まずは『ウルトラマン』の放送中に出版された幼児絵本を2点ほど。

講談社のテレビ絵本 ウルトラQ「ガラモンのしゅうげきのまき」 ウルトラマン「バルタンせいじんのまき」
ともに1966年8月28日発行
ガラモンとバルタンといえば、それぞれ「Q」と「マン」でも一、二を争う人気キャラ。当然、今回のスタンプラリーにも名前を連ねております。
こういうのを持っている人も、もはや少ないんじゃないかと思ってネット検索してみたら、何と、両方ともつい最近まとめて復刻されていました。やはりニーズがあるんですね。

講談社のテレビ絵本 ウルトラQ 完全復刻 -

講談社のテレビ絵本 ウルトラマン 完全復刻BOX (KCピース) -

「ガラモンのしゅうげき」は、金城哲夫脚本の「ガラモンの逆襲」をベースにしつつ、かなりオリジナル度の高い展開。ガラモンが3体都心に現れ、町を破壊します。

ガラモンを操る宇宙人を発見して飛びかかるのが万城目ではなく一平というのが新鮮(単に名前を間違えただけのような気も…)。
最後に宇宙人が正体を現わすのですが、その姿も、セミ人間ではありませんでした。
絵は矢木靖彦。この人の名前を検索しても、この「ガラモンのしゅうげき」しか上がってきません。この時だけのペンネームだったのでしょうか。

一方、「バルタンせいじん」の方は、かなり千束北男(飯島敏宏)脚本に忠実で、科学センターに異変が起こり、アラシ隊員とホシノ少年が現場に向かったところ、守衛がこちこちに固まっていて、そこでアラシ隊員も固められてしまう、という前半のミステリアスな展開は本編とほとんど同じです。


ただ、そこから先がかなりはしょられ、防衛会議やバルタンが語った自分の星の滅亡エピソードなどはすべてカットされています(まあ幼児向けの本ですし、ページ数も少ないですからやむを得ないでしょう)。

ひとつ気になるのは、ウルトラマンもバルタンも異様に横幅が広いこと。ウルトラマンはアメコミヒーローのようなマッチョだし、バルタンも、実際の造形を大幅に裏切る体型で、正直ちょっとカッコ悪いです。正体不明の異星人という感じはよく出ていると思いますが…。

こちらは、何とあの辻真先が「脚色」を担当。
そして絵は花野原芳明(かのはら・ほうめい 1921〜1979年)。「海底探検」「コグモの冒険」「でっぷり船長の冒険」といった漫画の作者で、少年少女向け読み物の挿絵も多く手がけていた人のようです。
つづいてご紹介するのは、フジテレビの「とびだすえほん」。

ウルトラ大行進 怪獣オンパレード
1969年4月30日発行(1969年7月1日三版)
「とびだすえほん」といえば万創が有名ですが、もともとはフジテレビから出されていました。それが、当時の「放送局の出版事業を禁止する」という法律に抵触したため、1970年に万創が創設されたとのこと。この本は、その前年のものです。

左からネロンガ、ペスター、ベル星人。「ウルトラ怪獣」というくくりで、ベル星人の横に「キャプテンウルトラ」のバンデラーがいます。(伊藤展安・画)

左から恐竜戦車、ゴルゴス、アントラー、そして何故かピーター(深海怪獣なのに)。岩陰にいる左端の女性隊員は多分アンヌでしょう。男性隊員は後ろ姿なのに、女性隊員は顔をちゃんと描いているところに画家のこだわり(?)を感じます。(前村教綱・画)

まさかのザンボラー単体掲載。そんなに人気怪獣とも思えないんですが…。本編でも為し得なかった新幹線大破壊をやっちゃってます。(伊藤展安・画)

逃げ惑う群集の描写がけっこう細かい。
最後に、以前にもちらっと紹介した、今は無きエルムの怪獣絵本を2冊ほど。これらは、「大百科」「大画報」などと謳われていますが、中味を見る限り、絵本という分類でいいと思います。

ウルトラ怪獣大百科
1969年6月25日初版発行

ペギラ、ジラース、ガラモン(ピグモンと誤記)。

ギャンゴとアボラスは国立競技場で。

シーボーズとゴモラは古都で戦う。

ギガスとウー、ゲスラとピーターの戦い。後者は、実写では実現不可能(ゲスラはピーターのぬいぐるみを改造したものなので)。

オール怪獣大画報
1970年6月1日初版発行

ブルトンとキーラのシュールな戦闘。

ビラ星人、アントラーとウルトラマンの番組を超えた戦い。

宇宙空間で戦うザラブ星人とジャミラ。なぜかウルトラホーク1号が…

レッドキングとグビラ。見出しがスポーツ新聞のようでおかしい。
この当時(1960年代後半)は、まだホームビデオはありませんでした。怪獣の雄姿を見たいと思えば、この手の絵本をめくるしかなかったわけです。いや、実際には『ぼくら』などの雑誌の特集ページや5円引きブロマイドなどで、怪獣のカラー写真を見る機会もなくはなかったのですが、あのころのわれわれにとっては、写真よりも絵で描かれた怪獣の方が、ダイナミックで胸のときめく存在だったのです。絵ならではの自由奔放さ(上の画像でも明らかなように、実写では実現不可能な怪獣同士の対決場面も、絵ならばいくらでも描くことができます)が、空想力豊かな子どもの感覚にマッチしたのかも知れません。
70年代に入り、第2次特撮ブームが起こるころから、こうした児童向け絵本も、写真を使ったものが主流になっていきます。それらはリアルな怪獣のビジュアル情報を正確に伝えてはくれましたが、絵で描かれたもののみが持つ、ある種のファンタジーは、誌面から失われていきました。


