2009年07月25日

高久進氏追悼

脚本家の高久進氏が亡くなった。
訃報記事もあるように、「キイハンター」「Gメン75」といった丹波哲郎主演のハードボイルドドラマのシナリオで知られているが、その一方、実写特撮作品も数多く手がけている。私のよく見た作品を挙げるだけでも、幼少期の「悪魔くん」「マグマ大使」「キャプテンウルトラ」、小学校時代の「スペクトルマン」「変身忍者嵐」「電人ザボーガー」、中学高校時代の「スパイダーマン」「電子戦隊デンジマン」、大学時代の「星雲仮面マシンマン」「超人機メタルダー」と次々タイトルが浮かんでくる(おいおい、大学時代までそういう番組を見てたのかよ、という突っ込みはご容赦を)。

この時代の特撮作品の脚本家といえば、伊上勝、上原正三、藤川桂介といった名前がすぐあがるが、これらの人たちは、作品の大半があきらかに子ども向けの30分ドラマであったのに対し、高久進は上にも書いたように、「Gメン75」のメインライターであり、ほかにも2時間もののサスペンスなどもかなり書いている。言うなれば、大人向けと子ども向けの「両刀使い」だったわけである。中学くらいからその名前を意識するようになった私は、特撮作品のオープニングを見ていて高久進の名前を確認すると、「あ。今回はこの人が脚本だ。いくらかアダルトな雰囲気かも知れない」と少しだけ心を躍らせたものだ。実際は必ずしもそうとは言えない作品もあったが、「Gメン75」によく出てきた「インターポール」や「香港空手」といったアイテムは多分お気に入りだったのか、特撮作品にもしばしば登場させていた。
そしてそれ以上に、昭和ひとケタ世代であるからか、戦争の悲劇を扱った作品が多く、それが基本設定にまで反映された特撮作品が「超人機メタルダー」だった。
第二次世界大戦末期、敗色濃い日本を救うためにロボット工学の権威・古賀博士(演じるは上原謙!)が密かに最強の兵器を開発していた。それこそが「超人機」で、その人間としての姿は博士の戦死した息子・竜夫に瓜二つであった。しかし、想像を絶するパワーを秘めたこの超人機は、実戦に使用されることなく終戦の日を迎える。博士は自らの手で超人機を封印し、戦後はアメリカに渡った。それから40数年。博士は、かつての助手で、超人機開発にも関わった村木國夫元陸軍少尉が、ゴッドネロスと名を変え、ブラックマネーを動かして世界制覇を画策していることを知る。村木は連合軍の捕虜を生体実験した罪で、BC級戦犯としてシンガポールで絞首刑にされたことになっていたが、関係者を買収し密かに出獄していたのだ。博士はネロス(=村木元少尉)の野望を砕くべく、竜夫の墓参りを口実に日本に帰国。長い眠りについていた超人機を呼び起こすが、その直後、ネロスの部下の手にかかって命を落としてしまう。かくして「超人機メタルダー」とネロス帝国との死闘が始まる…。

というのがあらすじで(どっかからコピペしてきたんじゃなく、ちゃんと自分の言葉で書きました)、これだけ読むと、ほとんど子ども番組とは思えないハードさである。シリーズ後半、捕えられたジャーナリストが「古賀博士も生体実験に関わったのか?」とネロスに問いただす場面などもあり(このあたりは明らかに731部隊を意識している)、当時大学4年だった私の鑑賞にも充分堪える内容であった。
最終回でメタルダーは、竜夫の遺品であった軍刀をネロスの胸に突き刺してついにこれを倒すが、超重力エネルギー装置を破壊されたため人間の姿には戻れなくなり、仲間たちに別れを告げていずこかへ去っていく。兵器として開発されたメタルダーと、BC級戦犯の元少尉が変貌を遂げたネロス。正義と悪に分かれて戦いながら、実はどちらも「戦争」という特殊な状況が産み落としたゆがんだ存在ではなかったかと思わせ、一抹の苦さが残る。この最終回は高久氏の筆によるものではないが、作品全体を覆う「重さ」は、まぎれもなく高久ワールドといっていいだろう。第1話におけるネロス帝国(ゴーストバンク)のダイナミックな描写や、ネロスのもうひとつの姿である桐原剛造の非情な言動など見どころも多く、従来の特撮番組とは一線を画した力作であったと今でも思う(メタルダーの乗り物がマツダのファミリアをベースにしたものであったり、突っ込みどころも多いが)。

これだけ書くと、高久氏の作品は重く暗いというイメージがつきまとうが(実際、「Gメン75」なんかはほんとに暗い話が多かった)、その一方、「星雲仮面マシンマン」「兄弟拳バイクロッサー」などでは、かなりコメディタッチな話も書いている。やはり守備範囲の広い、いい意味でのプロであったのだ。

実は私は、最近ある動画サイトで、やはり高久氏がメインライターを務めた「バトルフィーバーJ」を見始めたばかりなのである(おいおい、今でもこの手の番組を見てるのかよ、という突っ込みはくれぐれもご容赦を)。「バトルフィーバーJ」は放送当時はまったく見ていなかったのだが、これがけっこう面白い。個々のストーリーもさることながら、戦士5人のキャラクターが実に軽快に、生き生きと描かれ、上司に当たる倉間鉄山将軍(演じるは東千代之介!)の重厚さとの対比が絶妙なのである。そしてまた、敵方のサタンエゴスにしても、武力を用いた世界征服組織というよりは、洗脳や金の力などで人心を操ろうとするカルト教団で、その描き方はきわめて現代的だ。
「高久進、こういう作品も書いていたのか。やるじゃないか」などと思っていた矢先の訃報であった。

この追悼文の最後に、とりわけ印象深い高久氏の名ゼリフを紹介しておこう。これも「超人機メタルダー」のワンシーンだ。目覚めたばかりで何もわからないメタルダーに、やはり古賀博士が作ったロボット犬スプリンガーが、博士の死に関連付けて言う。
「人間には『生』と『死』がある。生まれて、いろいろなことがあって、そして死んで行くんだ。哀しいなあ」
こんな無常感あふれるひとことを、さらっと犬に言わせるあたりが心憎い。放送当時、このシーンは何度もビデオで見返したのを覚えている。そして、そんな名ゼリフを書いた当の高久氏も、「いろいろなこと」があったであろう人生に別れを告げて旅立った。享年76歳。ご冥福をお祈りします。
(文中一部敬称略)
posted by taku at 13:12| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月25日

禁じられた検定

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ネットで見つけたウルトラ検定
まあ、昨今はいろんな検定があるからなあ。
往年のウルトラファンとしてはやはり無意識に食指が動く。

しかし、検定料を見てびっくり。3級が4,800円、2級が5,800円、しかも検定公式テキストが3,000円。全部足すと、1万円を軽く越える。
こりゃあ、いくらなんでもぼったくりでしょう。この検定に受かると、何か社会的なスキルアップが図れるんなら考えますけど。

しかも、ネットの情報によると、その公式テキストにあきらかな誤記が複数あるとのこと。ウラン怪獣ガボラが登場する第9話で、ホシノ少年がビートルに乗ったと書いてあるそうだが、正しくはヘリコプター。公式テキストに間違いがあるなんて、いくら怪獣図鑑には昔からガセ情報が多いとはいえ、噴飯ものである。執筆者は誰だ。

それにしても最近は、仮面ライダーのコンプリート変身ベルト(31,500円!)や、ショッカー幹部パーティーのワインセット(15,750円!)など、特撮にからんだこの手の高額商品をよく目にする。われわれウルトラ&ライダー世代もいつの間にか人生の折り返し地点を過ぎ、そこそこ小金を持つ中高年になった。したがって、それくらいの金額なら、少年時代へのパスポートのつもりで財布のヒモを緩めるに違いないと、バン○イや○谷プロはほくそえんでいるのであろう。しかし、もうその手は食うものか。幼稚園時代のブロマイドや怪獣図鑑から始まって、最近のガチャポンフィギュアやDVDに至るまで、「ウルトラ」や「ライダー」のために、これまで一体いくら散財したと思っているのだ! これ以上、彼らの果てしなき俗悪商法に絡め取れるのはゴメンだ! 少年期のひたむきな思い出をダシにする悪しき拝金主義を撃て! と、今回私は悲愴とも言える決意を固めたのであった。

あー、でも、どんな問題が出るのかなあ、ウルトラ検定。公式テキストなしでも、多分3級なら取れると思うんだけどなあ。そうなると、4,800円だけですむし…。ああーっ!ダメだ ダメだ ダメだ!!

結論。幼少期に深く心に染み付いたものは容易に振り捨てることができない。三つ子の魂百までとはよく言ったものである。なお、今回のブログ(タイトル含む)に、「ウルトラマン」のサブタイトルをもじったフレーズが5つあります。わかったかな〜?

[答え]
禁じられた検定→禁じられた言葉
執筆者は誰だ→来たのは誰だ
少年時代へのパスポート→無限へのパスポート
果てしなき俗悪商法→果てしなき逆襲
拝金主義を撃て→侵略者を撃て

posted by taku at 00:00| 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする