世界的な災厄に見舞われた最悪の年、2020年が終わろうとしている。
本当にロクなことがなかった。振り返って見ても、思い出されるのはネガティブな出来事ばかりで、楽しいエピソードはほとんどない。必然的に愚痴も多くなると思うが、個人ブログということでご容赦いただきたい。とりあえず備忘録的な意味合いで、今年の「がっくり10大ニュース」を書き止めておくことにする(社会性のあるものもないものも一緒くたです)。
1)新型コロナ禍(1月〜)
これについては説明も不要だろう。収束するどころか増加の一途、しかも変異種まで出てきている。マスク生活や移動制限がいつまで続くのか、誰にもわからない。しかし今年2月ぐらいの段階では、「夏ごろには収まるんじゃない?」と思っていた人が大半だったように記憶している。今思うととんでもない楽観論である。
2)Windows7サポート終了(1月14日)
2013年にXPから乗り換えて使ってきた7がついにサポート終了。インストール時に四苦八苦して以来、10との相性は最悪で、依然としてオペレーションにストレスを感じる日々が続いている。どうしてどんどん「人に優しくないパソコン」に進化していくのか。理解に苦しむ。
3)加藤茂雄さん逝去・『浜の記憶』公開からわずか1年(6月14日)
この件については、いまだにもやもやして仕方がない。加藤さんはすでにあちらの世界で、奥様や懐かしい仲間たちと再会していると思いたいが、残されたこちらは、罪深い映画を作ってしまったのではないかという自責の念から逃れることができない。8月16日に閉幕した鎌倉での追悼上映会のレポートをきちんと書けないのも、自分の中で相対化できていないことの表れだろう。「老い」と「死」は誰しも避けられないこととは知りつつ、それをテーマにした映画に93歳の加藤さんを担ぎ出したのは、いささか思慮が足りなかったのではないかと今でも思う。「2年経ったらまた来ます。2年なんてすぐですよ」これはヒロインの最後のセリフだ。なんと残酷なひとことだろう。その2年の間に加藤さんはいなくなってしまったのだ。
4)レジ袋有料化(7月1日)
スーパーなどに行く際、袋を持参するのはいいとして、日常生活においては予定外の買い物というのもあるわけで、そんな時に店が袋を提供するのは一般的なサービスの範囲だと思うのだが。何より、コロナ禍で人々が衛生問題にことさら敏感になっているタイミングで、あまり衛生的といえない(場合もある)袋の持参を推奨するような施策を断行したのは大いに疑問である(2011年3月に東日本大震災が起きた4ヶ月後、各種インフラが平常時にまで回復していない中で、7月にテレビの地デジ化が断行された時にも同じことを感じた記憶がある。どうして世の為政者は「状況を見て予定を変更する」という柔軟な判断ができないのか)。
5)野尻湖グリーンタウン管理のK氏退職・勤続48年(8月24日)ここら辺からはかなりローカル&プライベートな話題。黒姫にある山荘の管理組合「野尻湖グリーンタウン」のスタッフとして、半世紀近く勤務してきたK氏がこの夏で退職。私が小学校の時から知っている方で、毎年夏、山荘に行った時には何かとお世話になってきた。温順な人柄で、彼を管理事務所に訪ねて少しの時間世間話をするのが、単調な山荘生活でのリフレッシュのひとときでもあった。山荘の開け閉めから敷地内の草木の伐採、荷物の運搬、冬の雪下ろしに至るまで、すべてK氏に頼んで手配してもらっていた。今後それができなくなるのは実に心細い。K氏は黒姫に「いつまでもいる人」と思い込んでいたのだが、諸行無常、何事にも終わりはあるものだ。
http://www.nojiriko-greentown.com/wp_public/?p=37726)N○WのT氏退職内定・勤続24年(11月6日)
1997年の開講以来、幾多の映画人を世に送り出したN○W。私も2013年までゲスト講師として出入りしてきた映画の学校だが、そこでクリエイター部門の統括をしていたT氏が来年3月で退職することになったと本人から聞かされる。まだ正式に発表する段階ではないのでイニシャルだが、かなりショックな出来事であった。T氏とは1995年の『カナカナ』公開年からの付き合いで、『火星のわが家』『凍える鏡』でも現場で苦楽をともにした仲。彼がN○Wにいるおかげで、私もかろうじて昨今の若手映画人の情報をある程度つかむことができていたのに…。前述した黒姫のK氏と同様、T氏も、N○Wに「いつまでもいる人」と思い込んでいたのだが、諸行無常、何事にも終わりはあるものだ。
7)さがみはら陽光台食堂閉店(11月10日)これも地味にショックな出来事。オーケーストアに買い物に行く時よく利用していた、さがみはら陽光台食堂が突然の閉店。好きなおかずをトレーに取って、キャッシャーでご飯と豚汁を頼んで、という流れが学食みたいで好きだったのに。コロナの影響もあってか、少しお客さんが減った感じはしたものの、お弁当のテイクアウトもやっていたし、そこまで逼迫しているようには思えなかった。まだまだこの地域にあり続けると思い込んでいたのだが、諸行無常、何事にも終わりはあるものだ。
8)新宿TSYTAYA閉店、25年の歴史に幕(11月15日)
もう秋以降はこんなのばっかり。1995年の開店以来、屈指の品揃えを誇っていた新宿TSYTAYAがまさかの閉店。もはやレンタルの時代は完全に終わったと感じる。オープンした1995年は上にも書いたが『カナカナ』公開の年で、したがって私の劇場映画デビューとともに歩んできた忘れがたき店舗である。1996年に『カナカナ』をビデオ化(時代はまだVHSがメインだった)した時も、2000年に『火星のわが家』をビデオ化した時も、発売日に、何本並んでいるかこの新宿店に確認しに行ったものだ。2000〜2001年にビデオオリジナル作品を5本立て続けにリリースして、監督別の棚に「大嶋拓」コーナーが作られたりもした。レンタル全盛のころである。新宿店にあった今や貴重なVHSの在庫は、渋谷TSYTAYAに移されたそうだが、小田急線人の私としては、やはり新宿から店舗が消え去った淋しさが強い。またしても諸行無常、何事にも終わりはあるものだ。
https://www.bcnretail.com/market/detail/20201007_194014.html9)小田急バス減便、1時間に1本に(11月16日)M駅北口からM大学正門まで運行している小田急バスがこの日から減便となり、昼間はなんと1時間に1本のローカルバスとなる。この間までは1時間に2本、そのさらに数年前までは1時間に3本もあったのにと、急速な減便に頭を抱えるばかりである。私は実家に行く際にこのバスを利用しているのでかなりショックが大きい。だがこれもまた諸行無常、何事も同じ形を留めるということはないのだ。
10)母の老化昨年の12月に自転車に追突されて左手首を骨折して以来、いろいろと不具合が多くなり、今年の秋にも自宅内と外で連続転倒、ついに通常歩行ができなくなり外出も不能となる。現在は訪問リハビリを週に2回受けているがもうすぐ89歳、どこまで回復できるか実に心もとない。人生はどこまでも諸行無常、「若さ」も「健康」も確実に損なわれていく。同じ形のまま留まるということは許されないのだ。
付記)著名人、亡くなりすぎこれは何年も前から感じていたことが、自分が幼少期や青年期(そして現在)、影響を受けた映像や音楽、書物、美術作品などに関わっていた人たちが次々この世から去っていく。今年はいつにも増して多かったように思う。まさに諸行無常のオンパレード。ここまで来ると淋しいというより、ただただ心細く感じてしまう。
1月2日 上原正三(脚本家)
1月12日 青山京子(俳優)
1月13日 坪内祐三(評論家)
1月18日 宍戸錠(俳優)
1月19日 原知佐子(俳優)
1月21日 まついなつき(漫画家、エッセイスト)
1月30日 藤田宜永(小説家)
1月31日 内田勝正(俳優)
2月18日 古井由吉(小説家)
2月21日 勝田久(声優、俳優)
3月17日 松田政男(映画評論家)
3月21日 宮城まり子(女優、歌手、ねむの木学園園長)
3月21日 増岡弘(声優、俳優)
3月21日 伊井篤史(声優、俳優)
3月22日 やながわ理央(漫画家)
3月28日 堀川とんこう(テレビプロデューサー、演出家)
3月29日 志村けん(コメディアン)
3月31日 佐々部清(映画監督)
4月2日 伊地智啓(映画プロデューサー)
4月3日 C・W・ニコル(作家、環境活動家)
4月3日 志賀勝(俳優)
4月5日 素九鬼子(小説家)
4月10日 大林宣彦(映画監督)
4月20日(遺体発見日) ジャッキー吉川(ドラマー、バンドリーダー)
4月20日 志賀廣太郎(俳優)
4月23日 小島一慶(フリーアナウンサー)
4月23日 岡江久美子(俳優)
4月24日 開米栄三(怪獣造形家)
4月27日 田口勝彦(映画監督)
4月28日 金内喜久夫(俳優)
5月12日 ジョージ秋山(漫画家)
5月24日 関口欣也(建築史家、横浜国立大学名誉教授)
5月25日 ユミコテラダンス(ダンサー、女優)
6月11日 服部克久(作曲家)
6月16日 五島勉(作家)
7月2日 桑田二郎(漫画家)
7月3日 渡辺典子(元声優、映画監督・渡辺護の妻)
7月10日 吉川進(テレビプロデューサー)
7月16日 森崎東(映画監督)
7月18日 三浦春馬(俳優)
7月21日 山本寛斎(ファッションデザイナー)
7月21日 弘田三枝子(歌手)
7月30日 外山滋比古(英文学者、評論家)
8月2日 立石涼子(俳優)
8月2日 轟二郎(コメディアン)
8月10日 渡哲也(俳優)
8月11日 宅八郎(評論家)
8月11日 須藤甚一郎(芸能リポーター、区議会議員)
8月13日 桂千穂(脚本家)
8月14日 宮内淳(俳優)
8月19日 恵口公生(漫画家)
8月25日 梅野泰靖(俳優)
8月28日 岸部四郎(タレント、俳優)
8月28日 階戸瑠李(俳優、元グラビアアイドル)
8月?日 大月ウルフ(俳優)
9月14日 芦名星(俳優)
9月20日 藤木孝(俳優)
9月27日 富田耕生(声優)
9月27日 竹内結子(俳優)
10月4日 高田賢三(ファッションデザイナー)
10月6日 まつもと泉(漫画家)
10月7日 筒美京平(作曲家)
10月12日 森川正太(俳優)
10月17日 近藤等則(トランペット奏者)
10月27日 大城立裕(小説家)
10月29日 佐江衆一(小説家)
11月11日 岩名雅記(舞踏家、映像作家、元声優)
11月18日 岡田裕介(映画プロデューサー)
11月20日 矢口高雄(漫画家)
11月27日 一峰大二(漫画家)
12月1日 金城茉奈(俳優、モデル)
12月3日 花村えい子(漫画家)
12月4日 佐久田脩(声優、俳優)
12月7日 小松政夫(コメディアン、俳優)
12月9日 織田無道(僧侶、タレント)
12月11日 キム・ギドク(映画監督)
12月13日 浅香光代(俳優)
12月13日 小谷承靖(映画監督)
12月17日 林家こん平(落語家)
12月18日 宅間秋史(映画/テレビプロデューサー)
12月20日 中村泰士(作曲家、作詞家)
12月23日 なかにし礼(小説家、作詞家)
12月30日 井上泰治(映画監督)
そうこうしているうちに2020年もそろそろ終わりである。はてさて、来年はいったいどんな年になることやら。