちなみに、「サイゴ・キーラ」「シーボーズ」が掲載されたのが7月号、その翌月の8月号をもって現代コミクスは休刊になるのだが、そこに掲載されたのは「ダダABC」「グビラ」で、これらは井上英沖によるものではない。だが、もしこの2作を井上が書いていたとしても、どちらも最終話にはふさわしくなかったように思われる。

それにしても、「ウルトラマン」のコミカライズは、楳図かずお版(『少年マガジン』連載)にせよ、一峰大二版(『ぼくら』に掲載)にせよ、この井上版にせよ、テレビ版の最終回(ゼットンが登場する「さらばウルトラマン」)を描いていないというのが、何とも物足りなく感じる。楳図版はメフィラス星人回で終わっているし、一峰版はなぜかオリジナル怪獣「ウェットン」が最終回だし、そして井上版は前述のように「シーボーズ」で終わり。やはり、テレビで放送が終わったあともウルトラマンの人気が続いていたことを考えると、きっちりラストエピソードを描くというのは控えた方が…、という空気があったのかも知れない(「ウルトラマン」のテレビ放送は1967年4月9日に終了したが、一峰大二版の『ぼくら』連載は1967年9月号、「現代コミクス」版の発売も前述のように1967年8月号まで続いていた)。

さらに言うなら、「ウルトラマン」という壮大な物語のプロローグにあたる第1話(「ウルトラ作戦第1号」)も、楳図版、一峰版、井上版、いずれも存在しない。唯一、「現代コミクス」増刊において岸本修が描いているが、今回の単行本化は井上英沖執筆分のみなので未収録である。岸本修の筆になる「ウルトラマン」は3本存在し、ベムラー、グリーンモンス、怪彗星ツイフォンと力作ぞろい。これらもいつか陽の目を見てもらいたいものだ(せっかくなので岸本版の「ベムラー」を3点紹介しておく)。

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というわけで、実に51年ぶりに復活した井上英沖による『現代コミクス版ウルトラマン』の紹介も、そろそろしめくくりの時がきた。上巻の方は自分が原本をほとんど保存していたので、内容も細かく覚えていたが、今回紹介した下巻収録の作品は、かつてはすべて原本を持っていたものの、その後処分してしまったものが多く、「ケムラー」「ジャミラ」「スカイドン」「サイゴ・キーラ」「シーボーズ」の5作は、今回の復刻で実に数十年ぶりに再読した。そして、どうして後半の「現代コミクス」だけを処分してしまったのかも何となく理解できた。先程も述べたように、前半の作品と比較して、作者のモチベーションが下がっているのがわかり、それゆえ、あまり愛着を感じられなかったのだろう。今読み返しても、その印象は変わらない。しかし、ビデオはおろか、カセットテープすら家庭に普及していなかったあの時代、テレビでのウルトラマンの活躍やそれぞれのエピソードをしのぶものは、このコミカライズをおいてなかったのである。それを考えると、実に貴重な作品群だと思う。

今回発刊したものを、85歳になる実家の母に見せたところ、「これを見ると、あのころのことを鮮やかに思い出す」と目を輝かせていた。そして、「この画がすごくいい」とも。たしかに、一峰大二の無骨なタッチとも、楳図かずおの不気味なタッチとも違う、光プロ系ともいうべき井上英沖の描線は、まだすべてが大らかだった1960年代中盤のヒーローを描くのに、もっともふさわしかったのではないか。これが「セブン」以降になると、SF色やシリアスムードが強まり、桑田次郎のシャープな描線がマッチするようになるのだが、私などは今でも、あまり深刻にならず、シンプルで明るいウルトラマンの世界観の方が好きだ。そんな初代ウルトラマンワールドを見事に漫画へと昇華した井上英沖の仕事を、是非一度確認してほしい。
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2017年11月20日

『特撮秘宝 vol.7』

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週末、『特撮秘宝 vol.7』(洋泉社)が編集部から届く。噂には聞いていたがとんでもなく「濃ゆい」本である(なぜ編集部から届いたかは後述)。

まずテキストの量(すなわち情報量)がすごい。新聞でも雑誌でも高齢者に配慮してどんどん文字が大きくなるこのご時勢に、まるでルビのような小ささの活字が二段三段(時には四段組み)で「これでもか」と並んでいる。最近老眼が進み、眼鏡を作るかどうかで日々悩んでいる私にとっては、読み進めるのにかなりの困難がともなうが、興味深い記事が目白押しで、これを読破するために、いよいよ老眼鏡を作るか、と本気で考えたりする(実は一ヶ月前に眼科を受診し、眼鏡の処方箋はもらっているのだが、面倒くさくてそのまま放置しているのだ)。

そして、テキストに負けず劣らずの画像の量。アゴンの未公開写真をはじめ、見たことのないレアな写真がこれまた「これでもか」と誌面に踊っている。とにかく特撮愛に溢れまくった一冊で、その同人誌的というべき無尽蔵のエネルギーは、かつて愛読していた1980年代の『宇宙船』(朝日ソノラマ)を思い起こさせる。これだけの濃度の本をたった4人の編集スタッフで作っているというのもすごい。

圧倒されてばかりいても始まらないので少しだけ内容を紹介すると、今号のメインは、元祖ゴジラ俳優・中島春雄の追悼特集。これが全体の約半分を占めており、日本が世界に誇る特撮スーツアクターの数々の作品における勇姿、本人のインタビューや対談、知られざる生涯、評論、関係者の追悼コメントなど、これ以上のコンテンツは考えられない、というくらいの充実した内容。中でも友井健人氏の「鎮魂 中島春雄と戦友ゴジラ」は1929年生まれの中島の一生を、昭和史―戦争との関わりの中で捉えた評伝さながらの論考で、大著『怪獣人生 〜元祖ゴジラ俳優・中島春雄』の構成を務めた友井氏ならではの、顕彰と検証が並び立つ名文だと思う。

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ちなみに、先日『鎌倉アカデミア 青の時代』の上映会でご一緒した加藤茂雄さん(俳優・演劇科1期)が、東宝の大部屋時代の仲間ということでコメントを寄せているほか、中島がメインゲストで出演したドラマ『太陽のあいつ』で監督を務めた岩内克己監督(演劇科1期)のインタビューも掲載されており、鎌倉アカデミア出身の方々の名前が随所に見えるのも嬉しい(さらに言えば『太陽のあいつ』の音楽はいずみたくで、この人も演劇科の1期)。

そしてもうひとつの目玉というべきが、『帰ってきたウルトラマン』のいわゆる「11月の傑作群」についての再検証。ここらへんの話題になるとわからない人にはさっぱりわからないと思うのだが、ひとことで説明すれば、『帰りマン』11月放送分には秀作傑作が多い、ということ(それにしてもこの本では絶対に「ウルトラマンジャック」などという呼称が出てこないのが心地いいね)。3本のシナリオが収載されているほか、「悪魔と天使の間に‥‥」でゼラン星人の化けた少年を演じた永吉健太郎氏と、「落日の決闘」でメインゲストの少年役だった松原和仁氏の大変レアなインタビューも掲載されている。本当によく見つけてくるものだと感心することしきりである。

さてさて、そんな「11月の傑作群」の1作「許されざるいのち」と、12月放送ではありつつ傑作群の中に加えられることが多い「残酷!光怪獣プリズ魔」の特撮撮影現場を見学した当時の小学生が、47年前を振り返ったインタビューがこちら。

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197X年の怪獣少年 大嶋拓

まあ、そういうわけで、最初に「『特撮秘宝vol.7』が編集部から〜」と書いたのは、この号にインタビューを載せていただいたからなのである。

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諸事情により掲載されなかった貴重な対面ショット(菊池【現・きくち】英一氏と)

インタビューはトータル5ページ。全288ページの本で5ページも使っていただき、申し訳ないような、しかし光栄でもあるような。内容については、だいぶ前に自分のホームページにも載せたことがあるのだが、一人で思い返して文章に書くのと、実際にインタビュアー(前述の友井健人氏)と作品の映像を鑑賞しながら話すのとでは想起の仕方がだいぶ違うことに気づいた。詳しくは、是非インタビューを読んでいただきたいのだが、ひとつ特筆すべきは「許されざるいのち」に登場する合性怪獣レオゴンについてである。このレオゴンは、着ぐるみのほかに爆破用の人形(発砲スチロール製)が用意されていたにも関わらず、本編では使用されていない。それがいかなる理由によるのか、長い間「解けぬ謎」だったのだが、今回、名インタビュアー友井氏のおかげで、ひとつの推論が導き出されたのである。しかも奥ゆかしい友井氏は、最初の書き起こし原稿では、あたかも私がすべて自分で気づいたように書いてくれたので、そこだけは、「友井氏の示唆があればこそだった」とわかるように修正してもらった。思うに、前述の『怪獣人生』があれだけ充実した内容になったのも、友井氏の丹念な聞き取りと豊富な想像力に基づく示唆によるところが大きかったのではないだろうか。私も『鎌倉アカデミア 青の時代』の製作において、かなりの数のインタビューをこなしたつもりだったが、取材相手の「記憶の深層」に切り込むには、もっともっと丁寧な聞き取りと的確な示唆とが必要だったのではないかと反省することしきりである。

というようなことにまで思いを致した『特撮秘宝vol.7』。ほかにもタケダアワーで放送が計画されていたクレイジー・キャッツ主演番組のパイロットフィルムとか、『タイムボカン』や『少年探偵団(BD7)』などでもなじみ深いスキャニメイトの解説とか、とにかく、夜を徹しても読みきれないくらい充実した1冊です。ご興味の沸いた方は、是非お手に取ってみてください。
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2017年07月18日

『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(2)

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7/15、立派に完成した『現代コミクス版 ウルトラマン』が届いた。実に美しく仕上がっており、私の手元にあった原本の状態を考えると、よくここまで修復してくださったと感慨もひとしおである。

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落書きも最新技術によってきれいに修復

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巻末が欠落していた「バルタン星人」もきっちり最後まで

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そして奥付には、数々のレジェンドな方々の下に「資料協力」として名前が…

この記念すべき復刻版の刊行にあたり、私は上巻では9エピソードほぼすべて、下巻では7エピソード中2エピソード分の原本を提供したことになった。半世紀以上のキャリアを持つウルトラファンとしては少しばかり誇らしい気もするが、その反面、自宅の押入れで人知れず50年も眠っていた漫画本が、いきなりスポットライトを浴びせられたようで、いささかの戸惑いを覚えてもいる。ドドンゴとミイラ人間のエピソードではないが、「発掘なんかしないで、このまま一万年でも三万年でも眠らせてあげればよかったのに…」というフジ隊員の声が聞こえてくるようだ。ファンとかマニアの心理というのは、実に複雑で厄介なものである。

ではいよいよ、この井上英沖版ウルトラマンの「見どころ」を、テレビ版との対比を中心に紹介していこう。まだ刊行前なので、画像は原本のものを使い、あくまで参考程度に…(「ウルトラマン」各エピソードをひととおりご存知の方を対象に書いていますので細かいあらすじは省略しています。ご了承ください)。

まずはネロンガとバルタン星人。ウルトラマン誕生編となるベムラーではなく、この2体がコミカライズの最初になったのは、撮影の順番で台本や怪獣デザインなどの資料が回されてきたためだろう(ともに最初期の撮影で飯島敏宏監督作品)。

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ネロンガのストーリーはほぼテレビ版どおりだが、古井戸から続く洞窟の中で、フジ隊員とホシノ少年が、かつてネロンガを退治した村井強衛門の骸骨と書置きを発見したり(上画像参照)、その後二人がずぶ濡れで海から上がってきたり、といった具体的な場面があるため、テレビ版よりも状況がわかりやすい。

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また、第1話ということもあり、ウルトラマンがピンチになった時のナレーションがほぼフルバージョンで掲載されている(原本ではカラータイマーが「ガラータイマー」と誤記されているが、復刻版ではちゃんと訂正されていた)。

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バルタン星人の方はページ数の関係か、テレビ版をかなりコンパクトにした感じだが、随所に楳図かずお版(「少年マガジン」連載)の影響が見られる(水かきがついたバルタンの足の形状や、バルタンに憑依されるのがアラシではなくイデである点、など)。また、中盤では「二十億三千万人」とされていたバルタン星人の全人口が、終盤には「二十万人」と一気に減らされているのはご愛嬌か。

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ジラースは、テレビ版では戦闘シーンが変にコミカルで、ウルトラマンがジラースの襟巻きをもぎ取って、元のぬいぐるみがゴジラであることをわざわざばらすなど、本編の世界観に水を差すおふざけ演出が気になったが、井上版のコミックは全編シリアスムード。少年グラフの記者がライター型カメラで盗撮していたのを中村博士に気づかれてフィルムを抜かれるくだりも、テレビ版はロングショットのため何度見てもよくわからないが、この井上版ではばっちり理解できるし、後半、釣り人の撒いたカーバイト(毒)のためにジラースが正気を失い、主人であるはずの中村博士を殴打、そのために変装がはがれ二階堂教授の素顔が現れるという流れもテレビ版よりずっとスムーズだ。戦いの後の静謐なラストも哀れを誘う。

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藤尾毅のイラストも迫力満点!

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ギャンゴは、ほぼテレビ版と同じ流れだが、ギャンゴを操る男・鬼田が、テレビ版ではいかにも不審人物的だったのに対し(演じるは鎌倉アカデミア映画科出身の山本廉!)、このコミカライズではなかなかおしゃれな紳士になっているのが新鮮。ギャンゴが「ギャンゴ〜」と鳴くのもおかしい。

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また、ラストのシークエンスでハヤタのあとを追いかけるのは、テレビ版ではフジ隊員だが、こちらはホシノ少年になっている。この方が流れとしては自然だろう(最初の台本ではホシノ少年だったのが、俳優のスケジュールの都合でフジ隊員に変更になったらしい)。

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ドドンゴは、よみがえって暴れるミイラ人間の迫力ある描写に注目。テレビ版では怪奇性を重視した猿人系のビジュアルだったが、こちらはクラシカルな「ミイラ男」のいでたちで、怪力の巨人という位置づけ。こういうアレンジには作家の嗜好を感じて興味深い(一方、楳図かずお版ではテレビ版以上に怪奇性が強調されていた)。さらに、最初はミイラを生け捕りにすることを科特隊に要請していた岩本博士が、惨状を見兼ねて、最後にはみずからスパイダーショットでとどめを刺す描写も秀逸(テレビ版ではスパイダーを撃つのはアラシ)。撃ち殺した後の博士の悲痛な表情も印象に残る。

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ガボラは、暴風雨の中でその凶暴な姿を現わすシーンにはかなりのインパクトがあるものの、テレビと違い、最初から頭部のひれが開いているのが残念。閉じていたひれが開いて、まったく風貌が変わるというあの衝撃的な場面を漫画でも再現して欲しかった。

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ぺスターは、テレビ版ではムラマツのセリフに差し替えられオフになってしまった岩本博士の元セリフがきちんと書かれている点に注目。これがあった方が後のドラム缶投下の流れがしっくり来る。

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燃えさかる製油所の中でのペスターとウルトラマンとの激闘。ほぼ消火活動しかしなかったテレビのウルトラマンより、ずっと見ごたえのあるクライマックスとなっている。ラストのイデとキャップとのやりとりはほぼテレビと同じだが、井上版ではその後に、製油所の責任者から被害が少なかったという報告もなされ、読んでいるこちらもほっとする(テレビ版はどう見ても製油所全壊)。

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新バルタン星人については、以前に大変長い記事を書いたのでこちらを参照して欲しい。やはり井上版は、毛利博士がバルタンのために犠牲になったという事実をきちんと提示している点が高ポイント。重要なキャラを忘れたままで終わりのテレビ版はいささか消化不良な印象を受ける。

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ヒドラに関しても同様で、テレビ版では、ムトウアキラ少年を轢き逃げしたトラックの運転手がヒドラに襲われたり罰を受けたりする描写がなく(「自首して逮捕されましたよ」というハヤタのセリフがあるだけ)、また、楳図かずお版でもヒドラが襲うのは、ムトウ少年ではなく作品冒頭で和子という女の子を轢いたトラックの運転手で、ムトウ少年を死に追いやった直接の犯人をヒドラが襲って復讐を果たそうとする描写があるのは、この井上版だけである。そしてそのトラックを巡って、ヒドラと科特隊、さらにウルトラマンの繰り広げる追跡劇がドラマのクライマックスとなっている(これは一部、楳図版でも類似の描写があるが)。ウルトラマンはヒューマニストなので、相手が人殺しの運転手でも見殺しにはせず助けるのだが、そんなウルトラマンの足元に駆け寄ってくる運転手に対し、ウルトラマンは目を合わるのを拒むかのように、ヒドラの方に視線を移す。その悪人への厳しい態度が、幼少時の私などには大変印象的であった。そしてヒドラは、ウルトラマンの手にかかるまでもなく、ふたたび元の石像に戻っていく。ドラマとしての完成度は、テレビよりもこの井上版の方が高いように思われるのだが…。

テレビの「ウルトラマン」は、もろもろの特撮(飛行、爆破、戦闘など)に尺を使いすぎ、いささか収まりの悪い話が散見されるが、そういったドラマ的な「ほころび」を、この井上版コミカライズがうまく補っているケースが複数あることは注目に価するだろう。さらに言うなら、あまり再放送などなかったあの当時、子供たちはこの『現代コミクス』を再読三読していたので、井上版コミカライズこそが、ある時期までは、子供たちの脳内に刷り込まれた「ウルトラマンのオリジナルストーリー」そのものであった。かくいう私もそうであり、だから、ある程度大人になって再放送を見るようになった時、ペスターとウルトラマンの対決シーンがないことや、毛利博士が生死不明のまま忘れ去られていたこと、ムトウ少年の轢き逃げ犯が劇中でヒドラに襲われていないことなどに納得のいかないものを感じたのである。同様の印象を持たれた方は私以外にもきっといるはずで、井上版ウルトラマンのストーリーテリングの妙を、今回の復刻版で再確認していただければと思う。

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復刻版には収載されなかった「テレビウルトラマンニュース」(クリックで拡大)

※『現代コミクス版ウルトラマン』上巻は7月22日発売です!
posted by taku at 13:21| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月17日

『現代コミクス版 ウルトラマン』刊行!(1)

今日は「ウルトラマン」放送開始51年。それにちなんで、久々のウルトラネタを。去年の50年の時には、いささか辛口の文章を書いてしまったので、今回はめでたい話題をご紹介したい。単行本化は不可能と思われていた『現代コミクス版 ウルトラマン』(漫画・井上英沖)の復刊ドットコムからの刊行である。

現代コミクス版 ウルトラマン 上 -
現代コミクス版 ウルトラマン 上

「ウルトラマン」放映の昭和41年から昭和42年当時、現代芸術社から子供向け月刊誌として刊行されていた雑誌『ウルトラマン』。毎号2本のコミカライズ作品を収録していたこの雑誌は、今では希少性も高く、マニア垂涎のシリーズとして知られています。今回は収録作のほとんどを手がける井上英沖による作品を上下2巻に分けて一気に収録!
上巻では、創刊号(昭和41年11月号)から昭和42年3月号までに掲載された「ネロンガ・バルタン星人・ジラース・ギャンゴ・ドドンゴ・ガボラ・ぺスター・新バルタン星人・ヒドラ」の回を収録。各号の巻頭作のカラー頁をかつての色調で再現し、当時の雰囲気を極力生かして再構成した復刻版です。

「ウルトラマン」放送当時のコミカライズといえば、『少年マガジン』(講談社)連載の楳図かずお版と『ぼくら』(同上)連載の一峰大二版、そして『現代コミクス』(現代芸術社)連載の井上英沖版の3つがあるが、最初の2つが何度も単行本化されているのに対し、この井上版は、出版社がつぶれて原稿は行方不明、おまけに掲載誌もあまり古本市場に出回らないという悪条件が重なり、これまでただの一度も単行本化されていない。それだけに、往年の特撮ファンにとって、かなり食指が動くアイテムであることは間違いないだろう。実はこの本の約3分の2は、私の持っていた『現代コミクス』が原本となっている。

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放送当時は、この『現代コミクス』を毎月購読している子供も相当数いたはずだが、その多くは成長過程で手離してしまったのだろう、50年が経った今では所有している人もほとんどなく、思った以上にレアな存在になっているようだ。しかし、断捨離などという今日的な行為とは無縁の私は、この『現代コミクス』を7冊ほど自宅の押入れに保管していたため、ちょっと自慢したい気持ちもあって、以前このブログで2回にわたって取り上げたのであった(こちらこちら)。

そうしたら昨年3月、突如としてこんなメッセージが送られてきた。

はじめまして。私は(株)復刊ドットコムの編集部に所属しております政田美加と申します。
(中略)弊社で、1966〜67年に「現代コミクス」や「TBSコミックス」で連載されていた井上英沖氏の『ウルトラマン』を単行本化できないかと、いま連載当時の雑誌を探しております。(中略)
大嶋様のブログで、いくつかお持ちであるとのことを発見し、何とか一時的に拝借できないかと連絡いたしました。ご興味いただけましたら、ぜひ、直接お目にかかって弊社についてのご説明などさせていただけたらと存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。

大伴昌司編の『怪獣ウルトラ図鑑』をはじめ、かなりマニアックな特撮系書籍を次々復刻している、あの復刊ドットコムさんから直々のご依頼である。かねてから、その業務内容や刊行物には並々ならぬ興味を抱いていたので、早速、担当の政田美加さんと連絡を取り、何冊かの『現代コミクス』を手に、大門にある会社をお訪ねした。

担当の政田さんは、もともとは某大手出版社の写真雑誌の編集部にいらした方で私とほぼ同世代。しばらく前に復刊ドットコムに移り、童話や少女マンガなどの復刻に携わったが、特撮関連の書籍は今回が初めてだという。
「ですから、いろいろ教えていただければと思いまして」
と丁重に頭を下げられ、こちらも思い切り恐縮してしまった。特撮ファンというのは、同性の前ではそれを吹聴することにさほど抵抗はないが、異性には、どこかでそれを隠しておきたいという心理が働くようで、だから、政田さんのような同年代の女性を前にして、ネロンガがどうだとかジラースがどうしたとか、あれこれ話すことに、最初のうちは気恥ずかしさを感じていたのだが、話を進めてみると、政田さん本人も女の子ながら「ウルトラマン」には本放送時にかなりハマっていたということで(特にジャミラの回は鮮烈に印象に残っているとのこと)、そうした気恥ずかしさもいつの間にか消え失せていた。

政田さんによれば、『現代コミクス』の復刊リクエストはそれなりの数寄せられているものの、原本は国会図書館にも収蔵されておらず、滅多に市場にも出ず、出たとしても相当の高額で、目下手をこまねいている状態なのだという。私は、まずは特撮マニアの一人として、今回の企画は興味津々であることを述べたが、同時に、コレクターとしては少なからず不安があることも正直に話した。というのは、私が所有している現代コミクスには、経年劣化がかなり進んでいるものもあり、ただでさえ傷みが激しいこの雑誌を、これ以上悲惨な状態にしたくなかったのである。

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「もしこれを原本として使うとしたら、スキャンするために一度バラバラにしなくちゃいけないんでしょ?」
最近目にすることの多い「自炊」と呼ばれる書籍解体作業のイメージを頭に浮かべながら、おそるおそる聞いてみた。すると政田さんいわく、
「いえ、大変貴重な御本なのは承知していますので、製本したままの状態で、できる限り開いてスキャンする形になります。それでもやはり、開き癖のようなものは残ってしまうと思うんですが、それをご了承いただけるようであれば…」
とのこと。バラさなくていいというのを聞いて少しほっとした。
「そうですか。でも、これは結構デリケートな問題ですので、返答には少しお時間をいただけるとありがたいです」
と、その話題は一旦棚上げにして、もうひとつの懸案事項に触れることにした。
「ブログではそれなりのコレクターのように書いてしまいましたが、実際、私は『現代コミクス』をすべて所有しているわけではありません。巻末が欠落しているものもありますし、だから仮に私が承諾したとしても、私の持っているものだけでは復刻は難しいと思います」
そう正直に現状を伝えたところ、
「もちろん、大嶋さんがお持ちでないものは、ほかのコレクターの方にも声をかけてみるつもりですし、ネットオークションや漫画図書館なども活用して、原本のコンプリートを目指すつもりです」
とのお答え。やはり餅は餅屋、これまでもさまざまな方法を駆使して原本を収集し、多くの復刻本を世に出してきたのだろう。

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「バルタン星人の巻」より。ウルトラマン登場以降のページが欠落している

しかし、まだもうひとつ、気がかりなことがあった。それは、マジックなどで思い切り落書きなどが書き込まれたページが少なからずあることで(当時3〜4歳の子供のやることだから仕方ない)、それがそのまま原本として使えるか、という心配だ。

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上下とも「ネロンガの巻」より。「ナゾーサマ」などと番組を超えた書き込みも…
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しかし、それに対しても政田さんは、
「最近はスキャンやレストア(修復)の技術が進んでいるので、相当コンディションの悪いものであっても、原本として使用することが可能なんです」
と、最近ご自身が担当された復刻書籍のページをめくりながら、丁寧に説明してくれた。それは大変きれいに印刷された少女マンガだったが、実際の原本(週刊誌)は紙が薄いため、裏写り(経年変化でインクが紙の裏側にまで染みてくること)がひどく、セリフなども読み取れない状態だったらしい。それを、専門スタッフが1コマ1コマ修復して、まるで生原稿から起こしたかのような鮮明な画像に仕上げたのだという。

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上は「ジラースの巻」、下は「ヒドラの巻」。下右ページのイラストは梶田達二
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政田さんは私が持参した『現代コミクス』を丁寧に見て、
「月刊誌ということもあって、通常の週刊誌なんかより厚めの紙を使っていますよね。そのおかげで裏写りもほとんどありませんし、これなら、それほど修復に手間をかけなくても、元の風合いを活かした、かなりいい感じの復刻本ができるのではないかと思います」
とおっしゃる。私も、50年も幻のままだったコミックの復刻本の出来上がりをイメージして、何だかわくわくしてきた。そしてそんな話を聞かせてくれる政田さんの声のなんと甘く心地よいことか。編集者が説明しているというより、物語の中の登場人物がセリフを喋っているようなのだ。そしてその甘い声にはどこかで聞き覚えがあるなあ、と思っていたら、なんとなんと、政田さんは、あの増山江威子さんのお嬢さんだったのである! 増山さんといえば、「ルパン三世」の峰不二子バカボンのママキューティーハニーか、とにかく小中学生時代のわれわれをこぞって胸キュン(死語)させたお色気ボイスの持ち主。政田さんの声は、その増山さんの声とウリ2つなのだ。何しろ、あの山田康雄氏が家に電話をかけてきて政田さんが出ると、疑いもなく増山さんだと思っていきなり用件を話し出す、などということが一度ならずあったほどだという。親子というのは顔だけではなく、声も似るものだというのを初めて知ったが、とにかく、そんな不二子ちゃんボイスの政田さんがこの復刻本の担当者ということもあって、私は数日におよぶ沈思黙考の末、手持ちの原本を、謹んで復刊ドットコムにお預けすることに決めた。「そうすれば出版完了までの間、折に触れて不二子ちゃんボイスの政田さんの声を聞くことができる」という下心があったことは否定できない。実際、それからは大した用事がなくても、
「その後、進捗状況はどうですか」
などと、月に一度くらいは編集部に電話を入れ、時にはバカボンのママを、時には如月ハニーをイメージしつつ、政田さんと話をするのが密かな楽しみになっていた(半分以上は冗談です、すみません)。

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『現代コミクス ウルトラマン』は全部で12冊刊行されているが、そのうち3冊は岸本修や加来あきらの筆になるもので、井上英沖は執筆していない。今回は井上英沖作品のみの復刻ということなので(個人的には現代コミクスすべてを復刻して欲しいという思いもあるが)、井上が執筆した9冊の「現代コミクス」を入手すればコンプリートとなる(上表の黄色のもの)。一方、私が持っている『現代コミクス ウルトラマン』は赤丸で示した7冊だが、そのうち井上執筆本は、1966年11、12月号、1967年2〜4月号の5冊だけで、あと4冊足りない(本当は1月号や5〜7月号も持っていたのだが、中学生くらいの時に処分してしまったのだ!残念!)。

その4冊を探すこと数ヵ月。やがて5月号は、私同様、ご自身のブログに現代コミクスの記事を書いていた「しら」さんからの借用が決まり、そして6、7月号の2冊は、まんだらけで販売されていたものを政田さんが見つけて購入したということだったが、最後の1冊、ドドンゴとガボラが登場する1月号が、どうしても見つからない。原本が9冊すべて揃わなければ、会社から正式なGOサインは出ないのだという(ドラゴンボール的な世界観ですな)。そんな時、たまたまその1月号がヤフオクに出品されていて今日の夜まで、という知らせが政田さんから入り、私も急遽入札に参加、それなりに激しい競り合いの末、想定額より安い金額でめでたくゲットすることができた(金額が低めだったのは巻末の数ページが欠落していたため)。数日後、無事に現物が届いた時には、ついに全冊が揃った充足感で、年甲斐もなく小躍りして喜んだものである。

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ついに手に入れた1月号。これも昔は持っていたもの。数十年ぶりの再会!

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めでたく9冊がコンプリート。1月号を復刊ドットコムに届けた際に撮影

以上が昨年9月のことであり、その後、政田さんは円谷プロや「ウルトラマン」各エピソードの脚本家の方、もしくはその著作権継承者に許諾を取る作業に取りかかる。だが、それが思いのほか難航したようで、ウルトラマン放送開始50年にあたる昨年中の刊行は間に合わなかったが、満51年を数えるこの7月に、めでたく日の目を見ることとなった。周年事業に1年程度の遅れはつきものである。私もこの間「鎌倉アカデミア創立70周年記念」と銘打った映画を公開したが、実は創立70年は去年のことであった。また、かの渡辺宙明先生の卆寿記念コンサートも年をまたいで行われたし、このくらいは許容範囲であろう。政田さん、長丁場本当にお疲れ様でした。

そしてついに一昨日(7/15)、完成した『現代コミクス版 ウルトラマン』が手元に届いたのだが、果たしてその出来栄えは…?

つづく

※『現代コミクス版 ウルトラマン』上巻は7月22日発売です!
posted by taku at 18:31| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする